建築士試験 解説ノート

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病院・福祉施設のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 計画の過去問・頻出ポイント

病院・福祉施設は一級建築士 学科Ⅰ(計画)のNo.16あたりで、近年ほぼ毎年1問出ます(年によりNo.15で社会福祉用語も)。問われるのは部門の配置・動線と社会福祉の用語で、最頻出は取り違え(感染症病室=陰圧と無菌室=陽圧、外来部門と中央診療部門の配置、福祉用語の意味の入れ替え)です。配置・気圧・用語をセットで押さえます。

病院は部門の配置・動線分離と気圧管理、福祉は用語の意味を、取り違えずに押さえる分野です。

誤りの選択肢は、もっともらしい文章のまま配置・気圧・用語を別のものにすり替えてきます。

だから「その部門・室・用語は何か」を取り違えないことが対策です。順に整理します。

病院の部門構成と配置はどうするか

総合病院は、利用者と清潔度に応じて部門を配置します。配置の取り違えがよく問われます。

部門 配置の原則
外来部門多くの来院者が直接出入りするため、エントランス(主出入口)に近い位置に配置
中央診療部門外来と病棟の両方から利用されるため、外来と病棟の間に配置
病棟部門療養環境を守るため、静かな上層に配置
中央材料部門清潔管理のため、手術部と専用搬送設備で直結する

狙われるのは外来部門と中央診療部門の位置の入れ替えです。外来はエントランス側、外来と病棟の間に置くのは中央診療部門、と固定します。

感染症病室は陰圧か陽圧か

病院の気圧管理は、何を守るかで陰圧と陽圧が逆になります。最頻出の取り違えです。

気圧 目的
感染症病室(空気感染)陰圧(周囲より低い)室内の汚染空気を外へ漏らさない(結核・麻疹等の隔離)
無菌室・手術室
(易感染患者の保護)
陽圧(周囲より高い)清浄な空気を保ち、外の汚染空気を入れない

覚え方は「守りたいものはどっちか」。汚染を閉じ込める=陰圧(感染症病室)清浄を守る=陽圧(無菌室・手術室)。感染症病室を陽圧とする記述は無菌室との取り違えで誤りです。あわせて、患者・職員、清潔・汚染の動線は交差させないのが原則です。

病室・病棟の計画

病棟まわりは、搬送・出産・避難への配慮が問われます。

  • 病室の出入口の有効幅員は、患者をベッドごと搬送できるよう 1.35m程度を確保する
  • LDR(陣痛 Labor・分娩 Delivery・回復 Recovery)は、この一連の過程を同一の部屋で行う方式。過程ごとに専用室を設けるのは従来方式で、LDRの定義と逆
  • 緩和ケア病棟は、QOLを高めるため病室を全て個室とし、共用部に調理室・食事室を設ける
  • 病室階は、各階に防火防煙区画された2つ以上の安全区画を設け、縦動線を使わずに水平避難で一定時間安全を確保する

福祉施設と社会福祉の用語

社会福祉の用語は、意味の取り違えで問われます。似た言葉の定義を区別します。

用語 意味
ノーマライゼーション障害の有無等にかかわらず、誰もが当たり前に暮らせるよう社会を整える理念
ジェントリフィケーション再開発などで地区が高級化し、地価・家賃の上昇でもとの低所得住民が住み続けにくくなる都市現象(福祉理念ではない)
レスパイトケア在宅介護者が一時的に休息できる支援(医療型ショートステイ等)
地域包括ケアシステム住み慣れた地域で医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する仕組み
インクルーシブ教育障害の有無にかかわらず同じ環境で学べる仕組み(合理的配慮が必要)

とくにノーマライゼーション(福祉理念)とジェントリフィケーション(都市の高級化現象)の入れ替えがよく出ます。福祉の理念か、都市の変化かで区別します。

過去問の出題一覧(一級建築士 計画)

病院・福祉は計画のNo.16(病院)・No.15(社会福祉用語)を中心に、配置・気圧・用語の取り違えが誤りの選択肢でした。正解番号は建築技術教育普及センターの公表正答によります。

年度 No. 正解 論点/解説
令和7年(2025)164総合病院(LDRは同一室)
令和6年(2024)164総合病院(外来=エントランス側) ※No.15(正解2)社会福祉用語も出題
令和5年(2023)162病院及び保育所(感染症病室=陰圧)
令和4年(2022)163高齢者福祉施設・病院・保育所の火災対策 ※解説は順次追加予定
令和3年(2021)病院・福祉の単独出題は薄め(各室計画等で一部)
令和2年(2020)162医療施設等の計画 ※解説は順次追加予定
令和元年(2019)病院・福祉の単独出題は薄め(設備等で一部)
平成30年(2018)病院・福祉の単独出題は薄め
平成29年(2017)病院は各室計画の選択肢で出題
平成28年(2016)161病院の計画 ※解説は順次追加予定

直近3年の代表的な引っかけ:R7=LDRに専用室をそれぞれ設けた(正=同一室で出産前後を行う)/R6=外来部門を診療部門と病棟の間に(正=外来はエントランス側、間は中央診療)/R5=感染症病室を陽圧(正=陰圧。陽圧は無菌室)。

混同しやすいポイント

感染症病室(陰圧) と 無菌室・手術室(陽圧)

感染症病室は汚染空気を漏らさないため陰圧(周囲より低圧)。無菌室・手術室は清浄空気を守るため陽圧(周囲より高圧)。「何を守るか」で逆になります。

外来部門(エントランス側) と 中央診療部門(外来と病棟の間)

外来は来院者が多いのでエントランス側。外来と病棟の両方から使う中央診療(手術・検査)が両者の間です。配置の入れ替えに注意します。

ノーマライゼーション(福祉理念) と ジェントリフィケーション(都市現象)

ノーマライゼーションは誰もが当たり前に暮らせる社会を目指す福祉理念。ジェントリフィケーションは再開発で高級化し住民が立ち退く都市現象です。

まちがえやすいポイント

誤りの選択肢は部門の配置や気圧(陰圧・陽圧)を逆にしたり、福祉用語の意味をすり替えたりする形が多いです。

とくに「感染症病室=陰圧/無菌室=陽圧」「外来=エントランス側」「LDR=同一室」「ノーマライゼーションとジェントリフィケーション」は常連。配置・気圧・用語の意味を照合してください。

理解度チェック

Q.

空気感染を防ぐ感染症病室は、廊下に対して室内を陽圧に保つ。〇か×か。

×。感染症病室は陰圧(周囲より低圧)にして汚染空気を外へ漏らしません。陽圧にするのは無菌室・手術室です。R5 No.16 の取り違えです。

Q.

総合病院では、外来部門を診療部門と病棟部門の間に配置するのが基本である。〇か×か。

×。外来部門はエントランス側に配置します。外来と病棟の間に置くのは中央診療部門です。R6 No.16 の取り違えです。

Q.

産科のLDRは、陣痛・分娩・回復の過程に応じて、それぞれ専用の部屋を設ける方式である。〇か×か。

×。LDRは陣痛・分娩・回復を同一の部屋で行う方式です。過程ごとに専用室を設けるのは従来方式で、LDRの定義と逆です。R7 No.16 の引っかけです。

Q.

障害者が社会の中でごく普通に生活できるよう社会を整える考え方を、ジェントリフィケーションという。〇か×か。

×。それはノーマライゼーションです。ジェントリフィケーションは再開発で地区が高級化し、もとの住民が住み続けにくくなる都市現象です。R6 No.15 の取り違えです。

まとめ

病院は「部門配置・陰圧/陽圧・動線分離」、福祉は「用語の意味」を取り違えずに覚える。これが計画 No.15・16 の攻略です。

感染症病室=陰圧、無菌室=陽圧、外来=エントランス側、LDR=同一室、ノーマライゼーションは福祉理念。配置・気圧・用語のすり替えに気づけるようにしましょう。

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参考(実ページで確認)

  • 感染症病室(空気感染)は室内を陰圧にして汚染空気を漏らさない/無菌室・手術室は陽圧にして清浄空気を保つ:感染対策・医療設備の標準
  • 総合病院の部門配置(外来はエントランス側/中央診療部門は外来と病棟の間/病棟は上層):病院建築の計画原則
  • LDR=陣痛・分娩・回復を同一の部屋で行う方式/病室出入口の有効幅員は1.35m程度(ベッド搬送)
  • ノーマライゼーション(福祉理念)とジェントリフィケーション(再開発による高級化で住民が立ち退く都市現象)/レスパイトケア・地域包括ケアシステム・インクルーシブ教育
  • 各論点の出題・正誤:自サイト過去問解説 kakomon-1k-keikaku-r5/r6/r7-no15・no16
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「計画」を過去問の問われ方から整理しています。運営者情報

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