免震・制振は一級建築士 構造のNo.24で毎年1問出ます。問われ方は決まっていて、免震と制振の役割を入れ替えるか、ダンパーや積層ゴムの性質をずらすかのどちらかです。まず3つの方式を仕分けます。
| 方式 | しくみ | 代表する装置 |
|---|---|---|
| 耐震 | 部材の強さと粘りで地震に耐える | 筋かい・耐力壁 |
| 制振 | ダンパーでエネルギーを吸収し、揺れを減らす(減衰を高める) | 鋼材ダンパー・オイルダンパー |
| 免震 | 固有周期を長くして、地震の揺れを上部構造に伝えにくくする | 積層ゴム・すべり/転がり支承 |
いちばんの引っかけがここです。固有周期を長くするのは免震、ダンパーでエネルギーを吸収するのが制振。「制振で固有周期を長くする」という説明は誤りです。
| 装置 | 特徴 |
|---|---|
| 鋼材ダンパー(履歴型) | 塑性変形でエネルギーを吸収する。弾性範囲にとどまる小さな揺れでは効かない |
| オイル・粘性ダンパー(速度依存型) | 速度に応じた減衰力を出す。揺れが比較的小さな段階から効く |
| 積層ゴムアイソレータ(免震) | 固有周期を長くする。形状係数S1が大きいほど座屈応力度は大きい。長期の圧縮応力度は中心部が外周部より大きい |
| すべり・転がり支承(免震) | 摩擦や転がりで地盤と縁を切る。引張軸力が生じる場合に直動型転がり支承を使う |
| 論点 | 正しい記述(○)と、よくある誤り(×) |
|---|---|
| 制振のしくみ | ○ ダンパーでエネルギーを吸収する/× 制振装置で固有周期を長くする(それは免震) |
| 免震のしくみ | ○ 固有周期を長くして応答を低減/× 固有周期を短くする |
| 鋼材ダンパー | ○ 塑性化してエネルギーを吸収/× 弾性範囲でも吸収能力を発揮する |
| 積層ゴムの圧縮応力度 | ○ 長期圧縮は中心部が大きい/× 外周部が中心部より大きい |
| オイル・粘性ダンパー | ○ 揺れが小さな段階から減衰力を発揮する |
免震は固有周期を長くして揺れを伝えない、制振はダンパーでエネルギーを吸収する。ダンパーは「鋼材=塑性化で吸収(大きな揺れ)、オイル・粘性=速度依存(小さな揺れから)」。免震層にはクリアランスの確保と引抜き(浮き上がり)への配慮も要ります。
制振構造による耐震改修は、制振装置で建築物の固有周期を長くすることにより地震力を低減する。〔R4 No.24〕
×。固有周期を長くするのは免震です。制振はダンパーでエネルギーを吸収して揺れを減らします。役割の取り違えが最頻出の誤りです。
制振構造に用いる鋼材ダンパーは、弾性範囲に留まる地震動レベルにおいてもエネルギー吸収能力を発揮する。〔R5 No.24〕
×。鋼材ダンパー(履歴型)は塑性化してエネルギーを吸収します。弾性範囲にとどまる小さな揺れでは効きません。
免震に用いる積層ゴムアイソレータの長期荷重時の圧縮応力度は、外周部のほうが中心部より大きい。〔R7 No.24〕
×。逆です。長期の圧縮応力度は中心部のほうが大きくなります。
| 年度 | No. | 正解 | 主に問われた論点 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 24 | 4 | 積層ゴムの圧縮応力度・ダンパー・転がり支承 |
| 令和6年 | 24 | 1 | 鋼材ダンパーの接合・免震の床応答加速度 |
| 令和5年 | 24 | 2 | 鋼材ダンパーの塑性化・積層ゴムの挙動 |
| 令和4年 | 24 | 2 | 免震・制振・耐震改修 |
| 令和3年 | 24 | 3 | 耐震・免震・制振構造 |
| 令和2年 | 25 | 1 | 免震構造 |
| 令和元年 | 24 | 1 | 免震構造(No.25=制振構造) |
| 平成30年 | 24 | 3 | 構造計画・構造設計(制振) |
| 平成29年 | 26 | 3 | 免震構造 |
| 平成28年 | 25 | 1 | 免震構造・制振構造 |
※ 免震(固有周期を長くする)と制振(ダンパーで吸収)の役割、ダンパーの種類、積層ゴムの性質は、平成25年〜令和7年まで毎年No.24前後でくり返し出題されています。
出典・参考
※ このページの確認日:2026年6月