建築士試験 解説ノート

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換気のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 環境・設備の過去問・頻出ポイント

換気は一級建築士 環境・設備で毎年1問出ます。出題はNo.3あたりの計算・記述と、No.13前後の換気設備の記述に分かれ、過去10年でも自然換気・機械換気・必要換気量から繰り返し問われています。引っ掛けは、正圧か負圧か空気の流れる方向を逆にした選択肢が多いです。まず方式を仕分けます。

機械換気 第1〜3種の早見表

機械換気は、給気と排気のどちらをファン(機械)で行うかで3種類に分かれます。その組合せで、室内が正圧になるか負圧になるかが決まります。

種類 給気/排気 室圧 向いている室
第1種 給気・排気とも機械 調整可 手術室・地下街・劇場など確実な制御が要る室
第2種 給気=機械/排気=自然 正圧 クリーンルーム・手術室・ボイラー室(外からの汚染を防ぐ)
第3種 給気=自然/排気=機械 負圧 便所・浴室・厨房(においや湿気を他室へ出さない)

覚え方は、押し込む第2種は正圧吸い出す第3種は負圧です。きれいに保ちたい室は外気を押し込んで正圧にし、汚れを閉じ込めたい室は吸い出して負圧にします。

自然換気の数値の関係(温度差換気と風力換気)

自然換気は、ファンを使わず温度差の力を利用します。換気量がどの量に比例するかが、計算問題でも記述問題でも問われます。

方式 換気量が比例する量
温度差換気 開口部の高低差の平方根室内外の温度差の平方根に比例
風力換気 風速に比例(風上・風下の風圧係数の差の平方根に比例)

温度差換気は温度差の平方根に比例し、風力換気は風速そのものに比例します。ここが両者の違いです。

中性帯の向きに注意

温度差換気では、上下のどこかで室内外の圧力差がゼロになる高さができます。これが中性帯です。中性帯は開口の取り方で動き、上部の開口が大きいほど上へ、下部の開口が大きいほど下へ移動します。

ふつう室温が外気より高いと、外気は中性帯より下から入り、暖かい空気が上から抜けます。ところが外気温のほうが高い場合は向きが逆になり、外気は中性帯より上側の開口から流入します。

全熱交換器が回収する顕熱と潜熱

全熱交換器は、換気で捨ててしまう熱を回収し、取り入れる外気にうつす装置です。冷暖房した熱をそのまま捨てずにすむので、省エネになります。

回収するのは顕熱(温度)と潜熱(湿度)の両方で、これを合わせて全熱と呼びます。似た名前の顕熱交換器は温度だけを回収し、湿度は交換しません。ここが両者の分かれ目です。

必要換気量と換気回数

必要換気量は、汚染物質を許容濃度以下に薄めるのに要る空気量です。室内空気の汚れの代表として、ふつう二酸化炭素(CO₂)を指標に使います。

式(ザイデルの式)は、必要換気量 = 汚染物質の発生量 ÷(室内の許容濃度 − 外気の濃度)です。発生量が多いほど、室内で許せる濃度が低いほど、必要な換気量は増えます。室の容積には比例しません。

CO₂を使うと、室内の許容濃度は0.1%(1000ppm)、外気濃度は約0.03〜0.04%を使い、成人1人当たりの必要換気量はおおむね30m³/hになります。換気回数は、必要換気量を室の容積で割った値(回/h)で、1時間に室の空気が何回入れ替わるかを表します。

まちがえやすいポイント

温度差換気では、ふつう室温が外気より高いと中性帯より下から外気が入ります。ところが外気温のほうが高い場合は向きが逆になり、外気は中性帯より上側の開口から流入します。「いつも下から入る」と思い込むと引っかかります。

もう一つは換気方式で、第3種換気は室内が負圧です。便所や厨房を正圧にする第2種、と取り違えないようにします。きれいに保つ室が正圧(第2種)、汚れを閉じ込める室が負圧(第3種)です。

過去問の論点○×

過去10年で繰り返された論点を、正しい記述(○)と引っ掛け(×)で並べます。

記述 ○×
第3種換気(自然給気・機械排気)は室内が負圧になり、便所・浴室・厨房に用いる
第2種換気(機械給気・自然排気)は室内が正圧になり、クリーンルームや手術室に用いる
温度差換気で外気温が室温より高い場合、外気は中性帯より下側の開口から流入する ×
温度差換気の換気量は、開口部の高低差と室内外の温度差の平方根に比例する
風力換気の換気量は、風速の2乗に比例する ×
全熱交換器は顕熱だけを回収し、潜熱は回収しない ×
汚染物質を薄めるための必要換気量は、室の容積に比例する ×

×を正しく直すと順に、外気は中性帯より上側から入る/風力換気の換気量は風速に比例(風速の1乗)/全熱交換器は顕熱と潜熱の両方を回収/必要換気量は発生量と許容濃度で決まり容積によらない、です。

過去問の出題一覧(一級建築士 環境・設備)

換気は、年度をまたいで自然換気・機械換気・換気設備・必要換気量から繰り返し問われています。正解番号は建築技術教育普及センターの公表正答によります。

年度 No. 正解 論点/解説
令和7年(2025)32換気(全熱交換器・温度差/中性帯・風力・CO₂)
令和6年(2024)32換気量の計算(温度差換気・中性帯)※解説は順次追加予定
令和5年(2023)134換気設備の計画
令和4年(2022)134換気設備(RI施設・オールフレッシュ等) ※No.3で必要換気量の計算(正解3)も出題
令和3年(2021)33換気(全熱交換器ほか)※解説は順次追加予定
令和2年(2020)換気単独の出題なし(全熱交換器は空調設備の問題で出題)
令和元年(2019)32換気量の計算(温度差換気・中性帯)※解説は順次追加予定
平成30年(2018)33換気(全般換気・温度差換気・中性帯)※解説は順次追加予定
平成29年(2017)33換気(必要換気量・CO₂・換気回数)※解説は順次追加予定
平成28年(2016)131換気設備・排煙設備(第3種換気・置換換気)※解説は順次追加予定

覚え方

  • 温度差換気の換気量は高低差と温度差の平方根に比例。中性帯より下から入り上へ抜ける(外気が高温なら逆)。
  • 風力換気の換気量は風速に比例(風圧係数差の平方根)。
  • 機械換気は第2種=正圧(クリーンルーム)・第3種=負圧(便所・厨房)。
  • 全熱交換器は顕熱+潜熱を回収。顕熱だけなら顕熱交換器。
  • 必要換気量は発生量と許容濃度で決まり容積によらない。CO₂1000ppmと人数から1人約30m³/h

理解度チェック

Q.

便所や厨房には、室内を正圧に保つ第2種換気が適している?

適していません。においや湿気を他室へ漏らさないため、室内を負圧にする第3種換気(自然給気・機械排気)が適します。第2種(正圧)はクリーンルームや手術室向きです。

Q.

温度差換気で、室温より外気温のほうが高いとき、外気は中性帯より下の開口から入る?

入りません。外気のほうが高温(軽い)のときは向きが逆になり、外気は中性帯より上側の開口から流入し、室内の冷たい空気が下から出ていきます。

Q.

全熱交換器と顕熱交換器の違いは?

全熱交換器は温度(顕熱)と湿度(潜熱)の両方を回収します。顕熱交換器は温度だけを回収し、湿度は交換しません。

出典・参考

  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科II(環境・設備)問題」および「正答肢」各年度
  • 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」(室内CO₂含有率の基準)
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「環境・設備」を過去問から整理しています。運営者情報

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