令和4年度 一級建築士試験 学科I(計画)No.20は、建築のマネジメントに関する問題です。
この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
※ 問題文そのものは建築技術教育普及センターの公式PDFで確認できます。上記は、その4つの記述で問われている論点を整理したものです。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(適当) | 設計VEは、ライフサイクルコストを考慮した経済性を追求しつつ、設計段階で機能を検討・分析し必要な機能を達成する取り組み。適当です。 |
| 2 | ×(不適当) | 取得時に投資価値を算出する多角的調査はデューデリジェンスの説明。アセットマネジメントではないので誤り。 |
| 3 | ○(適当) | コストオン方式は、建築主が専門工事業者を選定・工事費を決め、その額に元請の管理経費を加えて元請に発注する方式。適当です。 |
| 4 | ○(適当) | PFI事業のSPCは、特定事業のために設立され、他の投資を行わず契約終了で解散する会社。適当です。 |
選択肢2は、アセットマネジメントを「取得時に投資価値を算出するための物件の多角的な調査」とする点が誤りで、これはデューデリジェンスの説明です。
選択肢2は、不動産分野のアセットマネジメントという用語についての記述です。用語の中身が論点です。
アセットマネジメント(AM)は、不動産などの資産を持つ投資家に代わって、その資産を運用・管理し、収益(投資効果)を最大化する業務です。物件をいつ買い、どう運営し、いつ売るかといった運用方針を立て、実際の管理(プロパティマネジメント)に指示を出す、いわば「資産運用のかじ取り役」ですね。
一方、選択肢2が説明している「取得する際に、適正な投資価値を算出するために、物件の将来の収支を予測する多角的な調査」というのは、デューデリジェンス(DD)のことです。買う前に物件の状態・権利関係・収益性などを詳しく調べる「事前の精査」で、運用そのものを担うアセットマネジメントとは役割が違います。用語はアセットマネジメントなのに、説明がデューデリジェンスになっているので誤りです。
ザックリ言えば、アセットマネジメント=資産の運用・管理/デューデリジェンス=取得前の精査ということです。マネジメント用語は、説明が別の用語にすり替わっていないかを確かめましょう。
取得時に投資価値を算出する多角的調査はアセットマネジメント?
違います。それはデューデリジェンスです。アセットマネジメントは、投資家に代わって資産を運用・管理する業務です。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢2(これが最も不適当な記述)
アセットマネジメントは、投資家に代わって不動産などの資産を運用・管理して収益の最大化を図る業務です。選択肢2の「取得する際に、適正な投資価値を算出するための物件の将来収支の予測を行う多角的な調査」というのはデューデリジェンス(DD)の説明なので、用語と中身が食い違っていて誤りなんですね。
設計VE・コストオン方式・SPCの記述は、いずれも正しい。アセットマネジメント=投資家に代わる資産の運用・管理と押さえましょう。