建築士試験 解説ノート

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足場・仮設工事のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 施工の過去問・頻出ポイント

足場・仮設工事は、一級建築士 施工のNo.5でくり返し問われるテーマです。

誤りの選択肢は、文章はもっともらしいまま数値を1か所だけ入れ替えてきます。だから足場の種類と数値をセットで覚えるのが対策になります。まず最頻出の壁つなぎから整理します。

足場の壁つなぎはなぜ枠組と単管で違うのか

壁つなぎは、足場を建物につないで倒れ・はらみを防ぐ部材です。間隔の上限は労働安全衛生規則(第570条)で決まっていて、枠組足場と単管足場で数値が異なります

足場の種類 壁つなぎの間隔(上限)
わく組足場
(高さ5m未満を除く)
垂直方向 9m以下/水平方向 8m以下
単管足場
(鋼管足場)
垂直方向 5m以下/水平方向 5.5m以下

引っかけは、この垂直と水平の数値を入れ替える形です。枠組は「縦9・横8」、単管は「縦5・横5.5」と、縦横セットで覚えると間違えません。令和5年 No.5 では、枠組足場を「水平9m・垂直8m」とした選択肢が誤りでした。

作業床・手すり・幅木の寸法

作業床まわりは、墜落と落下物を防ぐための寸法が安衛則(第563条)で細かく決まっています。出るのは数値そのものです。

部位 寸法
作業床の幅40cm以上
床材間のすき間3cm以下
床材と建地のすき間12cm未満
手すり(単管足場等)高さ 85cm以上
中さん(単管足場等)高さ 35cm以上 50cm以下
わく組足場の墜落防止
(交差筋かい使用時)
交差筋かい+下さん(高さ 15cm以上 40cm以下)または幅木(高さ 15cm以上)

とくに狙われるのがわく組足場の幅木。交差筋かいだけでは足元のすき間から物が落ちるため、高さ15cm以上の幅木(または下さん)を併用します。「10cm」と書いてあれば誤りで、令和6年・令和2年の No.5 で同じ引っかけが出ました。

防護棚(朝顔)の設置基準

防護棚(朝顔)は、足場から外へ落ちる物を受け止めて、通行人や隣地を守る庇状の仮設物です。「建設工事公衆災害防止対策要綱」が目安を示しています。

項目 基準・目安
段数足場の高さ10m以上で1段以上、20m以上で2段以上
1段目の高さ最下段は地盤面から一般に4〜5mの位置
はね出し足場の外側から水平距離で2m以上
角度水平面となす角度を20度以上

過去問では、1段目の高さやはね出し長さ・段数の組み合わせを変えて出されます。令和3年・令和5年・令和2年の No.5 では、いずれも防護棚の選択肢は正しい記述として置かれていました。

つり足場の安全係数・クレーンの離隔・計画届

足場の寸法以外にも、仮設工事 No.5 では数値でくり返し問われる項目がいくつかあります。

項目 覚える数値
つり足場の安全係数
(ワイヤロープ・つり鋼線)
10以上(つり鎖・フックは5以上、支点の鋼材は2.5以上)
移動式クレーンと高圧線の離隔
(6,600V・絶縁防護なし)
行政通達で1.2m以上(電力会社の推奨は2.0m
移動式クレーンの作業中止10分間の平均風速10m/s以上で中止
足場の計画届
(つり足場・張出し足場を除く)
高さ10m以上 かつ 存置60日以上で必要

つり足場のワイヤロープ安全係数は10以上です。荷を吊る索なので、作業床を支える一般の足場より高い安全率が求められます。平成29年 No.5 では「安全係数5」とした選択肢が誤りでした。

計画届は、高さ10m以上でも存置が60日未満なら不要です。令和3年 No.5 では、高さ12mでも49日だから届け出なかった、という正しい選択肢が出ています。

毎年問われる論点(○が正しい・×が誤り)

論点 正しい記述(○)と、よくある誤り(×)
枠組足場の壁つなぎ ○ 垂直9m以下・水平8m以下/× 水平9m・垂直8mと縦横を入れ替える
交差筋かいに併用する幅木 ○ 高さ15cm以上の幅木(または下さん)/× 高さ10cmでよい
クレーンと高圧線の離隔 ○ 6,600V(絶縁防護なし)で1.2m以上/× 1.0mでよい
つり足場の安全係数 ○ ワイヤロープは10以上/× 5でよい
足場の計画届 ○ 高さ10m以上かつ存置60日以上で必要/× 60日未満でも必要

覚え方

壁つなぎは枠組9と8・単管5と5.5、幅木15cm以上、離隔1.2m、つり足場の安全係数10、計画届は10m+60日。足場の種類と数値をペアで固定すると、数値を1か所だけすり替えた誤りに強くなります。

過去問の肢で確認

Q.

高さ20mの枠組足場における壁つなぎの間隔を、水平方向9m・垂直方向8mとした。〔R5 No.5〕

×。縦横が逆です。枠組足場は垂直9m以下・水平8m以下。これが令和5年の正答(誤りの肢)でした。

Q.

枠組足場の構面からの墜落防止措置として、交差筋かい及び高さ10cmの幅木を設けた。〔R6 No.5・R2 No.5〕

×。交差筋かいに併用する幅木は高さ15cm以上(または高さ15〜40cmの下さん)です。10cmでは不足。令和6年・令和2年で同じ引っかけが出ました。

Q.

移動式クレーン作業で、6,600V(絶縁防護なし)の配電線からの最小離隔距離を1.0m確保した。〔R3 No.5〕

×。6,600Vの充電電路(絶縁防護なし)には、行政通達で1.2m以上離します。直接触れなくても放電で感電するため、1.0mでは不足です。

Q.

つり足場の作業床の最大積載荷重を定めるにあたり、つりワイヤロープの安全係数を5とした。〔H29 No.5〕

×。つり足場のワイヤロープ・つり鋼線の安全係数は10以上(安衛則第562条)。つり鎖・フックが5以上です。

過去問の出題一覧(一級建築士 施工 No.5)

年度 No. 正解 主に問われた論点
令和7年52地盤調査(足場の出題はなし)
令和6年54交差筋かいに併用する幅木(15cm以上)
令和5年51枠組足場の壁つなぎ(垂直9m・水平8m)
令和4年53地盤調査(足場の出題はなし)
令和3年54クレーンと高圧線の離隔(1.2m以上)
令和2年53地盤調査及び仮設工事(交差筋かいの幅木10cm)
令和元年54地盤調査等(足場の出題はなし)
平成30年51仮設工事等(作業通路の手すり75cm)
平成29年54地盤調査及び仮設工事(つり足場の安全係数5)
平成28年53仮設工事等(床開口部の仮設手すり)

※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。施工 No.5 は「仮設工事(足場)」と「地盤調査」が年ごとに入れ替わる枠で、足場・仮設工事が正答だった年は7回(令和6・5・3・2、平成30・29・28)。令和7年・令和4年・令和元年は地盤調査が出題され、足場の単独問題はありませんでした(地盤調査は土工事・地業・山留めのまとめを参照)。令和5年以前の解説リンクは順次追加予定です。

混同しやすい数値

枠組足場の壁つなぎ と 単管足場の壁つなぎ

枠組足場は垂直9m・水平8m以下、単管足場は垂直5m・水平5.5m以下。足場が違えば数値も違います。「枠組=9と8、単管=5と5.5」とペアで覚えます。

壁つなぎの「垂直」 と 「水平」

枠組足場は垂直のほうが大きく(9m)、水平が小さい(8m)。単管足場は逆で水平のほうが大きい(5.5m)。縦横を入れ替えた引っかけに注意します。

つり足場の安全係数 と 一般の足場

つり足場のワイヤロープは安全係数10以上。荷重を索で吊るぶん、作業床を支える一般の足場より高い安全率が要ります。「5」と書かれたら誤りです。

まちがえやすいポイント

誤りの選択肢は文章はもっともらしいのに、数値だけが1か所すり替わっている形がほとんどです。

とくに「壁つなぎの垂直と水平の入れ替え」「幅木を10cm」「離隔を1.0m」「つり足場の安全係数を5」は常連。文章のニュアンスで判断せず、足場の種類とセットで数値そのものを照合してください。

次に確認するページ

出典・参考(実ページで確認)

  • 労働安全衛生規則 第570条(壁つなぎ:わく組足場 垂直9m・水平8m以下/単管足場 垂直5m・水平5.5m以下)
  • 労働安全衛生規則 第563条(作業床の幅40cm以上・床材間3cm以下・建地とのすき間12cm未満/手すり85cm以上・中さん35〜50cm/わく組足場の交差筋かい+下さん15〜40cm・幅木15cm以上)
  • 労働安全衛生規則 第562条(つり足場の安全係数:ワイヤロープ・つり鋼線10以上/つり鎖・フック5以上/支点の鋼材2.5以上)
  • 建設工事公衆災害防止対策要綱(防護棚=高さ10m以上で1段以上・はね出し2m以上・角度20度以上)
  • 労働安全衛生法第88条・別表第7(足場の計画届=高さ10m以上かつ存置60日以上)
  • 移動式クレーン等の送配電線類への接近限界(高圧6,600Vは行政通達1.2m以上・推奨2.0m)
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科V(施工)問題」各年度、正答は同センター公表の正答肢による
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「施工」を過去問の問われ方から整理しています。運営者情報

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