木工事は、一級建築士 施工で毎年1問出るテーマです。
誤りの選択肢は、もっともらしい文章のまま数値や対象範囲を1か所だけ小さく(または逆に)変えてきます。だから正しい基準値・対象範囲・接合方法をそのまま覚えるのが対策になります。まず含水率から整理します。
含水率は、木材に含まれる水分の割合です。乾燥が足りないと、後から収縮して反り・割れ・すき間が出ます。とくに仕上げに使う造作材は狂いが目立つため、構造材より低い含水率が求められます。
工事現場搬入時の含水率の目安(JASS11)は次のとおりです。
| 区分 | 含水率(工事現場搬入時) |
|---|---|
| 構造材 | A種 20%以下/B種 25%以下 |
| 下地材 | A種 15%以下/B種 20%以下 |
| 造作材 | A種 15%以下/B種 18%以下 |
順番は構造材>下地材・造作材。造作材を構造材より高い含水率でよいとする記述は誤りです。含水率の測定は、1本の製材の異なる2面・両小口から300mm以上離れた箇所と中央部で計6箇所が目安です。
木造の弱点は、地面に近い部分の腐れ・シロアリと、軸組部材を欠き込むことによる断面欠損です。ここは法令で範囲・可否が決まっています。
防腐・防蟻措置は、建築基準法施行令第49条で、地面から1m(100cm)以内の柱・筋かい・土台に施します。シロアリは地中から侵入するためで、「60cm以内」とする記述は範囲不足の誤りです。
もう一つが筋かいです。筋かいは地震時に軸方向力を負担する重要部材なので、施行令第45条で欠込みが禁止されています。筋かいと間柱が交差する場合は、筋かいを通して間柱側を欠き込みます。両方を半分ずつ欠く「相欠き」は筋かいにも欠込みが入るため誤りです。
土台を基礎に固定するアンカーボルトは、寸法と位置の両方が問われます。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 径 | 12mm(M12)以上 |
| 埋込み長さ | 基礎天端から 250mm以上(ホールダウン専用は 360mm以上) |
| 間隔 | 2.7m以下(枠組壁工法は 2.0m以内) |
| 位置 | 耐力壁の両端の柱の下部、土台の継手・仕口の位置(継手は上木の端部付近) |
土台の継手自体は、柱と床下換気口の位置を避けて設けます。継手付近のアンカーボルトは、押さえが効くよう上木の端部付近に置きます。「下木の端部付近」とする記述は誤りで、令和2年 No.15 の引っかけでした。
構造用合板を張った耐力壁の壁倍率は、釘の種類と打ち間隔で決まります(国土交通省告示)。たとえばCN50釘で外周部150mm間隔では壁倍率は約2.5で、3.7を得るにはより細かい間隔か太径の釘が必要です。山形プレート部で合板を切り欠いた箇所は、釘の増打ちで壁倍率を確保します。
横架材(梁・桁)は、背(幅の広い面)を上端にして使い、曲げに対する剛性を確保します。
木製の火打梁は、断面90×90mm程度とし、横架材との仕口を傾ぎ大入れとして六角ボルトで締めます。断面を「45×90mm」とする記述は寸法不足の誤りで、令和4年 No.15 で問われました。
| 論点 | 正しい記述(○)と、よくある誤り(×) |
|---|---|
| 含水率(構造材と造作材) | ○ 造作材のほうが低い(A種で造作材15%以下・構造材20%以下)/× 造作材は構造材より高くてよい |
| 防腐・防蟻の範囲 | ○ 地面から1m(100cm)以内/× 60cm以内でよい |
| 筋かいと間柱の取合い | ○ 間柱側を欠き込み筋かいを通す/× 相欠き(筋かいも欠く) |
| アンカーボルトの位置 | ○ 土台継手の上木の端部付近/× 下木の端部付近 |
| 木製火打梁の断面 | ○ 90×90mm程度/× 45×90mmでよい |
含水率は造作材ほど低い(造作15・構造20)、防腐防蟻は地面から1m、筋かいは欠込み禁止で間柱側を欠く、アンカーボルトは12mm・250mm・継手は上木の端部、火打梁は90×90。数値を小さくしたり、対象を逆にしたりするすり替えに気づけるよう、正しい値のまま固定しておきましょう。
筋かいによる耐力壁において、木材の筋かいと間柱との取合い部分は、相欠きとした。〔R7 No.15〕
×。筋かいへの欠込みは施行令第45条で禁止です。筋かいを通して間柱側を欠き込みます。これが令和7年の正答(誤りの肢)でした。
基礎の立上がりが地面から40cmの木造住宅で、防腐・防蟻措置の範囲を地面から60cm以内とした。〔R6 No.15〕
×。施行令第49条で、地面から1m(100cm)以内の柱・筋かい・土台が対象です。60cmは範囲不足です。
基礎と土台を緊結するアンカーボルトを、耐力壁両端の柱下部付近と、土台継手の下木の端部付近に設置した。〔R2 No.15〕
×。継手付近のアンカーボルトは、押さえが効く上木の端部付近に設けます。下木の端部付近では効きません。
壁倍率3.7の構造用合板を用いた耐力壁を、CN50釘で外周部を150mm間隔で打ち留めた。〔R5 No.15〕
×。CN50・外周150mm間隔の仕様は壁倍率が約2.5で、3.7には足りません。釘の間隔・種類で倍率が決まります。
| 年度 | No. | 正解 | 主に問われた論点 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 15 | 3 | 筋かいと間柱の取合い(相欠きは欠込み禁止) |
| 令和6年 | 15 | 3 | 防腐・防蟻措置の範囲(地面から1m) |
| 令和5年 | 15 | 4 | 構造用合板耐力壁の壁倍率と釘(CN50・150mm) |
| 令和4年 | 15 | 3 | 木製火打梁の断面寸法(90×90) |
| 令和3年 | 15 | 2 | 通し柱と胴差の仕口・接合金物 |
| 令和2年 | 15 | 4 | アンカーボルトの位置(継手の上木端部) |
| 令和元年 | 15 | 3 | 片筋かいの寸法と壁倍率 |
| 平成30年 | 15 | 1 | 釘の種類(N釘とFN釘の代用)・含水率測定 |
| 平成29年 | 15 | 2 | 建方精度の許容値 |
| 平成28年 | 13 | 4 | 木造の接合金物(種類・形状・用途) |
※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。木工事は10年すべてで出題されています(平成28年はNo.13、ほかの年はNo.15)。含水率・防腐防蟻・筋かい・アンカーボルト・壁倍率・火打梁といった論点がくり返し問われます。令和2年以前の解説リンクは順次追加予定です。
混同しやすいポイント
仕上げに使う造作材ほど低い含水率が求められます(A種で造作材15%以下、構造材20%以下)。「造作材は構造材より高くてよい」は逆で誤りです。
防腐・防蟻措置は地面から1m(100cm)以内の柱・筋かい・土台が対象(令49条)。60cmは範囲不足です。
筋かいへの欠込みは令45条で禁止。交差部は筋かいを通して間柱側を欠き込みます。両方を欠く「相欠き」は不可です。
出典・参考(実ページで確認)
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
誤りの選択肢は数値を小さくしたり、対象を逆にしたり、接合方法を1か所すり替える形がほとんどです。
とくに「造作材と構造材の含水率の逆転」「防腐防蟻を60cm」「筋かいを相欠き」「アンカーボルトを下木端部」は常連。正しい基準値・対象範囲・接合方法をそのまま覚えて照合してください。