建築士試験 解説ノート

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鉄筋工事のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 施工の過去問・頻出ポイント

鉄筋工事は、一級建築士 施工のNo.8で毎年出るテーマです。

コンクリートに隠れて後から直せない部分なので、数値基準を正確に覚えるのが対策になります。誤りの選択肢は、もっともらしい文章のまま数値や倍率を1か所だけすり替えてきます。まず最頻出のあきから整理します。

鉄筋のあきはどう決まるか

鉄筋のあきは、隣り合う鉄筋の間にコンクリート(粗骨材)が回り込むために必要なすき間です。JASS5では、次の3つの最大値以上とします。

条件
異形鉄筋の呼び名の数値1.5
粗骨材の最大寸法1.25
固定値25mm

たとえばD22・粗骨材20mmなら、22×1.5=33mm/20×1.25=25mm/25mm の最大で33mm以上「25mmでよい」「30mmでよい」は計算をせず固定値に飛びついた誤りです(令和7年・令和6年)。粗骨材の倍率は1.25倍(1.5倍ではない)に注意します。

かぶり厚さの部位別最小値

かぶり厚さは、鉄筋の表面からコンクリート表面までの厚さです。中性化やさびから鉄筋を守るため、部位ごとに最小値が建築基準法施行令第79条で決まっています。

部位 最小かぶり厚さ
耐力壁以外の壁・床2cm以上
耐力壁・柱・はり3cm以上
直接土に接する壁・柱・床・はり・布基礎の立上り4cm以上
基礎(布基礎立上りを除く・捨コンを除く)6cm以上

覚え方は2・3・4・6(壁床→柱梁→土に接する→基礎)。土に接するかどうかで段が変わります。

なお、現場では施工誤差を見込み、設計かぶり厚さ=最小かぶり厚さ+施工誤差(一般に10mm)で管理します。また、D29以上の太い主筋は付着割裂を防ぐため、かぶり厚さを呼び名の数値の1.5倍以上とします。

ガス圧接継手の検査基準

ガス圧接は、鉄筋の端面を突き合わせて加熱・加圧し、ふくらみをつくって一体化する継手です。外観検査の数値が問われます。

検査項目 基準(鉄筋径 d に対して)
ふくらみの直径1.4倍(1.4d)以上
ふくらみの長さ1.1倍(1.1d)以上
鉄筋中心軸の偏心量径の 1/5以下
圧接面のずれ径の 1/4以下

ふくらみの直径・長さが不足したときは再加熱・加圧で修正できます。一方、偏心量が許容(径の1/5)を超えると、再加熱では直せず、切り取って再圧接します(令和5年)。たとえばD22なら偏心量の許容は22÷5=約4.4mmで、「5mm」とすると許容超過です(平成30年)。径の異なる鉄筋を圧接するときは、細いほうの径を基準に判定します。

継手・定着・スペーサーの要点

重ね継手の長さは、径の異なる鉄筋どうしでは細いほうの鉄筋径を基準に算定します。継手は応力の小さい位置に設け、隣り合う継手位置はずらします。

大梁主筋を柱内に90度折り曲げて定着する場合、柱仕口面から鉄筋外面までの投影定着長さは柱せいの3/4以上とします。「柱せいの1/2」とすると不足で、接合部の耐力が確保できません(平成29年)。

スペーサーは、かぶり厚さを確保するために鉄筋を支える部材です。配置の目安は次のとおりです。

  • スラブ:間隔 0.9m程度・端部は 0.1m以内
  • 梁の下端筋:端部 0.5m・端部以外 1.5m程度

毎年問われる論点(○が正しい・×が誤り)

論点 正しい記述(○)と、よくある誤り(×)
鉄筋のあき ○ 3条件の最大値以上(D22なら33mm以上)/× 計算せず 25mm・30mmでよい
あきの倍率 ○ 呼び名1.5倍・粗骨材1.25倍/× 粗骨材を 1.5倍
ガス圧接の偏心量 ○ 径の1/5以下、超えたら再圧接/× 1/4を 再加熱で修正
折曲げ定着の投影定着長さ ○ 柱せいの3/4以上/× 柱せいの1/2でよい
かぶり厚さ(土に接する) ○ 4cm以上/× 2cmでよい

覚え方

あきは3条件の最大値(粗骨材は1.25倍)、かぶりは2・3・4・6、ガス圧接はふくらみ1.4d・偏心量1/5、折曲げ定着の投影定着長さは柱せいの3/4。固定値への飛びつきと、倍率・分母のすり替えに気づけるよう、条件ごとに計算・照合する習慣をつけましょう。

過去問の肢で確認

Q.

粗骨材20mm・主筋D22の柱で、鉄筋相互のあきを30mmとした。〔R7 No.8〕

×。3条件の最大値です。22×1.5=33mm/20×1.25=25mm/25mm の最大で33mm以上。30mmでは不足です。これが令和7年の正答(誤りの肢)でした。

Q.

ガス圧接で鉄筋中心軸の偏心量が径の1/4となったので、再加熱して修正した。〔R5 No.8〕

×。偏心量の許容は径の1/5以下。1/4は許容超過で、再加熱では直らず切り取って再圧接します。

Q.

大梁主筋を柱内に90度折り曲げて定着する際、投影定着長さを柱せいの1/2とした。〔H29 No.8〕

×。投影定着長さは柱せいの3/4以上が必要です。1/2では接合部の耐力が確保できません。

Q.

ガス圧接部のふくらみの直径は、鉄筋径の1.4倍以上が必要である。〔基本〕

。ふくらみの直径は1.4d以上、長さは1.1d以上が基準です(SD490はそれぞれ1.5d・1.2d以上)。不足は再加熱・加圧で修正できます。

過去問の出題一覧(一級建築士 施工 No.8)

年度 No. 正解 主に問われた論点
令和7年81鉄筋のあき(D22で33mm)
令和6年83鉄筋のあき(D19・D22で33mm)
令和5年81ガス圧接の偏心量(1/4は再圧接)
令和4年81各部の標準寸法(重ね継手・フック・定着)
令和3年82各部の寸法(定着・継手・かぶり)
令和2年83ガス圧接の外観検査(検査項目と形状)
令和元年83継手位置(柱・大梁主筋の一般的な位置)
平成30年84ガス圧接の偏心量(径の1/5・D22で約4.4mm)
平成29年81大梁主筋の定着(投影定着長さ 柱せいの3/4)
平成28年83鉄筋の圧延マーク(種類の判別)

※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。鉄筋工事は毎年No.8で出題され、あき・かぶり厚さ・ガス圧接・定着・継手の数値基準がくり返し問われます(図や組合せで寸法を問う年もあります)。令和4年以前の解説リンクは順次追加予定です。

混同しやすいポイント

あき と かぶり厚さ

「あき」は鉄筋どうしのすき間(3条件の最大値)。「かぶり厚さ」は鉄筋表面からコンクリート表面までの厚さ(部位別の最小値)。別の概念です。

偏心量(1/5以下) と 圧接面のずれ(1/4以下)

ガス圧接で、鉄筋中心軸の偏心量は径の1/5以下、圧接面のずれは径の1/4以下。分母を取り違えやすいので、偏心量=1/5・ずれ=1/4で覚えます。

あきの「呼び名1.5倍」 と 「粗骨材1.25倍」

呼び名(鉄筋径)は1.5倍、粗骨材最大寸法は1.25倍。倍率の取り違えに注意します(粗骨材を1.5倍と誤りやすい)。

まちがえやすいポイント

誤りの選択肢は計算をせず固定値(25mm)に飛びつかせたり、倍率や分母をすり替えたりする形がほとんどです。

とくに「あきは3条件の最大値」「かぶりは2・3・4・6」「偏心量1/5・ずれ1/4」「投影定着は柱せいの3/4」は常連。条件ごとに正しい値を計算・照合してください。

次に確認するページ

出典・参考(実ページで確認)

  • 鉄筋のあき(JASS5)=①呼び名の数値の1.5倍 ②粗骨材最大寸法の1.25倍 ③25mm の最大値以上
  • 建築基準法施行令第79条(最小かぶり厚さ=耐力壁以外の壁・床2cm/耐力壁・柱・はり3cm/直接土に接する部分4cm/基礎6cm)
  • 設計かぶり厚さ=最小かぶり厚さ+施工誤差(一般に10mm)、D29以上の主筋は呼び名の1.5倍以上:公共建築工事標準仕様書・JASS5
  • ガス圧接の外観検査(ふくらみ直径1.4d以上・長さ1.1d以上・偏心量1/5以下・圧接面のずれ1/4以下、径違いは細いほうの径を基準):JASS5
  • 梁主筋の柱内90度折曲げ定着の投影定着長さ=柱せいの3/4以上:RC規準・JASS5
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科V(施工)問題」各年度、正答は同センター公表の正答肢による
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「施工」を過去問の問われ方から整理しています。運営者情報

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