コンクリート工事は、一級建築士 施工のNo.10・11で毎年2問出る山場です。
「調合 → 受入れ → 打込み → 養生」の流れで管理値を覚えます。誤りの選択肢は、上限と下限を逆にしたり、許容差を1か所すり替えたりしてきます。だから「どの値がどっち向きの基準(上限か下限か)か」を取り違えないことが対策になります。工程順に整理します。
調合は、耐久性とワーカビリティのために材料の量に上限・下限を設けます。とくに水は少ないほどよい(上限が決まる)のが基本です。
| 項目 | 管理値(普通コンクリート) |
|---|---|
| 水セメント比 | 最大 65%(普通ポルトランド) |
| 単位水量 | 最大 185kg/m³ |
| 単位セメント量 | 最小 270kg/m³ |
| 調合管理強度 | 設計基準強度と耐久設計基準強度の大きい方+構造体強度補正値 |
水セメント比と単位水量は「最大」(小さいほど耐久性が高い)、単位セメント量は「最小」(少なすぎると不足)です。向きを逆にした記述がよくある誤りです。なお角張った骨材や実積率の小さい骨材ほど、すき間を埋めるため単位水量は大きくなります(令和5年)。
現場到着時の受入れ検査では、スランプ・空気量・塩化物量を測ります。許容差の数値が問われます。
| 項目 | 許容差・基準 |
|---|---|
| スランプ 8cm以上18cm以下 | ±2.5cm |
| スランプ 21cm | ±1.5cm |
| スランプフロー 50cm | ±7.5cm |
| スランプフロー 60cm | ±10cm |
| 空気量(普通) | 4.5%、許容差 ±1.5% |
| 塩化物イオン量 | 0.30kg/m³以下 |
スランプは値が大きい(軟らかい)ほど許容差が小さくなる傾向に注意します。指定値と測定値の差が許容差を超えれば不合格です(令和7年)。
打込みでは、先に打ったコンクリートと一体化させる打重ね時間が核心です。時間が空くとコールドジョイント(一体化しない継ぎ目)ができます。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 打重ね時間間隔の限度 | 外気温25℃以下 150分以内、25℃超 120分以内 |
| 湿潤養生期間(短期・標準) | 普通ポルトランド 5日以上、早強 3日以上、混合セメントB種 7日以上 |
| マスコンクリートの温度対策 | 表面散水(急冷)は逆効果。断熱養生・パイプクーリングで緩やかに |
気温が高いほど硬化が速いので、打重ね時間は短くなります(25℃を境に150分→120分)。マスコンクリートは内外の温度差がひび割れの原因なので、表面を急に冷やす散水はかえって逆効果です(令和6年)。
| 論点 | 正しい記述(○)と、よくある誤り(×) |
|---|---|
| 水セメント比・単位水量 | ○ 最大65%・最大185(上限)/× 最小とする(向きが逆) |
| 単位セメント量 | ○ 最小270(下限)/× 最大とする |
| 打重ね時間間隔 | ○ 25℃以下150分・25℃超120分/× 気温が高いほど 長く |
| マスコンの温度対策 | ○ 断熱養生・パイプクーリング/× 表面散水で急冷 |
| 骨材と単位水量 | ○ 実積率が小さい・角張った骨材ほど大きく/× 小さく |
水セメント比は最大65%・単位水量は最大185・単位セメント量は最小270、スランプ8〜18は±2.5、打重ねは25℃以下150分・超120分、マスコンは断熱養生。上限・下限の向きと、気温による時間の変化を取り違えないよう固定しておきましょう。
マスコンクリートで内部温度が著しく上昇したので、表面に散水して急冷した。〔R6 No.11〕
×。表面散水は内外の温度差を拡大し、ひび割れを助長します。断熱養生・パイプクーリングで緩やかに冷やします。これが令和6年の正答(誤りの肢)でした。
実積率が小さく角張った粗骨材を用いるとき、単位水量を小さくする。〔R5 No.10〕
×。実積率が小さい・角張った骨材ほど、すき間を埋めるため単位水量は大きくなります。小さくはできません。
普通ポルトランドセメントを用いた普通コンクリートの水セメント比は、最小65%とする。〔基本〕
×。水セメント比は最大65%(上限)です。小さいほど耐久性が高くなります。「最小」は向きが逆で誤りです。
スランプ8cm以上18cm以下を指定したコンクリートの許容差は±2.5cmである。〔基本〕
〇。スランプ8〜18cmは±2.5cm。スランプ21cmは±1.5cm、スランプフロー50cmは±7.5cmです。
| 年度 | No. | 正解 | 主に問われた論点 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 10 | 2 | 計画調合(水セメント比・単位水量) |
| 令和7年 | 11 | 2 | 受入れ検査(スランプフロー・空気量) |
| 令和6年 | 10 | 1 | 品質管理及び検査 |
| 令和6年 | 11 | 2 | 打重ね時間・マスコン(表面散水) |
| 令和5年 | 10 | 3 | 計画調合(骨材と単位水量) |
| 令和5年 | 11 | 4 | 打込み・圧送(ベント管閉塞) |
| 令和4年 | 10 | 2 | レディーミクストの受入れ検査 |
| 令和4年 | 11 | 4 | 打込み・養生の管理 |
| 令和3年 | 10 | 1 | 計画調合(材料の絶対容積) |
| 令和3年 | 11 | 4 | 受入検査(スランプの許容差) |
| 令和2年 | 10・11 | 2・1 | 受入れ検査の判定・調合管理強度 |
| 令和元年 | 10・11 | 4・2 | 監理者の検査・構造体強度 |
| 平成30年 | 10・11 | 4・2 | 調合・打込みの管理 |
| 平成29年 | 10・11 | 2・4 | 計画調合(絶対容積)・打込み |
| 平成28年 | 10・11 | 4・2 | 調合管理強度・打込み |
※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。コンクリート工事は毎年No.10・11の2問で出題され、調合(上限下限)・受入れ検査(許容差)・打込み・養生がくり返し問われます(No.12はプレキャスト鉄筋コンクリート工事で別テーマ)。令和3年 No.10以前の一部は解説リンクを順次追加予定です。
混同しやすいポイント
水セメント比65%・単位水量185kg/m³は上限(小さいほど耐久性が高い)。単位セメント量270kg/m³は下限(少なすぎると不足)。上限・下限の向きを逆にした記述がよくある誤りです。
スランプ8〜18cmは±2.5cm、21cmは±1.5cm。スランプフローは50cmで±7.5cm、60cmで±10cm。値ごとに許容差が違います。
気温が高いほど硬化が速く、打重ね時間は短くなります。25℃以下で150分、25℃を超えると120分が限度です。
出典・参考(実ページで確認)
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
誤りの選択肢は上限と下限を逆にしたり、許容差や時間の数値を1か所すり替えたりする形がほとんどです。
とくに「水セメント比は最大65%」「単位セメント量は最小270」「スランプ8〜18は±2.5」「打重ねは25℃以下150分」は常連。正しい値と向き(上限・下限)を照合してください。