一級建築士 学科Ⅱ(環境・設備)のNo.19は、特定の分野でなく建築設備の総合から毎年1問出ます。中心は、設備の耐震設計・昇降機(エレベーター)・設備機器の3つです。引っかけは、耐震の「向き」(鉛直震度・免震)と、エレベーターの管制運転で集中します。
No.19は過去10年すべてで建築設備の総合から出ています。耐震・昇降機・設備機器を1問に混ぜ、向きや定義のすり替えを見抜かせます。問題本文は公式PDFで確認できます。
| 年度・No. | 正解 | 誤り肢の核心(問われた論点) |
|---|---|---|
| 令和7年 No.19 | 3 | 免震で鉛直震度が低減され設備の鉛直震度を小さくできる(鉛直は低減されにくい) |
| 令和6年 No.19 | 1 | 地震時に乗用EVで乗客を避難階へ帰着させ避難させる(避難に使わない)。非常用EV60m/分・自然冷媒は正 |
| 令和5年 No.19 | 4 | EXP.J.に給水管をやむを得ず通す場合は高層部に配管(正しくは低層部) |
| 令和4年 No.19 | 1 | APF=消費電力量÷総合負荷(正しくは総合負荷÷消費電力量) |
| 令和3年 No.19 | 4 | マルチパッケージ屋外機は分散より集中が効率的(分散で冷媒管が短く効率向上) |
| 令和2年 No.19 | 1 | 天井放射冷房は潜熱処理が主目的(顕熱処理が主) |
| 令和元年 No.19 | 1 | 冷却塔を外気取入れ口に近い位置に計画(離す) |
| 平成30年 No.19 | 3 | 省エネ設備計画(アモルファスは単結晶より変換効率が高い=誤り) |
| 平成29年 No.19 | 4 | エレベーター(地震時に乗用EVを避難に使う計画=誤り) |
| 平成28年 No.19 | 3 | 建築設備(乗用EVを火災時の避難に使う計画=誤り。局部震度法は正) |
くり返されるのは2点です。耐震の向き(鉛直震度は水平の1/2・免震でも鉛直は減らない)と、エレベーターは避難に使わない(管制運転で停止・帰着)。この2点で多くの誤り肢を外せます。
| 記述 | 正誤 |
|---|---|
| 設計用鉛直震度は、特別な検討をしない場合、設計用水平震度の1/2とする | ○ |
| 免震構造にすれば、設備機器の設計用鉛直震度を小さくできる | × |
| 設計用標準震度は、上層階ほど、また防振支持された機器ほど大きい | ○ |
| 地震発生時、乗用エレベーターで乗客を避難階へ帰着させ避難させる | × |
| APFは、年間の冷暖房の総合負荷を年間消費電力量で割った値で、大きいほど高効率 | ○ |
設計用鉛直震度は水平震度のどれくらい?免震だと小さくできる?
特別な検討をしない場合、鉛直震度は水平震度の1/2です。免震は水平方向の地震力を下げますが、鉛直方向は低減されにくいので、設備機器の鉛直震度を小さくはできません(令和7年No.19の誤り肢)。
地震時・火災時に、乗用エレベーターはどう動かす?
管制運転で最寄階や避難階に停止・帰着させ、運転を休止します。乗客の避難手段としては使いません。「地震時にEVで避難させる」は誤りで、複数年出ています。
APFはどう計算する?
年間の冷房・暖房の総合負荷 ÷ 年間の消費電力量です。大きいほど高効率。分母と分子を逆にした「消費電力量÷総合負荷」は誤りで、令和4年No.19で出ました。
非常用エレベーターの定格速度は?
60m/分以上です。2基以上設ける場合は避難上・消火上有効な間隔を保って配置します。
No.19の建築設備の総合は、耐震・昇降機・設備機器の3つから出ます。耐震は「鉛直震度は水平の1/2・免震でも鉛直は減らない・上層と防振機器で割増」、昇降機は「エレベーターは避難に使わず管制運転・非常用は60m/分」、設備機器は「APF=総合負荷÷消費電力量・自然冷媒・冷却塔は外気取入れ口から離す」。向きと定義のすり替えに気づければ、毎年のNo.19を取れます。
出典・参考(一次資料・複数資料で確認)
※ このページの確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
設計用鉛直震度は水平の1/2、免震でも鉛直は低減されにくい。エレベーターは避難に使わない(管制運転で停止)。
「免震だから設備の鉛直震度を小さくできる」「地震時にEVで避難」「APF=消費電力量÷負荷」と書いてあれば誤りです。非常用EVの定格速度は60m/分以上です。