建築士試験 解説ノート

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建築設備の総合(耐震・昇降機ほか)のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 環境・設備の過去問・頻出ポイント

一級建築士 学科Ⅱ(環境・設備)のNo.19は、特定の分野でなく建築設備の総合から毎年1問出ます。中心は、設備の耐震設計・昇降機(エレベーター)・設備機器の3つです。引っかけは、耐震の「向き」(鉛直震度・免震)と、エレベーターの管制運転で集中します。

設備の耐震設計はどう問われるのか

  • 設備機器の地震力は局部震度法で求め、設計用標準震度を用います。設計用標準震度は、上層階ほど大きく、防振支持された機器ほど大きくします。
  • 特別な検討をしない場合、設計用鉛直震度は設計用水平震度の1/2とします。
  • 免震構造にすると水平方向の地震力は小さくなりますが、鉛直方向は低減されにくいので、設備機器の鉛直震度を小さくはできません。
  • 防振架台上の機器には耐震ストッパを設け、運転中に接触しない範囲でできるだけ小さな隙間とします。
  • エキスパンションジョイント部分は、原則として給水管を通しません。やむを得ず通す場合は、変位の小さい低層部に配管します(高層部ではありません)。

エレベーター・エスカレーター

  • 乗用エレベーターは、地震時管制運転で最寄階に停止させ乗客を降ろします。災害時の避難には使わないのが原則です(避難階へ「帰着させて避難させる」は誤り)。火災時は火災時管制運転で避難階へ帰着させ運転を休止します。
  • 非常用エレベーターの籠の定格速度は、60m/分以上とします。2基以上設けるときは避難上・消火上有効な間隔を保ちます。
  • エスカレーターは落下防止のため、一端を梁等に固定し、非固定端は隙間とかかり代を確保します。
  • 多数台のエレベーターは群管理方式で、省エネとサービス向上を両立します。

設備機器(給湯・冷媒・効率・配置)

  • ヒートポンプ給湯機は大気の熱を利用し、冷媒に二酸化炭素(自然冷媒)を用いたものがあります。自然冷媒には、ほかにアンモニア・水があります。
  • APF(通年エネルギー消費効率)は、年間の冷房・暖房の総合負荷を、年間の消費電力量で割った値です。大きいほど高効率です(消費電力量を負荷で割るのは逆)。
  • 冷却塔は、排気が外気取入れ口に回り込まないよう、外気取入れ口から離して配置します(近くに計画するのは誤り)。
  • 天井放射冷房は顕熱処理が主目的で、潜熱は別途処理します(潜熱処理が主目的は誤り)。マルチパッケージの屋外機は、冷媒管が短く高低差が小さいほど運転効率が上がります。

過去問では、建築設備の総合はどう問われたか

No.19は過去10年すべてで建築設備の総合から出ています。耐震・昇降機・設備機器を1問に混ぜ、向きや定義のすり替えを見抜かせます。問題本文は公式PDFで確認できます。

年度・No. 正解 誤り肢の核心(問われた論点)
令和7年 No.193免震で鉛直震度が低減され設備の鉛直震度を小さくできる(鉛直は低減されにくい)
令和6年 No.191地震時に乗用EVで乗客を避難階へ帰着させ避難させる(避難に使わない)。非常用EV60m/分・自然冷媒は正
令和5年 No.194EXP.J.に給水管をやむを得ず通す場合は高層部に配管(正しくは低層部)
令和4年 No.191APF=消費電力量÷総合負荷(正しくは総合負荷÷消費電力量)
令和3年 No.194マルチパッケージ屋外機は分散より集中が効率的(分散で冷媒管が短く効率向上)
令和2年 No.191天井放射冷房は潜熱処理が主目的(顕熱処理が主)
令和元年 No.191冷却塔を外気取入れ口に近い位置に計画(離す)
平成30年 No.193省エネ設備計画(アモルファスは単結晶より変換効率が高い=誤り)
平成29年 No.194エレベーター(地震時に乗用EVを避難に使う計画=誤り)
平成28年 No.193建築設備(乗用EVを火災時の避難に使う計画=誤り。局部震度法は正)

くり返されるのは2点です。耐震の向き(鉛直震度は水平の1/2・免震でも鉛直は減らない)と、エレベーターは避難に使わない(管制運転で停止・帰着)。この2点で多くの誤り肢を外せます。

まちがえやすいポイント

設計用鉛直震度は水平の1/2、免震でも鉛直は低減されにくい。エレベーターは避難に使わない(管制運転で停止)

「免震だから設備の鉛直震度を小さくできる」「地震時にEVで避難」「APF=消費電力量÷負荷」と書いてあれば誤りです。非常用EVの定格速度は60m/分以上です。

論点○×(直前チェック)

記述 正誤
設計用鉛直震度は、特別な検討をしない場合、設計用水平震度の1/2とする
免震構造にすれば、設備機器の設計用鉛直震度を小さくできる×
設計用標準震度は、上層階ほど、また防振支持された機器ほど大きい
地震発生時、乗用エレベーターで乗客を避難階へ帰着させ避難させる×
APFは、年間の冷暖房の総合負荷を年間消費電力量で割った値で、大きいほど高効率

理解度チェック

Q.

設計用鉛直震度は水平震度のどれくらい?免震だと小さくできる?

特別な検討をしない場合、鉛直震度は水平震度の1/2です。免震は水平方向の地震力を下げますが、鉛直方向は低減されにくいので、設備機器の鉛直震度を小さくはできません(令和7年No.19の誤り肢)。

Q.

地震時・火災時に、乗用エレベーターはどう動かす?

管制運転で最寄階や避難階に停止・帰着させ、運転を休止します。乗客の避難手段としては使いません。「地震時にEVで避難させる」は誤りで、複数年出ています。

Q.

APFはどう計算する?

年間の冷房・暖房の総合負荷 ÷ 年間の消費電力量です。大きいほど高効率。分母と分子を逆にした「消費電力量÷総合負荷」は誤りで、令和4年No.19で出ました。

Q.

非常用エレベーターの定格速度は?

60m/分以上です。2基以上設ける場合は避難上・消火上有効な間隔を保って配置します。

まとめ

No.19の建築設備の総合は、耐震・昇降機・設備機器の3つから出ます。耐震は「鉛直震度は水平の1/2・免震でも鉛直は減らない・上層と防振機器で割増」、昇降機は「エレベーターは避難に使わず管制運転・非常用は60m/分」、設備機器は「APF=総合負荷÷消費電力量・自然冷媒・冷却塔は外気取入れ口から離す」。向きと定義のすり替えに気づければ、毎年のNo.19を取れます。

出典・参考(一次資料・複数資料で確認)

  • 建築設備の耐震設計(局部震度法・設計用標準震度は上層階ほど大・防振機器は割増、設計用鉛直震度は設計用水平震度の1/2、免震でも鉛直は低減されにくい)。建築設備耐震設計・施工指針ほかで照合。
  • 非常用エレベーターの籠の定格速度60m/分以上(建築基準法施行令)。APF(通年エネルギー消費効率)=年間冷暖房総合負荷÷年間消費電力量(日本冷凍空調学会ほか)。自然冷媒(アンモニア・CO₂・水)。
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科II(環境・設備)問題」平成28〜令和7年。正答は公式の正答表による。
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「環境・設備」を過去問から整理しています。運営者情報

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