省エネ・環境性能の指標は、一級建築士 学科Ⅱ(環境・設備)のNo.20あたりで毎年問われます。問われるのは、それぞれの指標が何を表すかと、値が大きいほど良いのか小さいほど良いのか(向き)です。引っかけは「定義のすり替え」と「向きの逆転」に集中します。まず早見表でまとめます。
| 指標 | 何を表すか | 値の向き |
|---|---|---|
| UA値(外皮平均熱貫流率) | 外皮から逃げる熱の量(W/m²K) | 小さいほど断熱が良い |
| ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率) | 冷房期に入る日射の量 | 小さいほど日射遮蔽が良い |
| PAL*(パルスター・非住宅の外皮) | 外皮の年間熱負荷(MJ/m²年) | 小さいほど外皮性能が良い |
| BEI | 設計一次エネルギー消費量 ÷ 基準一次エネルギー消費量 | 1.0以下で適合・小さいほど良い |
| 一次エネルギー消費量等級 | 省エネ基準への到達度(等級4=基準相当) | 大きいほど良い |
| CASBEE(BEE) | 環境品質Q ÷ 環境負荷L | 大きいほど良い(S〜C・★表示) |
| BELS | 建築物の省エネ性能の表示制度 | ★が多いほど省エネ性能が高い |
UA値・ηAC値・PAL*・BEIは「小さいほど良い」、一次エネ等級・CASBEE・BELSは「大きい(多い)ほど良い」です。向きをセットで覚えます。ZEB・ZEHの区分はZEBの4区分に、製造・解体時の排出はエンボディドカーボンにまとめています。
この分野は学科ⅡのNo.20(環境・設備の総合)を中心に、過去10年でほぼ毎年出ます。多くは指標の定義と値の向きを正しく言えるかが課題です。問題本文は公式PDFで確認できます。
| 年度・No. | 正解 | 問われた論点 |
|---|---|---|
| 令和7年 No.20 | 4 | 外皮性能基準を「暖房期の日射熱取得率」とした(誤り=冷房期ηAC)。エンボディドカーボン・ZEH・一次エネ等級4は正しい |
| 令和5年 No.20 | 2 | BEIを「省エネ量÷基準一次エネ」とした(誤り=設計÷基準)。ZEB Ready 50%・PAL*は小さいほど良いは正しい |
誤りに仕立てられるのは、BEIの定義のすり替え(設計÷基準を、省エネ量÷基準などに)と、外皮基準の暖房期と冷房期の取り違えです。指標の向きまで覚えていれば外せます。
| 記述 | 正誤 |
|---|---|
| BEIは、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で割った値である | ○ |
| 外皮性能基準は、UA値と暖房期の平均日射熱取得率で評価する | ×(冷房期ηAC) |
| PAL*は、値が小さいほど外皮の熱性能が高い | ○ |
| CASBEEのBEEは、値が小さいほど環境性能が高い | ×(大きいほど良い) |
| ZEB Readyは、再エネを除き基準から50%以上の省エネを達成した建築物である | ○ |
BEIはどう計算する?適合の目安は?
設計一次エネルギー消費量 ÷ 基準一次エネルギー消費量です。1.0以下で省エネ基準に適合し、小さいほど省エネ性能が高くなります。令和5年No.20で定義のすり替えが誤りの肢でした。
外皮性能の基準は、暖房期と冷房期のどちらの日射熱取得率?
冷房期です。UA値(外皮平均熱貫流率)と、冷房期の平均日射熱取得率ηACを地域区分ごとの基準値以下にします。令和7年No.20で「暖房期」とした肢が誤りでした。
CASBEEのBEEは、大きいほど良い?小さいほど良い?
大きいほど良いです。BEE=環境品質Q÷環境負荷Lで、Qが高くLが低いほど値が大きくなり、S・A・B+・B−・Cの上位になります。
UA値・ηAC値・PAL*・BEIは、大きいほど良い?
いずれも小さいほど良い指標です。逆に、一次エネルギー消費量等級・CASBEEのBEE・BELSの★は、大きい(多い)ほど良い向きです。
省エネ・環境性能の指標は、意味と値の向きをセットで押さえます。UA値・ηAC値(冷房期)・PAL*・BEIは小さいほど良く、一次エネ等級・CASBEEのBEE・BELSは大きい(多い)ほど良い向きです。BEIは設計÷基準で1.0以下が適合、外皮はUA値と冷房期のηAC、と覚えれば、No.20は安定して取れます。
出典・参考(一次資料・複数資料で確認)
※ このページの確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
BEI=設計一次エネ÷基準一次エネ(1.0以下で適合)、外皮はUA値+冷房期のηACです。
「BEIは省エネ量÷基準」「外皮は暖房期の日射熱取得率」「CASBEEのBEEは小さいほど良い」と書いてあれば誤りです。CASBEEのBEE=Q÷Lは大きいほど良い、PAL*は小さいほど良い、です。