建築士試験 解説ノート

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空調設備のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 環境・設備の過去問・頻出ポイント

空調設備は一級建築士 環境・設備のNo.11〜13で、過去10年は毎年2〜3問出ます。問われるのは、空調方式の長所と短所、熱源の効率(COP)、外気冷房などの省エネです。引っ掛けは、方式の利点や条件を逆にした選択肢が多いです(VAVは搬送動力を減らせない、外気冷房は外気が暑いときに使う、など)。まず空調方式から押さえます。

空調方式の早見表(CAV・VAV・ファンコイル・放射)

方式 特徴
単一ダクト CAV(定風量) 風量は一定。給気温度を変えて調整する。
単一ダクト VAV(変風量) 負荷に応じて風量を変える。部分負荷で搬送動力を減らせる省エネ方式。風量が減りすぎると換気量不足に注意。
ファンコイルユニット(FCU) 冷温水で各室を空調。個別制御に向き、窓際(ペリメータ)に使う。
放射空調(冷温水パネル) 気流や温度むらが少なく快適。冷房時はパネルの結露に注意。

CAVとVAVの違いは調整のしかたです。CAVは風量を変えず給気温度で、VAVは風量を変えて室温を合わせます。

熱源と効率(COP)

熱源は、つくり方と効率(COP)で選びます。圧縮式冷凍機は電気で動き効率が高め、吸収式冷凍機は排熱やガスを使い電力ピークを抑えます。蓄熱は夜間につくった冷温熱を昼に使います。

COP(成績係数)は、能力を消費電力で割った値です(COP=能力÷消費電力)。1を超え、値が大きいほど効率が高くなります。井水などの水熱源ヒートポンプは、外気との温度差が小さいぶん、空気熱源よりCOPが高くなります。

省エネの工夫(外気冷房・ナイトパージ)

外気冷房は、外気をそのまま冷房に使う方法です。外気のエンタルピー(熱量)が室内より低いときに、冷凍機を使わず冷やせます。

ナイトパージは、夜間に外気を取り入れて躯体を冷やし、翌朝の冷房負荷を減らします。冷却塔だけで冷水をつくるフリークーリングも同じ考え方です。

事務所ビルでは、窓際のペリメータ(外気・日射の影響が大きい)とインテリア(内部発熱が中心)に分けてゾーニングし、負荷特性に合った方式を選びます。

まちがえやすいポイント

VAV(変風量)は、部分負荷で搬送動力を減らせるのが利点です。「VAVは搬送動力を削減できない」は逆で誤りです。

外気冷房は、外気のエンタルピーが室内より低いときに使えます。「外気のエンタルピーが高いとき」は誤りです。COPは大きいほど高効率で、ここも大小の取り違えに注意します。

過去問の論点○×

過去10年で繰り返された論点を、正しい記述(○)と引っ掛け(×)で並べます。

記述 ○×
井水を熱源とする水熱源ヒートポンプは、空気熱源ヒートポンプに比べてCOPが高い
ナイトパージは、夜間に外気を導入して翌日の空調立上げ(冷房)負荷を減らす
VAV(変風量)方式は、部分負荷時に送風量を絞り、搬送動力を削減できる
COPは消費電力に対する能力の比で、値が大きいほど高効率である
外気冷房は、外気のエンタルピーが室内空気より高い場合に冷房に利用できる ×
遠心冷凍機の冷水出口温度を高く設定すると、COPは低くなる ×
VAV方式は給気温度を変えて室温を調整し、送風量は一定である ×

×を正しく直すと、外気冷房は外気のエンタルピーが室内より低いときに使える/遠心冷凍機は冷水出口温度を高くするとCOPは高くなる/送風量を変えるのはVAV、給気温度を変え送風量一定なのはCAV、です。

過去問の出題一覧(一級建築士 環境・設備)

空調設備は、方式・熱源・省エネから毎年No.11〜13で複数問が出ています。正解番号は建築技術教育普及センターの公表正答によります。

年度 No. 正解 論点/解説
令和7年(2025)133空気調和設備(外気冷房・COP・ナイトパージ) ※No.12(正解3)空調計画も出題
令和6年(2024)121空調・換気・排煙設備 ※No.13(正解3)空調・換気計画も出題
令和5年(2023)112空気調和設備 ※No.12(正解3)空気調和設備も出題
令和4年(2022)122空気調和設備 ※No.11(正解1)空調負荷も出題
令和3年(2021)111空気調和設備 ※解説は順次追加予定
令和2年(2020)114COP・熱源のエネルギー効率 ※解説は順次追加予定
令和元年(2019)113空気調和設備 ※解説は順次追加予定
平成30年(2018)122空気調和設備 ※No.13(正解2)でも空調を出題。解説は順次追加予定
平成29年(2017)134空気調和設備 ※解説は順次追加予定
平成28年(2016)122空気調和設備 ※No.11(正解2)で冷凍機も出題。解説は順次追加予定

覚え方

  • CAVは風量一定・温度で調整。VAVは風量を変えて部分負荷で搬送動力を削減(換気量不足に注意)。
  • ファンコイルは個別制御・窓際向き。放射空調は快適だが冷房時の結露に注意。
  • COPは能力÷消費電力、大きいほど高効率。水熱源は空気熱源よりCOPが高い。
  • 外気冷房は外気エンタルピーが室内より低いときに使える。ナイトパージは夜間外気で躯体を冷やす。

理解度チェック

Q.

VAV(変風量)方式は、部分負荷でも搬送動力を減らせない?

減らせます。VAVは負荷に応じて風量を下げるため、部分負荷時に送風(搬送)動力を削減できるのが利点です。ただし風量が減りすぎると換気量不足に注意します。

Q.

外気冷房は、外気のエンタルピーが室内より高いときに使う?

違います。外気冷房は、外気のエンタルピー(熱量)が室内より低いときに、冷凍機を使わず外気で冷やす方法です。

Q.

COP(成績係数)は、値が小さいほど効率が高い?

違います。COPは能力÷消費電力で、値が大きいほど効率が高いです(1を超えます)。水熱源は空気熱源よりCOPが高くなります。

出典・参考

  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科II(環境・設備)問題」および「正答肢」各年度
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「環境・設備」を過去問から整理しています。運営者情報

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