建築士試験 解説ノート

建築士試験 解説ノート
  1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 一級建築士 法規
  4. > 階段の寸法(蹴上げ・踏面・幅)の基準

階段の寸法(蹴上げ・踏面・幅)の基準|令23条の表と中間手すり・機械室用の緩和(一級建築士 法規)

階段の寸法とは、建築基準法施行令23条で用途ごとに決まる蹴上げ踏面・幅の基準です。建物の使われ方が変わると、要求される寸法も変わります。

蹴上げは「これ以下」という上限、踏面と幅は「これ以上」という下限で決まります。のぼる人が多く危険な階段ほど、蹴上げを低く、踏面と幅を広くとります。

試験では、用途別の数値そのものに加えて、機械室用の特例(令27条)と中間手すりの緩和(令25条)が、正しい記述として出されます。

用途別の寸法はどう決まるのか

令23条1項の表が基本です。蹴上げの最大、踏面の最小、階段とその踊場の幅の最小を、階段の種別ごとに定めています。

階段の種別 蹴上げ 踏面
(1) 小学校の児童用 16cm以下 26cm以上 140cm以上
(2) 中学・高校等の生徒用/物販店舗(1,500㎡超)/劇場・映画館・公会堂・集会場等の客用 18cm以下 26cm以上 140cm以上
(3) 直上階の居室の床面積合計200㎡超の地上階/居室100㎡超の地階等 20cm以下 24cm以上 120cm以上
(4) その他 22cm以下 21cm以上 75cm以上
住宅(共同住宅の共用階段を除く) 23cm以下 15cm以上 75cm以上

大きく見ると、子どもや不特定多数が使う階段ほど蹴上げが低く踏面が広く、住宅やその他はゆるくなります。住宅の階段は蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上で、いちばんきつくできます。

屋外階段は別扱いで、直通階段の幅は90cm以上、その他の屋外階段は60cm以上に緩和されます。

表のほかに押さえる4つの条文

  • 回り階段の踏面は、狭いほうの端から30cmの位置で測ります(令23条2項)。内側の狭い部分で測らせる引っかけに注意します。
  • 階段の幅を測るとき、手すりや高さ10cm以下の出っ張りは、ないものとみなして算定します(令23条3項)。
  • 踊場は、(1)(2)の階段は高さ3m以内ごと、その他は高さ4m以内ごとに設けます。直階段の踊場の踏幅は120cm以上です(令24条)。
  • 高さ1mを超える階段には手すりを設けます。幅が3mを超える階段は中間にも手すりが必要です(令25条)。

中間手すりと機械室用が「緩和」される

令25条には中間手すりの緩和があります。幅が3mを超えても、蹴上げが15cm以下、かつ、踏面が30cm以上のゆるい階段なら、中間に手すりを設けなくてかまいません。なお、高さ1m以下の階段の部分には、令25条の手すりの規定は適用されません。

もう一つが令27条です。昇降機機械室用や物見塔用など、特殊の用途に専用する階段には、令23条から26条までを適用しません。だから機械室用の階段は、表の制限を受けず、蹴上げ23cm・踏面15cmのような急な寸法にもできます。

階段に代わる傾斜路(スロープ)は令26条で、勾配を1/8を超えないものとし、表面を粗面か滑りにくい材料で仕上げます。1/12はバリアフリー法の基準で、別物です。

過去問10年でどう問われたか

階段は、一級建築士 法規(学科Ⅲ)の一般構造(No.5あたり)で過去10年に6年出ています。寸法そのものは令和元年・令和2年・令和5年・令和6年・令和7年の5年、令和4年は踏面の端部の識別(バリアフリー)でした。問題本文は公式PDFで確認できます。

多くは「正しい肢」として、機械室用の特例や中間手すりの緩和を見抜けるかを問います。誤りに仕立てられるのは、令和7年のように数値の組合せがずれているときです。

年度・No. 出た階段の記述
令和元年 No.5 劇場の昇降機機械室用階段の蹴上げは23cmにできる(正・令27条)。手すりは10cmを限度に幅算定で無視(正)。誤りは別の肢
令和2年 No.20 幅3m超の共同住宅の階段で、蹴上げ15cm以下かつ踏面30cm以上なら中間手すり不要(正・令25条)。誤りは別の肢
令和5年 No.20 幅3m超の劇場の階段で、蹴上げ15cm以下かつ踏面30cm以上なら中間手すり不要(正・令25条)。誤りは別の肢
令和6年 No.5 劇場の昇降機機械室用階段の蹴上げ23cm・踏面15cmにできる(正・令27条。正しい組合せに含まれる)
令和7年 No.5 蹴上げ・踏面の組合せが表に合うかの計算問題。直上階の居室床面積の区分に合わない組合せが誤り

正しい肢の多くは、機械室用(令27条)と中間手すりの緩和(令25条)です。緩和の条件を覚えていれば「正しい」と判断できます。

引っかけの型

  • 上限と下限のすり替え:蹴上げは「以下」(最大)、踏面と幅は「以上」(最小)。向きを逆にした記述は誤りです。
  • 機械室用は表どおり、と読ませる:昇降機機械室用や物見塔用は令27条で表の制限を受けません。急な寸法でも可です。
  • 中間手すりの緩和を見落とさせる:幅3m超でも、蹴上げ15cm以下かつ踏面30cm以上なら中間手すりは不要です。

まちがえやすいポイント

蹴上げは「以下」(最大)、踏面と幅は「以上」(最小)です。きつくしてよい向きと、ゆるくしないといけない向きが逆なので、ここがいちばん狙われます。

「踏面は◯cm以下」「蹴上げは◯cm以上」と上限・下限を入れ替えていれば誤りです。機械室用(令27条)と中間手すりの緩和(令25条)は、正しい肢としてよく出ます。

理解度チェック

Q.

蹴上げ・踏面・幅は、それぞれ上限と下限のどちらで決まる?

蹴上げは「これ以下」という上限、踏面と幅は「これ以上」という下限です。住宅は蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上で、いちばんきつくできます。

Q.

劇場の客用階段と、その劇場の昇降機機械室用階段で、寸法の扱いは違う?

違います。客用は令23条1項(2)で蹴上げ18cm以下・踏面26cm以上・幅140cm以上です。昇降機機械室用は令27条で表の制限を受けず、蹴上げ23cm・踏面15cmのような寸法にもできます。

Q.

幅が3mを超える階段は、必ず中間に手すりがいる?

原則は必要ですが、蹴上げ15cm以下かつ踏面30cm以上のゆるい階段なら不要です(令25条)。令和2年・令和5年に、この緩和が正しい肢として出ました。

Q.

回り階段の踏面は、どこで測る?

狭いほうの端から30cmの位置で測ります(令23条2項)。内側の狭い部分で測ると、踏面が足りないのに足りると誤判定してしまいます。

まとめ

階段の寸法は令23条の表で用途別に決まり、蹴上げは上限・踏面と幅は下限です。住宅は蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上が限度です。幅3m超は中間手すりが原則必要ですが、蹴上げ15cm以下かつ踏面30cm以上なら不要、昇降機機械室用などは令27条で表の制限を受けません。この2つの緩和を押さえると、正しい肢を見抜けます。

出典・参考(一次資料で確認)

  • 建築基準法施行令第23条(階段及びその踊場の幅並びに階段の蹴上げ及び踏面の寸法)。用途別の蹴上げ・踏面・幅、住宅は蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上、回り階段は狭い端から30cm、手すり等10cm以下は幅算定で無視。条文本文はe-Govで確認。
  • 建築基準法施行令第24条(踊場の位置及び踏幅)、第25条(階段等の手すり等)、第26条(階段に代わる傾斜路・勾配1/8)、第27条(特殊の用途に専用する階段)。
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科III(法規)問題」平成28〜令和7年。出題内容は公式問題に基づく。
建築士試験 解説ノート

編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「法規」を条文と過去問から整理しています。運営者情報

Topへ >>