建築士試験 解説ノート

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バリアフリー法の特定建築物と特別特定建築物の違い|適合義務と2,000㎡(一級建築士 法規)

バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)には、よく似た2つの用語があります。特定建築物と特別特定建築物です。学校・事務所・共同住宅などが特定建築物、病院・劇場・百貨店・福祉施設などが特別特定建築物です。

違いは、義務の重さです。特定建築物はバリアフリー化が努力義務、特別特定建築物は床面積2,000m²以上で適合義務になります。

言いかえると、不特定多数や高齢者・障害者が主に使う建物ほど義務が重くなります。試験では、この義務の取り違えと2,000m²の数値が狙われます。

特定建築物と特別特定建築物はどう違うのか

区分 特定建築物 特別特定建築物
利用者 多数の者が利用(学校・事務所・共同住宅など) 不特定多数、または主に高齢者・障害者が利用(病院・劇場・百貨店・福祉施設など)
義務 努力義務 床面積2,000m²以上で適合義務(公衆便所は50m²以上)
対象の基準 建築物移動等円滑化基準(努力) 建築物移動等円滑化基準に適合

特別特定建築物は特定建築物の中の一部です。多数が使う建物が特定建築物、その中でも不特定多数や高齢者・障害者が主に使う建物が特別特定建築物、という入れ子の関係です。

認定特定建築物はなにが違うのか

適合義務とは別に、もっと高いバリアフリー化を進める仕組みがあります。建築物移動等円滑化誘導基準に適合し、所管行政庁の認定を受けた建築物が認定特定建築物です。

認定を受けると、容積率の特例などのメリットがあります。注意したいのは、認定の対象が義務基準より高い「誘導基準」だという点です。

条例で上乗せできる

地方公共団体は、条例でバリアフリーの対象を広げられます。特別特定建築物に用途を加えたり、適合義務になる規模を2,000m²より小さくしたり、基準を付け加えたりできます。

つまり、国の基準が下限で、地域によってはより厳しくなります。

過去問10年でどう問われたか

一級建築士 法規(学科Ⅲ)では、バリアフリー法は平成29年から令和7年まで毎年、No.25〜27のあたりで1問出ています。問題本文は公式PDFで確認できます。

9年分を並べると、引っかけは3つの型に集まります。①特定建築物(努力義務)を適合義務と読ませる、②用途変更・増築で「その部分だけ適合すればよい」とずらす、③誘導基準の細目(回り階段など)をすり替える

年度・No. 誤りとされた記述(引っかけの核心)
令和7年 No.25 用途変更で2,000m²の飲食店にするとき、変更部分に限り基準に適合させればよい(型②)
令和6年 No.26 認定特定建築物の計画は認定を申請しなければならない(認定は任意=することができる)
令和5年 No.26 誘導基準で主たる階段を困難なら回り階段にできる(型③・誘導基準は回り階段不可)
令和4年 No.26 500m²の事務所を基準に適合させなければならない(事務所=特定建築物で努力義務・型①)
令和3年 No.27 1,500m²の老人ホームに500m²増築で適合させなければならない(増築が2,000m²未満=努力義務・型①)
令和2年 No.26 誘導基準で主たる階段を困難なら回り階段にできる(型③)
令和元年 No.26 特別特定建築物の増築で、円滑化経路の規定が増築部分に限り適用(型②・既存部分も含む)
平成30年 No.26 用途変更で2,500m²の店舗にするとき、変更部分に限り適合させればよい(型②)
平成29年 No.26 2,000m²の旅館で客室総数にかかわらず車椅子使用者用客室1以上(客室数の規模による)

毎年の軸は「適合義務か努力義務か」と「どの部分まで適合が要るか」です。特定建築物は努力義務、特別特定建築物が床面積2,000m²以上で適合義務、用途変更・増築でも既存部分を含めて考える、と押さえると9年分の引っかけに対応できます。

まちがえやすいポイント

義務がいちばん狙われます。適合義務がかかるのは特別特定建築物で床面積2,000m²以上、特定建築物は努力義務です。

「特定建築物に適合義務」「500m²以上で適合義務」「円滑化基準への適合で認定」と書いてあれば誤りです。認定は誘導基準(より高い基準)への適合で受けます。条例でより厳しくできる点もあわせて押さえます。

理解度チェック

Q.

特定建築物にはバリアフリー基準への適合義務がある?

原則は努力義務です。適合義務がかかるのは特別特定建築物で、床面積2,000m²以上の場合です(公衆便所は50m²以上)。ただし条例で特定建築物にも適合義務を課すことができます。

Q.

認定特定建築物は、どの基準への適合で認定される?

建築物移動等円滑化「誘導」基準です。義務基準より高い基準に適合し所管行政庁の認定を受けると、容積率の特例などのメリットがあります。

Q.

床面積500m²の事務所を新築するとき、バリアフリー基準への適合義務はある?

ありません。事務所は特定建築物で、努力義務です。適合義務がかかるのは特別特定建築物で床面積2,000m²以上の場合。令和4年No.26で「適合させなければならない」を誤りとして問われました。

Q.

用途変更で特別特定建築物にするとき、変更した部分だけ基準に適合させればよい?

これがよく狙われる引っかけです。「変更部分に限り適合でよい」とする記述は、令和7年No.25・平成30年No.26で誤りとして出題されています。増築でも円滑化経路は既存部分を含めて考えます。

まとめ

特定建築物はバリアフリー化が努力義務、特別特定建築物は床面積2,000m²以上で建築物移動等円滑化基準への適合義務、という義務の重さが違いです。さらに高い誘導基準に適合して認定を受けると容積率の特例があり、条例で対象や規模を上乗せできる、と押さえます。

出典・参考(一次資料で確認)

  • 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)第2条・第14条・第17条ほか、同法施行令第5条。特別特定建築物の適合義務(床面積2,000m²以上・公衆便所は50m²以上)、認定特定建築物(移動等円滑化誘導基準・容積率特例)、地方公共団体の条例による上乗せ。条文本文はe-Govで確認。
  • 国土交通省・内閣府「バリアフリー法(建築物分野)の概要」。
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科III(法規)問題」平成28〜令和7年。出題内容は公式問題に基づく。
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「法規」を条文と過去問から整理しています。運営者情報

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