仮設建築物とは、短い期間だけ使って取り壊すことが決まっている建築物です。工事現場の事務所、災害時の応急仮設住宅、イベントの仮設店舗などが当てはまります(建築基準法85条)。
短命で取り壊すため、一般の建築物より制限が緩和されます。工事用や災害応急の仮設は建築確認が不要で、用途地域や容積率などの多くの規定が適用されません。
ただし、何でも自由というわけではありません。試験では、緩和されるものと、許可や条件が要るものの線引きが狙われます。
| タイプ | 扱い |
|---|---|
| 工事用仮設建築物・災害の応急仮設建築物 | 確認不要。多くの規定が適用されない(許可も不要) |
| 被災者が自ら建てる応急仮設建築物 | 延べ30m²以内・災害発生から1月以内の着工なら、規定を適用しない(防火地域内は除く) |
| 仮設興行場・博覧会建築物・仮設店舗など | 特定行政庁の許可が必要。許可で1年以内(工事用の代替等は必要な期間) |
工事用や災害応急の仮設は手続きなしで建てられますが、興行場や店舗などの仮設は特定行政庁の許可が要る、という違いがあります。
工事用・応急の仮設建築物には、建築確認のほか、用途地域・容積率・建蔽率・道路・防火地域などの規定が適用されません。短期間で取り壊すためです。
一方で、構造の安全や防火に関わる基本的な規定など、一部は適用されます。とくに防火地域内に建てる被災者の応急仮設は、緩和の対象から外れます。「仮設だから全部フリー」ではありません。
仮設建築物は、一級建築士 法規(学科Ⅲ)で周期的に出ます。法85条を正面から問うのは令和4年・令和5年で、いずれもNo.8でした。問題本文は公式PDFで確認できます。
引っかけは2年とも同じ作りです。「仮設だからこの規定も適用されない」と言わせ、実は仮設でも適用される規定を見抜かせます。
| 年度・No. | 誤りとされた記述(引っかけの核心) |
|---|---|
| 令和4年 No.8 | 準防火地域の応急仮設の官公署で、屋根の火の粉に対する性能の規定は適用されない(誤り=屋根の規定は適用される) |
| 令和5年 No.8 | 許可を受けた一時的な仮設興行場で、排煙設備の規定は適用されない(誤り=排煙設備は適用される) |
工事用・応急の仮設は、確認や用途地域などが適用されません。ただし屋根の防火(火の粉)や排煙設備など、安全・防火の一部は仮設でも適用されます。「仮設だから全部フリー」ではない、が両年の急所でした。
仮設興行場は、特定行政庁の許可なしで建てられる?
建てられません。仮設興行場・博覧会建築物・仮設店舗などは、特定行政庁が安全上・防火上・衛生上支障がないと認めて許可した場合に、原則1年以内で建てられます。工事用・災害応急の仮設は確認不要で建てられます。
被災者が自ら建てる応急仮設建築物の条件は?
延べ面積30m²以内で、災害発生から1月以内に工事に着手するものです。この場合は建築基準法令の規定が適用されません。ただし、防火地域内に建てる場合は対象外です。
仮設なら、屋根の防火や排煙設備の規定も全部適用されない?
いいえ。仮設でも、屋根の火の粉に対する性能や排煙設備など、安全・防火の一部は適用されます。令和4年No.8・令和5年No.8で「適用されない」とした記述が誤りとして出ました。
工事用の仮設建築物に、建築確認は要る?
要りません。工事用や災害応急の仮設建築物は確認が不要で、用途地域・容積率など多くの規定も適用されません(法85条2項)。一方、仮設興行場・仮設店舗などは特定行政庁の許可が必要です。
仮設建築物(法85条)は、工事用・災害応急のものは確認不要で多くの規定が適用されません。被災者の応急仮設は30m²以内・災害発生から1月以内の着工が条件で、防火地域内は対象外です。仮設興行場・仮設店舗などは特定行政庁の許可で1年以内、と押さえます。
出典・参考(一次資料で確認)
※ このページの確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
許可の要否がいちばん狙われます。仮設興行場・博覧会建築物・仮設店舗などは、特定行政庁の許可が必要で、原則1年以内です。
「仮設興行場も許可不要」「仮設なら防火地域でも全部緩和」と書いてあれば誤りです。工事用・災害応急の仮設は確認不要ですが、興行場等は許可が要り、防火地域内の応急仮設は緩和の対象外です。