建築士試験 解説ノート

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採光補正係数の求め方と用途地域別の係数|上限3・天窓×3・縁側×0.7(一級建築士 法規)

採光補正係数とは、窓の採光をどれだけ有効と見るかの倍率です(建築基準法施行令20条2項)。有効採光面積は「開口部の面積×採光補正係数」で求めます。係数が大きいほど、その窓は採光に有効と評価されます。

求め方は、採光関係比率に用途地域ごとの係数をかけて、決まった数を引きます。採光関係比率は、開口部の上にある壁などまでの水平距離Dを、その高さHで割ったD/Hです。

外が開けているほどDが大きく、係数も大きくなります。試験では、用途地域別の係数の取り違えと、上限・天窓・縁側の倍率が狙われます。

用途地域でどう式が変わるのか

用途地域 採光補正係数の式
住居系 採光関係比率(D/H)× 6 − 1.4
工業系 採光関係比率(D/H)× 8 − 1
商業系・無指定 採光関係比率(D/H)× 10 − 1

住居系は「6を掛けて1.4を引く」、工業系は「8を掛けて1を引く」、商業系・無指定は「10を掛けて1を引く」です。掛ける数と引く数を地域ごとに覚えます。

上限・天窓・縁側の扱い

  • 計算値が大きくても、採光補正係数の上限は3.0です。
  • 天窓(トップライト)は、計算値に3を掛けます。上を向く窓は採光に有効なためです。
  • 幅90cm以上の縁側などがある開口部は、計算値に0.7を掛けます。縁側の分だけ光が届きにくくなるためです。

天窓は3倍に増やし、縁側は0.7倍に減らす、と向きが逆です。ここが取り違えやすい点です。

道路や距離による緩和

計算値が小さくても、1とみなせる場合があります。開口部が道路に面するときは、計算値が1未満でも1とします。道路に面しないときも、水平距離が一定以上(住居系7m・工業系5m・商業系4mなど)あれば、計算値が1未満でも1とします。

採光関係比率がマイナスになるなど計算値が0以下なら、その窓の採光補正係数は0です。

過去問10年でどう問われたか

採光補正係数は、一級建築士 法規(学科Ⅲ)の一般構造(No.5・No.19・No.20のあたり)で、過去9年で5回(平成30年・令和元年・令和2年・令和4年・令和6年)、4つの記述のうちの1つとして出ています。問題本文は公式PDFで確認できます。

多くは「正しい肢」として、式の細部(用途地域別の係数・縁側×0.7・道路や距離による1.0みなし)を検証させます。誤りに仕立てられたのは、令和元年の天窓の扱いでした。

年度・No. 出た採光補正係数の記述
平成30年 No.5 縁側(幅1m)のある開口部の採光補正係数は0.7(正・誤りは別の肢)
令和元年 No.5 天窓の採光補正係数を、×3せずに算定し1未満なら1とした(誤り=天窓は×3)
令和2年 No.19 有効採光面積は用途地域区分に応じた採光補正係数を用いる(正・誤りは別の肢)
令和4年 No.20 商業地域の病院病室、道に面さず水平距離4m以上で1とみなす(正・誤りは別の肢)
令和6年 No.5 縁側(幅1m)のある開口部の採光補正係数は0.7(正・正しい組合せに含まれる)

多くの年は式の細部を「正しい」と判断できるかが課題で、唯一の誤りは天窓を3倍していないことでした。天窓×3・縁側×0.7・上限3.0・道路や距離による1とみなす緩和、を押さえれば判断できます。

まちがえやすいポイント

天窓と縁側の倍率がいちばん狙われます。天窓は計算値に3を掛けて増やし、縁側は0.7を掛けて減らします

「天窓は0.7倍」「縁側は3倍」「採光補正係数の上限がない」と書いてあれば誤りです。上限は3.0、用途地域別の式は住居6−1.4・工業8−1・商業10−1です。

理解度チェック

Q.

住居系の用途地域での採光補正係数の式は?

採光関係比率(D/H)× 6 − 1.4 です。工業系は×8−1、商業系・無指定は×10−1で、掛ける数と引く数が地域ごとに違います。

Q.

天窓と縁側の採光補正係数の倍率は?

天窓は計算値に3を掛け、幅90cm以上の縁側がある開口部は0.7を掛けます。天窓は増やし、縁側は減らす向きです。なお採光補正係数の上限は3.0です。

Q.

過去問では、採光補正係数は誤りの肢として出る?

多くは「正しい肢」として、式の細部を見抜けるかが問われます。誤りに仕立てられたのは令和元年No.5の天窓(×3していない)だけでした。

Q.

道路に面しない開口部で、計算値が1未満のときは?

水平距離が一定以上(住居系7m・工業系5m・商業系4mなど)あれば、1とみなします。令和4年No.20で「商業地域・4m以上で1とみなす」が正しい肢として出ました。

まとめ

採光補正係数は、採光関係比率(D/H)に用途地域別の係数をかけて引いて求めます。住居系×6−1.4、工業系×8−1、商業系・無指定×10−1で、上限は3.0です。天窓は×3で増やし、縁側(幅90cm以上)は×0.7で減らす、と押さえます。

出典・参考(一次資料で確認)

  • 建築基準法施行令第20条(有効面積の算定方法)。採光補正係数=採光関係比率×(住居系6・工業系8・商業系/無指定10)−(1.4・1・1)、上限3.0、天窓×3、幅90cm以上の縁側×0.7、道路に面する場合等で1とみなす緩和。条文本文はe-Govで確認。
  • 建築基準法第28条第1項(居室の採光)。
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科III(法規)問題」平成28〜令和7年。出題内容は公式問題に基づく。
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「法規」を条文と過去問から整理しています。運営者情報

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