ジェイン・ジェイコブズの『アメリカ大都市の死と生』(1961年)は、当時の近代都市計画を批判した本です。機能ごとに分けるゾーニングや大規模な再開発が、かえってまちの活気と安全を壊していると指摘しました。
核になるのは街路の目と多様性の4条件です。街路の目は、街路に向けられた人々の自然な見守りが安全を生むという考え、多様性の4条件は、活気あるまちが備える条件です。
機能を分けるのではなく、混ぜることで都市は豊かになる、という立場です。試験では、4条件と近代都市計画への姿勢が狙われます。
よく使われている街路は安全だ、とジェイコブズは考えました。街路に面した店や住戸から人の目が向けられ、歩く人が絶えないことで、自然な見守りが働くためです。
そのために、公的な空間と私的な空間がはっきり分かれていること、建物が街路に向いていること、一日を通して人が歩いていることが大切だとしました。この街路の目は、後のCPTEDやまもりやすい空間(自然監視)の源流の一つになりました。
| 条件 | ねらい |
|---|---|
| 混合一次用途 | 住む・働く・遊ぶを混ぜ、時間帯で人が途切れないようにする |
| 小さな街区 | 街区を小さくし曲がり角を増やして、回遊や出会いを生む |
| 古い建物の必要性 | 新旧の建物を混ぜ、家賃の幅で多様な店や人を受け入れる |
| 密集(高密度) | 十分な人口密度で、にぎわいと多様な需要を支える |
「用途を混ぜ、街区を小さく、古い建物も残し、密度を保つ」の4つです。いずれも、機能を分けて低密度に広げる近代都市計画とは逆の方向を向いています。
ジェイコブズは、機能を純化して整然と分けるゾーニングや、古い街を一掃する大規模再開発を批判しました。きれいに見えても、人の目と多様性が失われ、まちが活気と安全を失うと考えたためです。歩行者や地域のコミュニティを重んじる立場です。
一級建築士 計画では、建築・都市の著作と著者・説明を組み合わせる問題や、防犯計画の問題で出ます。問題本文は公式PDFで確認できます。
| 年度・No. | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 一級 平成29年 No.4 | 『アメリカ大都市の死と生』(ジェイコブズ)と「街路や地区に多様性を生む四つの条件」の組合せ(正しい記述) |
| 一級 令和4年 No.7 | ジェイコブズは「街路には常に住民・通行人・店員などの多数の目を置く必要がある」とした(防犯計画・正しい記述) |
ジェイコブズは多様性の四条件と街路の目(自然な監視)です。著者と主張を結びつけると見抜けます。
都市の多様性の4条件とは?
混合一次用途・小さな街区・古い建物の必要性・密集(高密度)の4つです。用途を混ぜ、街区を小さく、新旧の建物を残し、十分な密度を保つことが多様性を生みます。
街路の目とは?
街路に面した建物や歩く人々の自然な見守りが、まちの安全を支えるという考えです。後のCPTEDや、まもりやすい空間の自然監視につながりました。
ジェイコブズ『アメリカ大都市の死と生』は、機能分離の近代都市計画を批判し、街路の目(自然な見守り)と都市の多様性を重視しました。多様性の4条件は、混合一次用途・小さな街区・古い建物・密集です。歩行者と多様性を中心に置いた都市論だ、と押さえます。
出典・参考
※ このページの確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
近代都市計画への姿勢がいちばん狙われます。ジェイコブズは機能分離のゾーニングを批判し、用途の混合・小さな街区・古い建物・密集を重視しました。
「機能を純化するゾーニングを支持した」「大きな街区を推奨した」と書いてあれば誤りです。主張は逆で、混合用途・小さな街区・高密度を説きました。