建築士試験 解説ノート

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暗順応と明順応の違い|劇場の赤色内装・トンネル照明(一級建築士 計画)

順応とは、目が明るさの変化に慣れることです。暗い映画館に入った直後は何も見えず、しばらくすると見えてくる、あの慣れる働きが順応です。順応には明順応と暗順応があります。

違いは、向きと速さです。明順応は暗い所から明るい所に慣れる過程で速く、暗順応は明るい所から暗い所に慣れる過程で遅い(数十分かかる)です。

暗順応が遅いことが、建築の照明計画の出発点になります。試験では、向き(どちらが遅いか)と、赤色を使う理由が狙われます。

暗順応と明順応はどう違うのか

順応 変化の向き 速さ
明順応 暗い所 → 明るい所(感度を下げる) 速い(1〜2分ほど)
暗順応 明るい所 → 暗い所(感度を上げる) 遅い(十分に慣れるには数十分)

暗いほうへ慣れる暗順応が、時間のかかるほうです。明順応はすぐ済みます。

なぜ暗順応は遅いのか

目の網膜には、明るい所で色を見る錐体と、暗い所で明暗を感じる桿体があります。暗い所では桿体が働きますが、桿体の感度を上げるには、ロドプシンという物質が再びたまる必要があり、これに時間がかかります。だから暗順応は遅くなります。

建築ではどう生かすのか

桿体は赤い光に感じにくい性質があります。これを利用するのが赤色です。

  • 劇場・映画館の客席:通路の誘導灯や足元灯を暗い赤色にします。赤は暗順応を妨げにくいので、上映中に入ってきた人も比較的見やすく、すでに慣れている人の目もくらみません。
  • トンネルの入口部:昼間、明るい屋外から急に暗いトンネルへ入ると暗順応が追いつきません。そこで入口部の照明を明るくし、奥へ向けて段階的に暗くします。

どちらも、暗順応が遅いことを前提に、急な明暗差をやわらげる工夫です。

試験ではどう問われるか

一級建築士 計画では、環境・商業建築(劇場)のテーマで問われます。引っかけは「暗順応のほうが速い」「赤色内装は明順応のため」のように、向きや理由を逆にするものです。

まちがえやすいポイント

向きと速さがいちばん狙われます。暗い所に慣れる暗順応が遅く、明るい所に慣れる明順応が速いです。

「暗順応は明順応より速い」「劇場の赤色は明順応のため」と書いてあれば誤りです。暗順応は遅く、赤色は暗順応を妨げないために使います。

理解度チェック

Q.

暗順応と明順応、時間がかかるのはどちら?

暗順応です。明るい所から暗い所に慣れる暗順応は、桿体のロドプシンが再びたまるのに時間がかかり、十分に慣れるには数十分かかります。明順応は1〜2分ほどで済みます。

Q.

劇場の通路や誘導灯に暗い赤色を使うのはなぜ?

桿体が赤い光に感じにくいためです。赤色は暗順応を妨げにくいので、暗さに慣れた目をくらませず、足元の安全も確保できます。

まとめ

順応は目が明るさに慣れる働きで、明順応(暗→明)が速く、暗順応(明→暗)が遅いという違いです。暗順応が遅いのは桿体のロドプシン再生に時間がかかるためで、劇場の暗赤色照明やトンネル入口部の照明はこれを前提にした工夫だ、と押さえます。

出典・参考

  • 一般社団法人日本生物物理学会「視覚」、脳科学辞典「ロドプシン」。錐体・桿体の役割とロドプシンによる暗順応の仕組み。
  • 大阪大学 ResOU「明るい場所と暗い場所で目が慣れる分子メカニズムを解明」。
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科I(計画)問題」。出題内容は公式問題に基づく。
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「計画」を出題傾向から整理しています。運営者情報

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