建築士試験 解説ノート

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フェーズフリーデザインと防災の違い|日常と非常時をつなぐ5原則(一級建築士 計画)

フェーズフリーとは、日常時と非常時という2つのフェーズ(局面)の境界をなくす考え方です。ふだん使っているものやサービスが、災害時にもそのまま役立つようにデザインします(提唱者・佐藤唯行)。

従来の防災との違いは、しまい込むかどうかです。従来は「非常用」として日常では使わず備蓄しますが、フェーズフリーは日常使いの延長で非常時にも機能させます。

備蓄品はいざというとき期限切れや在庫切れになりがちです。日常で使い続けることで、その弱点をなくす狙いです。試験では、従来の防災との違いと5原則が狙われます。

従来の防災とどう違うのか

観点 従来の防災 フェーズフリー
ふだんの扱い 非常用としてしまい込む 日常で使い続ける
弱点 期限切れ・在庫切れ・使い方を忘れる 使い慣れているのでいざというとき機能する
代表例 非常持ち出し袋の備蓄 ローリングストック、かまどベンチ、給電できる電気自動車

ローリングストックは、日常的に食べながら買い足して備える方法です。備蓄を「しまう」のではなく「回す」ことで、フェーズフリーの考えを実践します。

フェーズフリーの5原則

  • 常活性:いつもの状況でも非常時でも、しっかり使える。
  • 日常性:日常で快適に、自然に使える。
  • 直感性:使い方や交換の時期が分かりやすく、誰でも使える。
  • 触発性:防災や安全への気づきをうながす。
  • 普及性:誰もが手に入れ、参加しやすい。

5つの頭にある言葉だけでも、「いつも使えて(常活性)、日常になじみ(日常性)、分かりやすく(直感性)、気づきを生み(触発性)、広まりやすい(普及性)」とつかめます。

建築・都市での例

建築や都市では、ふだんは公園で災害時は避難場所になる空間、ふだんはベンチで天板を外すとかまどになる「かまどベンチ」、ふだんは移動手段で停電時に給電できる電気自動車などが当てはまります。

大切なのは、防災のためだけの専用設備を増やすのではなく、日常の価値と非常時の価値を1つのものに重ねる発想です。

試験ではどう問われるか

一級建築士 計画では、まちづくり・防災の新しい用語として近年問われています(令和7年 No.1など)。引っかけは「非常時専用の備え」と説明したり、ローリングストックを従来型の備蓄と取り違えたりするものです。

まちがえやすいポイント

定義の向きがいちばん狙われます。フェーズフリーは、日常時と非常時の境界をなくし、ふだん使うものを災害時にも役立てる考え方です。

「非常時専用の備えを充実させること」と説明していれば誤りです。それは従来の防災で、しまい込む発想です。フェーズフリーは日常使いの延長に非常時の機能を重ねます。

理解度チェック

Q.

フェーズフリーと従来の防災の違いは?

従来の防災は非常用としてしまい込みますが、フェーズフリーは日常で使い続けるものを非常時にも役立てます。境界をなくす点が違いです。

Q.

フェーズフリーの5原則は?

常活性・日常性・直感性・触発性・普及性です。いつも使え、日常になじみ、分かりやすく、気づきを生み、広まりやすい、という5つです。

まとめ

フェーズフリーは、日常時と非常時の境界をなくし、ふだん使うものを災害時にも役立てる考え方です。しまい込む従来の防災との違いが核心で、常活性・日常性・直感性・触発性・普及性の5原則で整理されます。ローリングストックやかまどベンチが代表例、と押さえます。

出典・参考

  • 松崎元・佐藤唯行・秦康範「フェーズフリーの概念とフェーズフリーデザインへの展開」日本デザイン学会誌(J-STAGE)。
  • 佐藤唯行『フェーズフリー 「日常」を超えた価値を創るデザイン』翔泳社。
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科I(計画)問題」令和7年。出題内容は公式問題に基づく。
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「計画」を出題傾向から整理しています。運営者情報

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