令和3年度 一級建築士試験 学科III(法規)No.11は、保有水平耐力計算を行う建築物の構造に関する問題です。4つの記述のうち、建築基準法上、誤っているものを選びます。
保有水平耐力計算(いわゆるルート3)の建築物では、大地震時の粘り強さを直接確かめる代わりに、一部の仕様規定が適用除外になります。どの規定が外れ、どの規定が残るかが問われます。
引っかけの核心は、鉄筋の継手(令73条)です。継手・定着の仕様規定は保有水平耐力計算では適用除外となり、「重ね長さ25倍以上としなければならない」が義務として課されることはありません。
※ 問題文そのものは建築技術教育普及センターの公式PDFで確認できます。
正解:選択肢3(これが誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 高力ボルトの孔径は、ボルトの径に2mmを加えた値以下とします(令68条2項)。この規定は保有水平耐力計算でも適用されます。 |
| 2 | ○(正しい) | 土に接する柱・梁等のかぶり厚さは4cm以上とします(令79条)。かぶり厚さの規定は適用除外に含まれません。 |
| 3 | ×(誤り) | 継手の重ね長さを径の25倍以上としなければならないとする点が誤り。継手・定着(令73条)は保有水平耐力計算では適用除外で、この規定はそのまま課されません。 |
| 4 | ○(正しい) | 鉄骨鉄筋コンクリート造の柱の主筋は4本以上とします。この仕様は適用されます。 |
選択肢3は、保有水平耐力計算の建築物で継手の重ね長さを義務として課すとする点が誤りで、令73条は適用除外です(数値の25倍自体は令73条2項どおりですが、そもそも適用されません)。
保有水平耐力計算を行う建築物では、地震に対する安全性を保有水平耐力で直接確かめます。その代わり、令36条2項一号により一部の仕様規定が適用除外になります。継手・定着の令73条はこの適用除外に含まれます。
つまり選択肢3の「重ね長さを径の25倍以上としなければならない」は、数値そのものは令73条2項の内容と一致しますが、保有水平耐力計算ではその令73条が適用されないため、義務として課すのは誤りです。「数値は合っているのに規定が外れている」という引っかけです。
保有水平耐力計算を行う建築物では、鉄筋の継手の重ね長さを径の25倍以上としなければならない。〇か×か。
×。継手・定着(令73条)は適用除外です。数値は条文どおりでも、その規定が課されません。
保有水平耐力計算の建築物でも、土に接する柱のかぶり厚さ4cm以上(令79条)は適用される。〇か×か。
〇。かぶり厚さの規定は適用除外に含まれず、適用されます。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月