令和6年度 一級建築士試験 学科III(法規)No.5は、採光・昇降機機械室用階段・地階居室等に関する問題です。
この問題では、イ〜ニの4つの記述について建築基準法上、正しいもののみの組合せを選びます。
※ 問題文そのものは建築技術教育普及センターの公式PDFで確認できます。上記は、その4つの記述で問われている論点を整理したものです。
| 記述 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| イ | ○(正しい) | 昇降機機械室用階段は令23条の特例として蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上が認められます。蹴上げ23cm・踏面15cmはこれに適合します。 |
| ロ | ×(誤り) | 高等学校の採光義務ある居室は「教室」のみです(令19条1号)。職員室は対象外で、採光窓の設置義務はありません。 |
| ハ | ×(誤り) | 地階の居室の採光等対策として、からぼりに面する開口部を設けるか換気設備を設けるかのいずれかで対応できます。「開口部を設け、かつ湿度調節設備を設ける」の「かつ」が誤りです。 |
| ニ | ○(正しい) | 準工業地域の採光補正係数(縁側補正後)が0.644で0.7未満のため、最低値0.7を採用します(令20条第2項ただし書き)。0.7という値は正しい記述です。 |
正しいのはイとニ。ロ(職員室の採光義務)とハ(「かつ」条件の誤り)が誤りです。
正しい記述です。昇降機機械室用の階段は、蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上という特例が認められており(令第23条第1項ただし書き)、蹴上げ23cm・踏面15cmはこれに適合します。
法第28条第1項は「政令で定める建築物の居室(政令で定めるものに限る)には採光のための窓等を設けなければならない」と規定しており、令第19条がその「政令で定める居室」を列挙しています。
令第19条第1号(学校の場合):「幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校の教室(第2号の居室を除く。)」
職員室は「教室」に含まれていません。高等学校の職員室には採光のための窓その他の開口部を設ける法令上の義務はなく、選択肢ロは誤りです。
法第29条(地階の居室)では、住宅の地下居室について防湿・採光等に関する技術的基準への適合が求められています。令第22条の2がその具体的な基準を定めています。
地階の居室への対応方法として、からぼりに面する開口部を設ける方法と換気設備等を設ける方法があります。「からぼりに面する開口部を設け、かつ、居室内の湿度を調節する設備を設けなければならない」という記述ハは、「かつ」(両方とも必須)としている点が誤りです。実際はどちらかの方法で対応できるわけです。
令第20条第2項では、用途地域ごとの採光補正係数の計算式が定められています。準工業地域は工業系地域として、採光補正係数は次の式で算定します。
採光補正係数 = 8 × (水平距離 / 軒高) - 1 = 8 × 0.24 - 1 = 1.92 - 1 = 0.92
縁側(ぬれ縁を除く)がある場合は、同条のただし書きにより採光補正係数に0.7を乗じます。ただし、乗じた後の数値が0.7未満のときは0.7とする規定があります。
縁側補正後の採光補正係数 = 0.92 × 0.7 = 0.644
0.644 < 0.7 なので、最低値の0.7が採用されます。「採光補正係数は0.7とする」とした記述ニは正しい記述です。
縁側(ぬれ縁を除く)がある開口部の採光補正係数の最低値はいくつか。
縁側補正後の採光補正係数の最低値は0.7です。計算値 × 0.7 の結果が0.7未満の場合は0.7が採用されます(令第20条第2項ただし書き)。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢2(正しいのはイとニ)
イは正しい。昇降機機械室用階段は令第23条第1項ただし書きにより、蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上の特例が適用されます。蹴上げ23cm・踏面15cmはこの規定に適合するわけです。
ニは正しい。縁側(ぬれ縁を除く)がある場合の採光補正係数は計算値に0.7を乗じますが、乗じた後の数値が0.7未満のときは0.7とします(令第20条第2項ただし書き)。準工業地域の計算値0.92、縁側補正後は0.644。0.7未満なので採用値は0.7になります。
誤りはロ(職員室に採光義務はない)とハ(からぼり開口部か設備の「いずれか」でよく「かつ」ではない)なんです。