令和6年度 一級建築士試験 学科III(法規)No.20は、建築工事中の安全措置・施工中の使用制限・既存不適格建築物の全体計画認定・建築監視員の権限に関する問題です。
この問題では、4つの記述のうち、建築基準法上、誤っているものを選びます。
※ 問題文そのものは建築技術教育普及センターの公式PDFで確認できます。上記は、その4つの記述で問われている論点を整理したものです。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 根切り・山留めの工事中の安全確保(点検・山留め補強・排水措置等)および矢板抜取り時の危害防止措置は法第90条等に基づく正しい記述です。 |
| 2 | ○(正しい) | 模様替の工事中に使用されている共同住宅で避難上著しく支障がある場合、特定行政庁が使用制限を命ずることができます(法第9条等)。正しい記述です。 |
| 3 | ×(誤り) | 全体計画認定(法86条の8)でも最後の工事完了後には現行基準への適合が必要です。「いずれの工事完了後も不要」は誤りです。 |
| 4 | ○(正しい) | 建築基準法令違反が明らかな工事中の建築物に対して、緊急の必要がある場合に建築監視員が正規の手続なしに工事停止を命ずることができます(法第9条の2)。正しい記述です。 |
選択肢3は、「いずれの工事の完了後であっても、現行基準に適合するように排煙設備を設置するための改修を行う必要はない」とする点が誤りで、最後の工事完了後には現行基準への適合が必要です。
法第86条の8(全体計画認定)は、法第3条第2項により現行規定(排煙設備等)の適用を受けない既存不適格建築物について、2以上の工事に分けて段階的に改修する場合に、特定行政庁の全体計画認定を受けられる制度なんです。
この認定を受ければ、中間の各工事完了後に即座に現行基準へ完全適合することは求められません。ただし、全体計画に定める全ての工事が終わった段階(最後の工事完了後)には、現行基準に適合させる必要があります。
「いずれの工事の完了後であっても改修を行う必要はない」とした選択肢3は、この最終工事後の適合義務を否定するもので誤りということです。
法第86条の8の全体計画認定を受けた既存不適格建築物について、最後の工事完了後は現行基準への適合が必要か。
必要です。全体計画認定(法第86条の8)は中間の工事完了後の完全適合を猶予するものですが、最後の工事完了後には現行基準(排煙設備等)への適合が求められます。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢3(これが誤っている記述)
法第86条の8(全体計画認定)は、既存不適格建築物を2以上の工事に分けて段階的に改修する場合、特定行政庁の認定を受ければ各工事完了ごとに現行基準への完全適合を求めない、という制度です。
ただし「いずれの工事の完了後であっても改修を行う必要はない」とはなりません。最後の工事が完了したときには現行基準に適合させる必要があるんです。最終工事後まで改修が免除されるわけではないので、選択肢3は誤りということです。