建築士試験 解説ノート

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令和5年度 一級建築士 構造 No.16を解説、S造接合部における溶接と高力ボルトの誤りを見抜くポイント

令和5年度 一級建築士試験 学科IV(構造)No.16は、S造の接合部に関する問題です。

この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。

この問題で問われていること

  1. 引張力を受ける突合せ溶接の許容応力度の取り方
  2. すみ肉溶接の有効長さの算定(全長から両端のサイズを差し引く)
  3. 摩擦面を赤錆状態とした高力ボルト摩擦接合のすべり係数
  4. すみ肉溶接の有効のど厚とサイズ(脚長)の関係

※ 問題文そのものは建築技術教育普及センターの公式PDFで確認できます。上記は、その4つの記述で問われている論点を整理したものです。

正解:選択肢4(これが最も不適当な記述)

すみ肉溶接の有効のど厚に関する記述が誤りなんです。有効のど厚は溶接サイズ(脚長)と等しくありません。有効のど厚はサイズの1/√2倍(約0.707倍)です。溶接は45度方向の最小断面で破断するためサイズより小さくなるので、「サイズと同じ」とした選択肢4が最も不適当ということです。

各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ○(正しい) 引張力を受ける突合せ溶接の許容応力度は母材の許容引張応力度に等しくとることができる
2 ○(正しい) すみ肉溶接の有効長さは全溶接長さから両端のサイズをそれぞれ差し引いた値とする
3 ○(正しい) 高力ボルト摩擦接合において、摩擦面を赤錆状態とした場合のすべり係数は0.45として設計できる
4 ×(誤り) すみ肉溶接の有効のど厚は溶接サイズ(脚長)ではなく、サイズの1/√2倍(約0.707倍)

選択肢4の「すみ肉溶接の有効のど厚をサイズ(脚長)と同じ値として計算できる」という記述が誤りで、正しくは有効のど厚はサイズ×1/√2(約0.707)です。

すみ肉溶接の有効のど厚はなぜサイズより小さいのか

すみ肉溶接は、直角二等辺三角形の断面を持つ溶接形状です。この断面で最も薄い部分が「のど」と呼ばれる45度方向の厚さです。

サイズ(脚長)をsとすると、45度方向の長さは s×sin45° = s/√2 ≈ 0.707s となります。溶接は45度方向の最小断面で破断するため、この値を有効のど厚として設計に使うわけです。

ザックリ言えば、見た目の脚長より設計に使う有効断面は小さいということです。

正しい肢を整理すると、完全溶込み(突合せ)溶接の許容応力度は母材と同等に取れ(選択肢1)、すみ肉溶接の有効長さは全長から両端のサイズ分を差し引き(選択肢2/200mm・サイズ10mmなら180mm)、赤錆状態の摩擦面のすべり係数は0.45(選択肢3)、という流れです。

覚え方

  • すみ肉溶接の有効のど厚 = S × 1/√2 ≈ 0.7S(サイズより小さい)
  • すみ肉の有効長さ=全長−両端サイズ/突合せ溶接は板厚/摩擦面の赤錆すべり係数0.45

一問一答

Q.

すみ肉溶接のサイズが10mmのとき、有効のど厚はいくらか。

約7mmです。有効のど厚=サイズ×1/√2≈10×0.707=7.07mmとなります。設計ではこの値を使います。

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出典

  • 建築技術教育普及センター「令和5年度 一級建築士試験 学科の試験 学科IV(構造)問題」
  • 日本建築学会「鋼構造接合部設計指針」
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「構造」を過去問から整理しています。運営者情報

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