鋼材は一級建築士 構造のNo.29で毎年1問出ます。問われるのはSN材の区分・降伏比・特殊鋼・不純物の影響です。数値や鋼種の意味を少しずらして誤りを作るので、まず種類と性質を仕分けます。
| 鋼種 | 特徴・用途 |
|---|---|
| SN材(建築構造用) | A=降伏点の下限のみ規定(弾性範囲で使う)/B・C=降伏点の上下限・降伏比の上限などを保証(溶接・塑性設計用)/C=Bに加え板厚方向(Z方向)の絞り値を規定し、通しダイアフラム等に使う |
| SS材(一般構造用) | 降伏点の下限のみ。溶接性・塑性変形能力は保証されない |
| 低降伏点鋼(LY225) | 降伏点が低く延性が高い。履歴型制振ダンパーの材料 |
| TMCP鋼 | 熱加工制御で製造。板厚40mm超〜100mm以下でも、40mm以下と同じ基準強度を保証 |
| 冷間成形角形鋼管 (BCR・BCP) |
BCR=ロール成形、BCP=プレス成形。降伏比の上限などが規定される |
| 項目 | 覚えるポイント |
|---|---|
| ヤング係数 | 鋼種・強度によらず一定(約2.05×10⁵N/mm²)。SN490BもSS400も同じ |
| 降伏比 | 降伏点 ÷ 引張強さ。小さいほど塑性変形能力(粘り)が大きい。例:325÷490≒0.66 |
| 基準強度F(SN490B・40mm以下) | 325N/mm²。短期許容引張応力度はこれに等しい |
| 板厚と降伏点 | 同じ鋼塊なら、板厚が厚いほど降伏点は低い |
| 不純物(炭素・硫黄・リン) | 炭素が増えると強度・硬度は上がるが靱性・溶接性・伸びは低下。S・Pは少ないほどよい |
| 論点 | 正しい記述(○)と、よくある誤り(×) |
|---|---|
| ヤング係数 | ○ 鋼種・強度によらず一定/× 強度が高い鋼ほどヤング係数も大きい |
| 降伏比と粘り | ○ 降伏比が小さいほど塑性変形能力が大きい/× 降伏比が小さいほど塑性変形能力が小さい |
| SN材A種とシャルピー | ○ シャルピー吸収エネルギーの規定はB・Cにあり、A種にはない/× A・B・Cいずれも下限が定められている |
| 板厚と降伏点 | ○ 板厚が厚いほど降伏点は低い/× 板厚が厚いほど降伏点は高い |
| TMCP鋼の板厚 | ○ 40mm超でも基準強度を保証(SN材は板厚が厚いと基準強度が下がる) |
ヤング係数は何があっても2.05×10⁵で一定。降伏比は小さいほど粘り強い。SN材は「Aは弾性用、B・Cは溶接・塑性OK、Cは通しダイアフラム」。不純物(炭素・硫黄・リン)は増えると粘りが落ちるで揃えます。
SN材(A・B・C)は、いずれもシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーの下限値が定められている。〔R6 No.29〕
×。シャルピー吸収エネルギーの規定があるのはB・C種で、A種にはありません。A種は弾性範囲で使う鋼材です。
降伏比の小さい鋼材を用いた鉄骨部材は、一般に、塑性変形能力が小さい。〔H26 No.29〕
×。逆です。降伏比(降伏点÷引張強さ)が小さいほど塑性変形能力は大きく(粘り強く)なります。
SN490B材は、SS400材に比べて、降伏点・引張強さ・ヤング係数のいずれも大きい。〔H28 No.29〕
×。降伏点と引張強さは大きいですが、ヤング係数は同じ(鋼種によらず一定)です。強度と剛性の混同が定番の誤りです。
| 年度 | No. | 正解 | 主に問われた論点 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 29 | 3 | 基準強度・許容応力度・不純物の影響 |
| 令和6年 | 29 | 1 | SN材A・B・Cとシャルピー・低降伏点鋼 |
| 令和5年 | 29 | 3 | 降伏比の計算・SN材・板厚と降伏点 |
| 令和4年 | 29 | 3 | 鋼材(降伏比・SN材) |
| 令和3年 | 29 | 3 | 鋼材(炭素量・Z方向・TMCP鋼) |
| 令和2年 | 29 | 3 | 鋼材等(機械的性質) |
| 令和元年 | 29 | 1 | 鋼材(SN材C種・冷間成形角形鋼管) |
| 平成30年 | 29 | 3 | 鋼材(降伏比の計算・低降伏点鋼) |
| 平成29年 | 29 | 3 | 金属材料 |
| 平成28年 | 29 | 3 | 鋼材(ヤング係数・TMCP鋼・ステンレス) |
※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。鋼材は毎年No.29で出題され、SN材の区分・降伏比・ヤング係数が一定であること・TMCP鋼・不純物の影響がくり返し問われています。令和5年以前の解説リンクは順次追加予定です。
出典・参考
※ このページの確認日:2026年6月