建築士試験 解説ノート

建築士試験 解説ノート
  1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 一級建築士 構造
  4. > 鋼材 まとめ

鋼材のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 構造の過去問・頻出ポイント

鋼材は一級建築士 構造のNo.29で毎年1問出ます。問われるのはSN材の区分・降伏比・特殊鋼・不純物の影響です。数値や鋼種の意味を少しずらして誤りを作るので、まず種類と性質を仕分けます。

鋼材の種類 早見表

鋼種 特徴・用途
SN材(建築構造用) A=降伏点の下限のみ規定(弾性範囲で使う)/B・C=降伏点の上下限・降伏比の上限などを保証(溶接・塑性設計用)/C=Bに加え板厚方向(Z方向)の絞り値を規定し、通しダイアフラム等に使う
SS材(一般構造用) 降伏点の下限のみ。溶接性・塑性変形能力は保証されない
低降伏点鋼(LY225) 降伏点が低く延性が高い。履歴型制振ダンパーの材料
TMCP鋼 熱加工制御で製造。板厚40mm超〜100mm以下でも、40mm以下と同じ基準強度を保証
冷間成形角形鋼管
(BCR・BCP)
BCR=ロール成形、BCP=プレス成形。降伏比の上限などが規定される

よく出る数値と関係

項目 覚えるポイント
ヤング係数鋼種・強度によらず一定(約2.05×10⁵N/mm²)。SN490BもSS400も同じ
降伏比降伏点 ÷ 引張強さ。小さいほど塑性変形能力(粘り)が大きい。例:325÷490≒0.66
基準強度F(SN490B・40mm以下)325N/mm²。短期許容引張応力度はこれに等しい
板厚と降伏点同じ鋼塊なら、板厚が厚いほど降伏点は低い
不純物(炭素・硫黄・リン)炭素が増えると強度・硬度は上がるが靱性・溶接性・伸びは低下。S・Pは少ないほどよい

毎年問われる論点(○が正しい・×が誤りの定番)

論点 正しい記述(○)と、よくある誤り(×)
ヤング係数 ○ 鋼種・強度によらず一定/× 強度が高い鋼ほどヤング係数も大きい
降伏比と粘り ○ 降伏比が小さいほど塑性変形能力が大きい/× 降伏比が小さいほど塑性変形能力が小さい
SN材A種とシャルピー ○ シャルピー吸収エネルギーの規定はB・Cにあり、A種にはない/× A・B・Cいずれも下限が定められている
板厚と降伏点 ○ 板厚が厚いほど降伏点は低い/× 板厚が厚いほど降伏点は高い
TMCP鋼の板厚 ○ 40mm超でも基準強度を保証(SN材は板厚が厚いと基準強度が下がる)

覚え方

ヤング係数は何があっても2.05×10⁵で一定。降伏比は小さいほど粘り強い。SN材は「Aは弾性用、B・Cは溶接・塑性OK、Cは通しダイアフラム」。不純物(炭素・硫黄・リン)は増えると粘りが落ちるで揃えます。

過去問の肢で確認

Q.

SN材(A・B・C)は、いずれもシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーの下限値が定められている。〔R6 No.29〕

×。シャルピー吸収エネルギーの規定があるのはB・C種で、A種にはありません。A種は弾性範囲で使う鋼材です。

Q.

降伏比の小さい鋼材を用いた鉄骨部材は、一般に、塑性変形能力が小さい。〔H26 No.29〕

×。逆です。降伏比(降伏点÷引張強さ)が小さいほど塑性変形能力は大きく(粘り強く)なります。

Q.

SN490B材は、SS400材に比べて、降伏点・引張強さ・ヤング係数のいずれも大きい。〔H28 No.29〕

×。降伏点と引張強さは大きいですが、ヤング係数は同じ(鋼種によらず一定)です。強度と剛性の混同が定番の誤りです。

過去問の出題一覧(一級建築士 構造)

年度 No. 正解 主に問われた論点
令和7年293基準強度・許容応力度・不純物の影響
令和6年291SN材A・B・Cとシャルピー・低降伏点鋼
令和5年293降伏比の計算・SN材・板厚と降伏点
令和4年293鋼材(降伏比・SN材)
令和3年293鋼材(炭素量・Z方向・TMCP鋼)
令和2年293鋼材等(機械的性質)
令和元年291鋼材(SN材C種・冷間成形角形鋼管)
平成30年293鋼材(降伏比の計算・低降伏点鋼)
平成29年293金属材料
平成28年293鋼材(ヤング係数・TMCP鋼・ステンレス)

※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。鋼材は毎年No.29で出題され、SN材の区分・降伏比・ヤング係数が一定であること・TMCP鋼・不純物の影響がくり返し問われています。令和5年以前の解説リンクは順次追加予定です。

次に確認するページ

出典・参考

  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科IV(構造)問題」各年度
  • 各年度の正答は同センター公表の「正答肢」による
建築士試験 解説ノート

編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「構造」を過去問から整理しています。運営者情報

Topへ >>