建築士試験 解説ノート

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音響のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 環境・設備の過去問・頻出ポイント

音響は一級建築士 環境・設備のNo.9〜10で、過去10年は毎年1〜2問出ます。問われるのは、反射を減らす吸音と透過を減らす遮音を分けて考えられるか、そして残響時間や透過損失の比例関係です。引っ掛けは、吸音と遮音の役割をまぜたり、比例の関係を逆にした選択肢が多いです。まず残響時間から押さえます。

残響時間(セービンの式)

残響時間は、音を止めたあと音が響いて消えるまでの時間です。セービンの式で表します。

残響時間 = 0.161 × 室容積 ÷ 室内の総吸音力(T=0.161V/A)。つまり室容積が大きいほど長く、吸音力(吸音率×面積)が大きいほど短くなります。吸音材を増やすと残響時間は短くなります。

なお、室の平均吸音率が大きい場合、セービンの式で求めた残響時間は、アイリングの式で求めたものより長くなります(セービンの式は吸音が大きい室で過大評価になります)。

吸音はどの周波数に効くのか

吸音材は、種類によって効く周波数が違います。

種類 効く周波数
多孔質型(グラスウール等) 高音域(高い周波数ほど吸音率が高い)
共鳴器型(孔あき板+空気層) 中音域(共鳴周波数を中心に山型)
板(膜)振動型・厚い材 低音域(波長が長く厚みが要る)

なお、開放した窓は音をすべて通すので、反射がなく吸音率は1(音響透過率も1)になります。

遮音と透過損失(質量則)

遮音は、音を壁の向こうへ通さないことです。通しにくさを透過損失で表します。

単層壁の透過損失は質量則に従い、壁が重く厚い(面密度が大きい)ほど大きくなります。面密度を2倍にすると、透過損失は約6dB増えます。また、単層壁では音が垂直に入射するときが最も遮音性能が高くなります。

吸音と遮音は別物です。室内の反射を減らす吸音材を貼っても、隣室への音の透過(遮音)は良くなりません。

床衝撃音(軽量と重量)

床衝撃音は2種類に分かれ、対策が違います。

軽量床衝撃音(LL)は、スプーンを落としたような軽く高い音です。カーペットなど表面の仕上げ材で減らせます。

重量床衝撃音(LH)は、子どもが飛び降りたような重く低い音です。コンクリートスラブの厚さや躯体の剛性で決まり、表面の仕上げ材では減らしにくいのが特徴です。

まちがえやすいポイント

吸音と遮音は別物です。吸音材を増やしても遮音性能は上がりません(吸音は反射対策、遮音は透過対策)。透過損失は重い壁ほど大きく、「軽い壁ほど遮音できる」は逆で誤りです。

また、重量床衝撃音は表面の仕上げ材では減らしにくく、スラブ厚で決まります。カーペットやコルクで重量床衝撃音まで下がると考えるのは誤りです。

過去問の論点○×

過去10年で繰り返された論点を、正しい記述(○)と引っ掛け(×)で並べます。

記述 ○×
セービンの残響式による残響時間は、室容積に比例し、等価吸音面積に反比例する
平均吸音率が大きい場合、セービンの残響時間はアイリングの式より長くなる
開放窓は、音響透過率も吸音率も1になる
単層壁では、音が垂直に入射するときが最も遮音性能が高い
多孔質吸音材料は、低音域の吸音に優れる ×
単層壁の透過損失は、面密度が大きいほど小さくなる ×
床にカーペットやコルクタイルを敷くと、重量床衝撃音を低減できる ×

×を正しく直すと、多孔質吸音材は高音域に効く(低音は板振動型・空気層)/透過損失は面密度が大きいほど大きくなる(質量則)/表面の仕上げ材は軽量床衝撃音に効き、重量床衝撃音はスラブ厚で決まる、です。

過去問の出題一覧(一級建築士 環境・設備)

音響は、残響・吸音・遮音・床衝撃音から毎年No.9〜10で問われています。正解番号は建築技術教育普及センターの公表正答によります。

年度 No. 正解 論点/解説
令和7年(2025)102音響 ※No.9(正解4)で残響時間の計算も出題
令和6年(2024)91音響 ※No.10(正解4)吸音・遮音も出題
令和5年(2023)93吸音・遮音 ※No.10(正解3)残響時間の計算も出題
令和4年(2022)91音響 ※No.10(正解3)遮音も出題
令和3年(2021)94吸音・遮音 ※No.10(正解1)で音響も出題。解説は順次追加予定
令和2年(2020)94音響 ※No.10(正解3)で吸音・遮音も出題。解説は順次追加予定
令和元年(2019)91音響 ※No.10(正解2)で吸音・遮音も出題。解説は順次追加予定
平成30年(2018)94音響 ※No.10(正解1)で吸音・遮音も出題。解説は順次追加予定
平成29年(2017)92音響 ※No.10(正解2)で吸音・遮音も出題。解説は順次追加予定
平成28年(2016)94音響 ※No.10(正解3)で遮音・吸音も出題。解説は順次追加予定

覚え方

  • 残響時間 T=0.161V/A。容積に比例・吸音力に反比例。吸音材を増やすと短くなる。
  • 吸音材は多孔質=高音/共鳴器型=中音/板振動・厚材=低音。開放窓は吸音率1。
  • 透過損失は質量則で重い壁ほど大。面密度2倍で約6dB増。吸音と遮音は別物。
  • 床衝撃音は軽量(LL)=表面材で対策/重量(LH)=スラブ厚で決まる

理解度チェック

Q.

吸音材をたくさん貼れば、隣室への遮音性能も上がる?

上がりません。吸音は室内の反射を減らすもので、隣室への透過を減らす遮音とは別物です。遮音は壁の面密度(重さ)で決まります。

Q.

カーペットを敷けば、重量床衝撃音(子どもの飛び跳ね音)も下げられる?

下げにくいです。カーペット等の表面材は軽量床衝撃音には効きますが、重量床衝撃音はコンクリートスラブの厚さや躯体剛性で決まります。

Q.

多孔質吸音材(グラスウール等)は、低音域によく効く?

違います。多孔質型は高音域に効きます。低音域の吸音には、板(膜)振動型や厚みのある材が必要です。

出典・参考

  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科II(環境・設備)問題」および「正答肢」各年度
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「環境・設備」を過去問から整理しています。運営者情報

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