防水・屋根工事は、一級建築士 施工のNo.16で毎年出るテーマです。
雨漏りに直結するため、工法ごとの下地形状と重ね代を数値で押さえます。誤りの選択肢は、下地の形状や重ね幅を1か所だけすり替えてきます。だから「どの工法のどの値か」を取り違えないことが対策になります。まず下地の入隅・出隅からです。
防水層は角の部分で破断しやすいため、下地の形状を工法ごとに整えます。入隅・出隅の仕上げが問われます。
| 工法 | 入隅 | 出隅 |
|---|---|---|
| ウレタンゴム系塗膜防水 | 丸面(アール) | 45度の面取り |
| アスファルト防水・ 改質アスファルトシート防水 | 45度(三角形のキャント) | 通りよく直角 |
引っかけは、ウレタン塗膜防水の出隅を「通りよく直角」とする記述(令和5年)や、アスファルト防水の入隅と出隅を逆にする記述(平成29年)です。塗膜は入隅=丸面・出隅=45度、アスファルトは入隅=45度・出隅=直角と、工法ごとに覚えます。
重ね幅は、工法と場所で数値が変わります。とくに弱点になりやすい立上りの取合い部は、重ねを大きく取ります。
| 工法・部位 | 重ね幅 |
|---|---|
| 加硫ゴム系シート(平場) | 100mm以上 |
| 加硫ゴム系シート(立上りとの取合い部) | 150mm以上 |
| ウレタン塗膜防水(防水材の塗継ぎ) | 100mm以上 |
| ウレタン塗膜防水(補強布) | 50mm以上 |
狙われるのは数値の入れ替えです。シートは平場100・取合い150(弱点ほど大きく。令和7年・令和2年)、塗膜は防水材100・補強布50(防水材は大きく補強布は小さく。令和6年)と、ペアで覚えます。なお、シートは引張力を与えずに張り付けます。引張力を与えながら張ると、あとで収縮して口開きの原因になります(令和4年)。
歩行する屋上などでは、防水層の上に保護コンクリートを打ちます。厚さと伸縮目地が問われます。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 厚さ(こて仕上げ) | 80mm以上(タイル等の仕上げがある場合は60mm以上) |
| 伸縮目地の間隔 | 縦横 3m程度、かつ立上り際から 600mm以内 |
| 成形伸縮目地材の仕上り幅 | 20mm程度(保護コンクリートの上面から下面まで達する) |
保護コンクリートは温度で伸縮し、放っておくと防水層やパラペットを傷めます。だから伸縮目地で区切ります。中間部の間隔を「5m」とするのは広すぎで誤りです(平成30年)。なお、ルーフドレンは立上りから離して設けます(立上り部に接する位置は誤り。平成28年)。
シーリングは、目地の動き(挙動)の有無で接着面の数を変えます。ここは取り違えやすい論点です。
| 目地の種類 | 接着 |
|---|---|
| ワーキングジョイント (動く目地) | 二面接着。目地底にボンドブレーカー等を設け、動きに追従させる |
| ひび割れ誘発目地など (動かない目地) | 三面接着。ボンドブレーカーを使わず目地底にも接着させる |
ひび割れ誘発目地は目地底が構造体と一体なので三面接着です。また低温時は、被着体が5℃以下になるおそれがあれば、保温などの措置を講じて施工します。
屋根まわりでは、屋上緑化と金属屋根(折板葺)が問われます。
| 論点 | 正しい記述(○)と、よくある誤り(×) |
|---|---|
| ウレタン塗膜の出隅 | ○ 45度の面取り(入隅は丸面)/× 通りよく直角 |
| 塗膜防水の重ね幅 | ○ 防水材100・補強布50/× 防水材50・補強布100(逆) |
| シートの重ね幅 | ○ 平場100・取合い150/× 取合いも 100〜120 |
| アスファルト防水の入隅・出隅 | ○ 入隅45度・出隅は直角/× 入隅直角・出隅面取り(逆) |
| シート防水の張付け | ○ 引張力を与えずに張る/× 引張力を与えながら張る |
塗膜は入隅丸面・出隅45度、シートは平場100・取合い150、塗膜は防水材100・補強布50、アスファルトは入隅45度・出隅直角、誘発目地は三面接着。工法ごとに形状と数値が変わるので、どの工法の話かを先に確かめてから数値を照合しましょう。
ウレタン塗膜防水の下地で、入隅を丸面、出隅を通りよく直角に仕上げた。〔R5 No.16〕
×。出隅は45度の面取りです。直角だと角で塗膜が薄くなり破断します。これが令和5年の正答(誤りの肢)でした。
ウレタン塗膜防水の重ね幅を、防水材の塗継ぎ50mm・補強布100mmとした。〔R6 No.16〕
×。逆です。防水材の塗継ぎ100mm以上・補強布50mm以上。防水材は大きく、補強布は小さく取ります。
加硫ゴム系シートの重ね幅を、平場・立上りの取合い部ともに100mm(または120mm)とした。〔R7・R2 No.16〕
×。平場は100mm以上ですが、立上りとの取合い部は150mm以上必要です。弱点になりやすい入隅ほど大きく取ります。
合成高分子系シートを、一般平場部で引張力を与えながら下地に接着させた。〔R4 No.16〕
×。シートは引張力を与えずに張り付けます。引張力を与えると、あとで収縮して口開きの原因になります。
| 年度 | No. | 正解 | 主に問われた論点 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 16 | 3 | 加硫ゴム系シートの重ね幅(取合い150mm) |
| 令和6年 | 16 | 2 | 塗膜防水の重ね幅(防水材100・補強布50) |
| 令和5年 | 16 | 3 | ウレタン塗膜の出隅(45度の面取り) |
| 令和4年 | 16 | 1 | シート防水の張付け(引張力を与えない) |
| 令和3年 | 16 | 2 | 改質アスファルトシートの目地処理(絶縁増張り) |
| 令和2年 | 16 | 2 | シートの重ね幅(立上り取合い150mm) |
| 令和元年 | 16 | 2 | アスファルトプライマーの施工 |
| 平成30年 | 16 | 2 | 保護コンクリートの伸縮目地間隔(3m程度) |
| 平成29年 | 16 | 3 | アスファルト防水の入隅・出隅 |
| 平成28年 | 16 | 3 | ルーフドレンの設置位置(立上りから離す) |
※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。防水・屋根工事は毎年No.16で出題され、下地の入隅・出隅、防水層の重ね幅、保護コンクリート、シーリングがくり返し問われます。令和2年以前の解説リンクは順次追加予定です。
混同しやすいポイント
防水材の塗継ぎは100mm以上、補強布は50mm以上。「防水材は大きく、補強布は小さく」と覚えます。数値を逆にした記述がよくある誤りです。
加硫ゴム系シートは平場100mm以上、立上りとの取合い部は150mm以上。弱点になりやすい入隅ほど重ねを大きく取ります。
動く目地は二面接着(ボンドブレーカーで追従)、ひび割れ誘発目地など動かない目地は三面接着(底にも接着)。挙動の有無で使い分けます。
出典・参考(実ページで確認)
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
誤りの選択肢は下地の形状を変えたり(出隅を直角)、重ね幅の数値を逆・小さめにすり替えたりする形がほとんどです。
とくに「塗膜の出隅は45度」「防水材100・補強布50」「シート取合い150」「誘発目地は三面接着」は常連。工法ごとの正しい形状・数値を照合してください。