建築士試験 解説ノート

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タイル・左官工事のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 施工の過去問・頻出ポイント

タイル・左官工事は、一級建築士 施工のNo.17で毎年出るテーマです。

仕上げの剥落は重大事故につながるため、張付けの数値と検査を押さえます。誤りの選択肢は、面積・時間・調合・検査範囲を1か所だけすり替えてきます。だから正しい数値・調合・検査範囲を取り違えないことが対策になります。まず張付けモルタルからです。

タイルの張付けモルタルはなぜ2m²・20分が大事か

密着張り(ヴィブラート工法)は、張付けモルタルにタイルを振動工具でもみ込む工法です。モルタルが乾く前に張り終える必要があるため、1回の面積と時間が決まっています。

項目 基準
張付けモルタルの1回の塗付け面積2m²/人以内、かつ 20分以内に張り終える
壁タイル密着張りの目地深さタイル厚さの 1/2以下
後張り密着張りの張る順序上部から下部へ、一段置きに数段張ってから間を埋める

モルタルを広く塗りすぎたり時間をかけすぎると、表面が乾いて接着力が落ちます。だから2m²・20分でオープンタイムを管理します。時間を「60分以内」とするのは長すぎで誤りです(令和2年)。

タイルの検査(引張接着・打音)

剥落事故を防ぐため、施工後の検査基準が問われます。

検査 基準
引張接着強度試験の試験体数100m²ごと及びその端数につき1個以上、かつ全体で 3個以上
打音検査の範囲全面(タイル張り面の全数)

狙われるのは打音検査の範囲です。「全面の1/2程度」とする緩和規定はなく、全面検査が原則です(令和6年・平成30年)。とくに吹抜けの上部などは落下の危険が高いため省けません。

左官モルタルの調合と塗り順

モルタル塗りは、下塗り・中塗り・上塗りで調合(セメント:砂の容積比)を変えます。表層ほど砂を多くして、ひび割れを抑えます。

塗り層 調合(セメント:砂)
下塗り1:2.5
中塗り・上塗り1:3

砂が少ない(セメントが多い)ほど硬化時の収縮が大きく、ひび割れやすくなります。だから「セメント1:砂1」のようなセメント過多の調合は誤りです(令和7年)。下塗りは下地との接着のためやや富調合、上塗りはひび割れ防止のため貧調合と覚えます。

なお下塗りは、吸水調整材が乾燥した後に行います。また、アルミニウム合金製建具の枠まわりの充填モルタルに、塩化カルシウム系の凍結防止剤を使ってはいけません(塩化物がアルミを腐食させるため。令和5年)。

伸縮調整目地・石工事の要点

仕上げのひび割れ・剥落を防ぐ目地と、石張り・床下地の要点も問われます。

  • 外壁の垂直方向の伸縮調整目地は、柱形の入隅部および中間3〜4m間隔に設ける
  • 床タイル張り面の伸縮調整目地は、縦横とも4m以内ごとに設ける(「5m」は広すぎで誤り。平成29年)
  • 下地モルタルの伸縮調整目地は、タイル面の伸縮調整目地および躯体のひび割れ誘発目地と位置を一致させる
  • ビニル床シート下地の床コンクリート直均しの平坦さは3mにつき7mm以下(「1mにつき10mm」は粗すぎ。令和3年)
  • 外壁乾式工法の張り石は、一次ファスナーの取付け位置にあと施工アンカーを設ける

毎年問われる論点(○が正しい・×が誤り)

論点 正しい記述(○)と、よくある誤り(×)
打音検査の範囲 ○ 全面が原則/× 全面の1/2程度でよい
モルタルの調合 ○ 下塗り1:2.5・中塗り上塗り1:3/× 1:1(セメント過多)
張付けモルタルのオープンタイム ○ 2m²/人・20分以内/× 60分以内
アルミ建具まわりの充填モルタル ○ 塩化物を含まない/× 塩化カルシウム系凍結防止剤
床タイルの伸縮調整目地 ○ 縦横4m以内ごと/× 5mごと

覚え方

張付けモルタルは2m²・20分、モルタル調合は下塗り1:2.5・上塗り1:3、打音検査は全面、アルミに塩化カルシウムは禁止、床タイルの伸縮目地は4m以内。数値の緩めと調合の逆転に気づけるよう、正しい値を固定しておきましょう。

過去問の肢で確認

Q.

屋内吹抜け部の壁タイルの打音検査は、全面の1/2程度を抜き取って行えばよい。〔R6・H30 No.17〕

×。打音検査は全面が原則です。とくに吹抜け上部は落下の危険が高く省けません。令和6年・平成30年で出ました。

Q.

モルタル塗りの中塗り・上塗りの調合は、セメント1:砂1とする。〔R7 No.17〕

×。中塗り・上塗りはセメント1:砂3程度(下塗りは1:2.5)。砂1ではセメント過多で収縮ひび割れが生じます。

Q.

密着張りの張付けモルタルは、1回2m²/人以下とし、60分以内に張り終える面積とした。〔R2 No.17〕

×。面積は2m²/人以内で正しいですが、時間は20分以内です。60分では乾いて接着不良になります。

Q.

冬期、アルミニウム合金製建具の枠まわりの充填モルタルに、塩化カルシウム系の凍結防止剤を添加した。〔R5 No.17〕

×。塩化物がアルミを腐食させるため使用禁止です。保温養生か、塩化物を含まない凍結防止剤で対応します。

過去問の出題一覧(一級建築士 施工 No.17)

年度 No. 正解 主に問われた論点
令和7年174モルタルの調合(中塗り上塗り1:3)
令和6年171打音検査の範囲(全面)
令和5年171アルミと充填モルタル(塩化物禁止)
令和4年173有機系接着剤の種類(屋外)
令和3年171床コンクリートの仕上り平坦さ
令和2年172張付けモルタルのオープンタイム(20分)
令和元年171石材目地のシーリング寸法
平成30年174打音検査の範囲(全面)
平成29年174床タイルの伸縮調整目地(4m以内)
平成28年172石先付けPCa工法の石材厚さ

※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。No.17はタイル・左官・石工事から毎年出題され、張付けモルタル・調合・検査(打音は全面)・伸縮目地がくり返し問われます。令和2年以前の解説リンクは順次追加予定です。

混同しやすいポイント

富調合(下塗り1:2.5) と 貧調合(上塗り1:3)

砂が少ない=セメントが多い=富調合。下塗りは接着のためやや富調合(1:2.5)、上塗りはひび割れ防止のため貧調合(1:3)。「1:1」はセメント過多で誤りです。

張付けモルタルの「2m²」と「20分」

密着張りは1回2m²/人以内、20分以内に張り終えます。乾く前に張るためのオープンタイム管理で、面積・時間を広げると接着不良になります。

打音検査は「全面」(1/2ではない)

壁タイルの打音検査は全面が原則。引張接着強度試験は100m²ごと・端数に1個・全体3個以上。検査の種類で範囲・個数が違います。

まちがえやすいポイント

誤りの選択肢は調合の砂を極端に少なくしたり、検査範囲を緩めたり、面積・時間を広げたりする形がほとんどです。

とくに「張付けモルタル2m²・20分」「上塗りは1:3」「打音検査は全面」「アルミに塩化カルシウムは禁止」は常連。正しい数値・調合・検査範囲を照合してください。

次に確認するページ

出典・参考(実ページで確認)

  • 密着張りの張付けモルタル=1回2m²/人以内・20分以内に張り終える、壁タイル密着張りの目地深さ=タイル厚さの1/2以下:公共建築工事標準仕様書(11章タイル工事)
  • 引張接着強度試験の試験体数=100m²ごと及び端数につき1個以上・全体で3個以上、打音検査は全面:公共建築工事標準仕様書/改修工事監理指針
  • セメントモルタル塗りの調合(容積比)=下塗り1:2.5・中塗り・上塗り1:3。砂が少ない(セメント過多)ほどひび割れやすい:公共建築工事標準仕様書(15章左官工事)
  • 床タイルの伸縮調整目地は縦横4m以内ごと、ビニル床シート下地の直均し平坦さは3mにつき7mm以下、アルミ建具まわりに塩化カルシウム系凍結防止剤は使用禁止(異種金属腐食)
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科V(施工)問題」各年度、正答は同センター公表の正答肢による
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「施工」を過去問の問われ方から整理しています。運営者情報

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