給排水衛生設備は一級建築士 環境・設備のNo.14〜15で、過去10年は毎年2問出ます。問われるのは、給水の逆流を防ぐしくみと、排水トラップ・通気で臭気の逆流(破封)を防ぐしくみです。引っ掛けは、防止の役割を取り違えさせる選択肢が多いです(トラップは二重にするとよい、通気管は排水を速くするためのもの、など)。まず給水の逆流防止から押さえます。
給水方式には、水道直結(直圧・増圧)、受水槽+高置水槽、ポンプ直送などがあります。規模や用途で選びます。
最重要が逆流防止です。クロスコネクション(上水の管と、井戸水や雑用水など他系統の管を直接つなぐこと)は、水道法で禁止されています。
大事なのは、逆止弁を付けても直接つないでいればクロスコネクションだという点です。弁は故障しうるので認められません。配管そのものを分けます。
受水槽や器具では、給水口と水面のあいだに吐水口空間をあけ、断水時の逆サイホン作用による逆流を防ぎます。
排水トラップは、水をためて(封水)下水の臭気や害虫が室内へ入るのを防ぐ仕組みです。
封水の深さ(封水深)は50〜100mmが標準です。浅いと破封しやすく、深いと自浄作用が落ちます。
二重トラップは禁止です。1つの排水系統にトラップを2つ直列に置くと、間の空気が逃げられず排水の流れが悪くなります。
封水が失われることを破封といい、自己サイホン作用や蒸発などで起こります。これを防ぐのが通気です。
通気管は、排水時に管の中で生じる圧力の変動をやわらげ、トラップの封水を守ります。
方式には、各器具ごとにつける各個通気、2個以上のトラップをまとめて守るループ通気、立て管の頂部を延ばす伸頂通気があります。各個通気は自己サイホン作用の防止に有効です。
通気は封水を守るためのもので、排水を速く流すためのものではありません。
過去10年で繰り返された論点を、正しい記述(○)と引っ掛け(×)で並べます。
| 記述 | ○× |
|---|---|
| 飲料水の配管と他系統(雑用水・空調等)の配管を、逆止弁を介して直接連結してよい | × |
| 給水栓の吐水口とあふれ縁の間に吐水口空間を設けるのは、逆サイホン作用による逆流を防ぐため | ○ |
| 排水トラップの封水深は、50〜100mmを標準とする | ○ |
| 1つの排水系統にトラップを2つ直列に設ける(二重トラップ)と、排水機能が向上する | × |
| 通気管は、トラップの封水を保護するために設ける | ○ |
| ウォーターハンマーを防ぐには、配管内の流速を大きくする | × |
| 公共下水道へ排水する場合、原則として排水温度を45℃未満にして排水する | ○ |
×を正しく直すと、上水と他系統は逆止弁を介しても直接連結してはならない(配管を分ける)/二重トラップは間の空気が逃げず流れが悪くなるので禁止/ウォーターハンマーは流速を小さくする・エアチャンバーで吸収する、です。
給排水衛生設備は、給水の逆流防止・排水トラップ・通気から毎年No.14〜15で問われています。正解番号は建築技術教育普及センターの公表正答によります。
| 年度 | No. | 正解 | 論点/解説 |
|---|---|---|---|
| 令和7年(2025) | 14 | 2 | 給水設備(クロスコネクション) ※No.15(正解3)排水・通気設備も出題 |
| 令和6年(2024) | 14 | 1 | 給水・給湯設備 ※No.15(正解2)排水設備等も出題 |
| 令和5年(2023) | 14 | 3 | 給水(受水槽) ※No.15(正解3)給排水衛生設備も出題 |
| 令和4年(2022) | 14 | 3 | 給水設備 ※No.15(正解4)で給湯設備も出題 |
| 令和3年(2021) | 14 | 1 | 給排水衛生設備 ※No.15(正解1)で排水設備も出題。解説は順次追加予定 |
| 令和2年(2020) | 14 | 4 | 給水量の算定 ※No.15(正解3)で排水通気の通気方式も出題。解説は順次追加予定 |
| 令和元年(2019) | 14 | 3 | 給水設備 ※No.15(正解4)で給排水衛生設備も出題。解説は順次追加予定 |
| 平成30年(2018) | 14 | 4 | 給水設備 ※No.15(正解2)で給排水衛生設備も出題。解説は順次追加予定 |
| 平成29年(2017) | 14 | 2 | 給排水衛生設備 ※No.15(正解1)でも給排水衛生設備を出題。解説は順次追加予定 |
| 平成28年(2016) | 14 | 1 | 給排水設備 ※No.15(正解3)でも給排水設備を出題。解説は順次追加予定 |
上水と雑用水の管をつなぐとき、逆止弁を付ければクロスコネクションにならない?
なります。上水と他系統を直接つなぐこと自体が禁止で、逆止弁を付けても認められません(弁は故障しうる)。配管を分けます。
臭気対策として、トラップを二重に設けるとよい?
よくありません。二重トラップは禁止です。間の空気が逃げられず、排水の流れが悪くなります。臭気はトラップ1つの封水で防ぎます。
通気管は、排水を速く流すために設ける?
違います。通気管は排水時の圧力変動をやわらげてトラップの封水を守るためのものです。各個通気は自己サイホン作用の防止に有効です。
出典・参考
※ このページの確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
クロスコネクションは、逆止弁を付けても認められません。上水と他系統を直接つなぐこと自体が禁止で、配管を分けます。「逆止弁で防げる」は誤りです。
臭気対策でトラップを二重に設けるのは禁止です(排水の流れが悪くなる)。また、通気管は封水を守るためで、排水を速くするためではありません。