一級建築士 学科Ⅲ(法規)の防火・避難の問題では、耐火構造・準耐火構造・防火構造・準防火性能がよく出ます。名前が似ているので、性能や対象部分を入れ替えた記述で誤りを作ってきます。
見分けるポイントは「どの火災に対する性能か」です。耐火構造・準耐火構造は、建築物自体の火災を含めて耐える性能で、主要構造部に求められます。防火構造・準防火性能は、周囲(隣)で発生した火災による延焼を受けないための外壁・軒裏の性能です。向きが逆になっている記述は誤りです。
| 用語 | 対象 | 性能の核心 |
|---|---|---|
| 耐火構造(令107条) | 主要構造部 | 通常火災の終了まで倒壊・延焼を防止。非損傷性・遮熱性・遮炎性。必要時間は階数で変わる(下階ほど長い) |
| 準耐火構造(令107条の2) | 主要構造部 | 通常火災による延焼を抑制。45分(延焼のおそれのある部分以外の非耐力の外壁・軒裏は30分) |
| 防火構造(令108条) | 外壁・軒裏 | 周囲で発生する通常火災による延焼を抑制。加熱30分 |
| 準防火性能(令109条の9) | 外壁 | 周囲で発生する通常火災による延焼を一定程度抑制。加熱20分 |
耐火・準耐火は「自身の火災を含めて耐える(主要構造部)」、防火構造・準防火性能は「周囲の火災に対する(外壁・軒裏)」。
防火構造と準防火性能は、隣からの延焼を受けないための性能です。建築物自身の倒壊を防ぐものではありません。「防火構造は建築物の倒壊を防ぐ」という記述は誤りです。
数値も狙われます。防火構造の外壁・軒裏は加熱30分、準防火性能の外壁は加熱20分です。さらに、防火設備に求められる遮炎性能(加熱20分など)と、外壁に求められる準防火性能を取り違える出題もあります。遮炎性能は防火設備の性能で、外壁の性能ではありません。
「構造」と「建築物」も区別します。
準耐火建築物の定義にも、外壁の開口部の防火設備が含まれます。ここを落とした記述に注意してください。
| 正誤 | 記述 |
|---|---|
| × | 準防火性能は、外壁に必要とされる遮炎性能のことである。 → 遮炎性能は防火設備の性能です。準防火性能は周囲の火災に対する外壁の性能(加熱20分)です(H30) |
| ○ | 防火構造の軒裏は、周囲で発生する通常の火災による火熱に対し、加熱開始後30分間、所定の温度以上に上昇しないものとする。 → 正しい |
| ○ | 準耐火建築物は、主要構造部を準耐火構造とし、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に所定の防火設備を有する建築物である。 → 正しい |
混同しやすい用語
耐火構造は主要構造部に求められ、建築物自体の火災にも耐えて倒壊・延焼を防ぎます。防火構造は外壁・軒裏に求められ、周囲で発生した火災による延焼を受けないための性能です。対象部分と火災の向きが違います。
準防火性能は外壁の性能(周囲の火災に対し加熱20分)。遮炎性能は防火設備の性能(火炎を遮る)です。同じ「20分」でも、外壁か防火設備かで別物です。
防火構造は、建築物自体の火災に対して主要構造部の倒壊を防ぐための性能である。〇か×か。
×。防火構造は周囲で発生する火災による延焼を抑制するための外壁・軒裏の性能です。建築物自体の火災に耐えるのは耐火構造・準耐火構造です。
準防火性能は、外壁に必要とされる遮炎性能のことである。〇か×か。
×。遮炎性能は防火設備の性能です。準防火性能は周囲の火災に対する外壁の性能(加熱20分)です。
防火構造の外壁・軒裏は、加熱開始後30分間、所定の温度以上に上昇しないものとする。〇か×か。
〇。防火構造は加熱30分、準防火性能(外壁)は加熱20分です。
「自身の火災に耐える=耐火・準耐火(主要構造部)」「周囲の火災に対する=防火構造・準防火性能(外壁・軒裏)」。
防火構造30分・準防火性能20分、遮炎性能は防火設備の性能。耐火建築物・準耐火建築物は外壁開口部の防火設備まで含む。向きと数値を押さえれば、防火の記述は見分けられます。
参考(実ページで確認)
※ この記事の確認日:2026年6月