用語定義は一級建築士 法規のNo.1で、過去10年ほぼ毎年出ます(令和4年だけNo.2)。問われ方は決まっていて、定義の内容は正しいまま、当てはめる用語の名前や範囲だけをすり替える形が多いです。①建築基準関係規定②基本用語の定義③性能・防火設備と延焼のおそれ、の3つから押さえます。
毎年のように問われるのが建築基準関係規定です(令9条)。これは建築確認や完了検査で適合が求められる規定で、建築基準法令だけではありません。
建築物の敷地・構造・建築設備に関わる消防法・水道法・下水道法・都市計画法・宅地造成及び特定盛土等規制法・ガス事業法などの他法令も含みます。「建築基準法令だけ」と狭めると誤りです。
| 用語 | 定義のポイント |
|---|---|
| 建築物 | 土地に定着する屋根+柱・壁の工作物など。観覧のための工作物は、屋根がなくても建築物(野球場の観覧席など)。 |
| 建築設備 | 電気・ガス・給排水・換気・冷暖房・消火・排煙・汚物処理の設備、煙突、昇降機、避雷針など。消火用の貯水槽も含む。 |
| 居室 | 居住・執務・作業・集会・娯楽などに継続的に使用する室。レストランの調理室も居室にあたる。 |
| 構造耐力上主要な部分 | 基礎・基礎ぐい・壁・柱・小屋組・土台・斜材・床版・屋根版・横架材など、荷重を支える部分(令1条三号)。主要構造部(防火の概念)とは別。 |
準防火性能は、周囲の通常の火災による延焼の抑制に効果を発揮するため、外壁に必要とされる性能です。特定防火設備は加熱開始後1時間遮炎する設備で、防火設備(20分)と区別します。
特定天井は脱落すると重大な危害を生じるおそれのある天井(令39条3項)で、延焼防止の強化天井とは別物です。延焼のおそれのある部分は、隣地境界線・道路中心線や、同一敷地内の2以上の建築物相互の外壁間中心線から、1階3m・2階以上5m以下の範囲です。
過去10年で繰り返された論点を、正しい記述(○)と引っ掛け(×)で並べます。
| 記述 | ○× |
|---|---|
| 建築基準関係規定には、消防法・水道法・都市計画法などの他法令の規定も含まれる | ○ |
| 観覧のための工作物は、屋根がなくても建築物に該当する | ○ |
| レストランの調理室は、居室に該当する | ○ |
| 延焼のおそれのある部分は、1階で3m・2階以上で5m以内の範囲である | ○ |
| 特定防火設備の遮炎時間は、防火設備と同じ20分間である | × |
| 脱落で重大な危害を生じるおそれのある天井は、強化天井である | × |
| 建築基準関係規定は、建築基準法令だけを指す | × |
×を正しく直すと、特定防火設備の遮炎時間は1時間(防火設備は20分)/脱落で危害が生じる天井は特定天井(令39条3項)/建築基準関係規定は消防法等の他法令も含む、です。
用語定義は、上の論点が年度をまたいでくり返し問われています。正解番号は建築技術教育普及センターの公表正答によります。
| 年度 | No. | 正解 | 主に問われた用語/解説 |
|---|---|---|---|
| 令和7年(2025) | 1 | 3 | 準防火性能・建築基準関係規定・建築物(観覧工作物)・居室 |
| 令和6年(2024) | 1 | 3 | 建築設備(貯水槽)・設計図書・延焼のおそれ |
| 令和5年(2023) | 1 | 1 | 特定天井/強化天井・建築基準関係規定・構造耐力上主要な部分・特定防火設備 |
| 令和4年(2022) | 2 | 4 | 用語の定義・建築基準関係規定 ※No.1は延べ面積・高さ・階数の算定 |
| 令和3年(2021) | 1 | 4 | 用語の定義・建築基準関係規定 ※解説は順次追加予定 |
| 令和2年(2020) | 1 | 3 | 用語の定義・建築基準関係規定 ※解説は順次追加予定 |
| 令和元年(2019) | 1 | 4 | 用語の定義・建築基準関係規定 ※解説は順次追加予定 |
| 平成30年(2018) | 1 | 3 | 用語の定義・建築基準関係規定 ※解説は順次追加予定 |
| 平成29年(2017) | 1 | 2 | 用語の定義・建築基準関係規定 ※解説は順次追加予定 |
| 平成28年(2016) | 1 | 4 | 用語の定義・建築基準関係規定 ※解説は順次追加予定 |
建築基準関係規定には、消防法などの他法令の規定は含まれない?
含まれます。建築基準法令のほか、建築物の敷地・構造・建築設備に関わる消防法・水道法・都市計画法など他法令の規定も建築基準関係規定です(令9条)。
屋根を有しない観覧のための工作物は、「建築物」に該当しない?
該当します。観覧のための工作物は屋根がなくても建築物です(野球場の観覧席など)。
脱落すると重大な危害を生じるおそれのある天井は、強化天井?
違います。それは特定天井(令39条3項)です。強化天井は延焼を防ぐための天井で、目的が異なります。
出典・参考
※ このページの確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
建築基準関係規定には消防法など他法令も含まれます。「建築基準法令だけ」は誤りです。観覧のための工作物は屋根がなくても建築物に該当します。
脱落で危害が生じる天井は特定天井で、強化天井ではありません。遮炎時間は特定防火設備=1時間・防火設備=20分の取り違えにも注意します。