特定防火設備も防火設備も、火災のときに開口部(ドアや窓など)をふさいで、炎が燃え移る(延焼する)のを防ぐ建具です。防火戸や防火シャッターがこれにあたります。
違いは、炎を遮る時間です。特定防火設備は1時間、防火設備は20分、加熱面の反対側に火炎を出さない性能をもちます。
ただし試験で本当に差がつくのは時間の暗記ではなく、どの防火区画・どこに、どちらが要るかです。
結論を先に言うと、面積区画・異種用途区画は特定防火設備、竪穴区画や延焼のおそれのある部分の外壁開口部は防火設備、という対応です。
性能・条文・代表的な設置場所を並べると、混同しにくくなります。
| 項目 | 特定防火設備 | 防火設備 |
|---|---|---|
| 遮炎時間 | 加熱開始後1時間火炎を出さない | 加熱開始後20分火炎を出さない |
| 根拠 | 令112条1項(防火設備のうち1時間のもの) | 令109条の2(遮炎性能20分)/法2条九号の二 |
| 代表的に要る場所 | 面積区画・異種用途区画の開口部 | 竪穴区画/延焼のおそれのある部分の外壁開口部 |
| かつての呼び方 | 甲種防火戸 | 乙種防火戸 |
令112条1項は、特定防火設備を「防火設備のうち、加熱開始後1時間、加熱面以外の面に火炎を出さないもの」と位置づけています。20分の遮炎性能(令109条の2)を満たすのが防火設備です。
同じ「防火区画」でも、種類によって求められる建具が違います。ここが得点源です。
区画ではなく外側、つまり延焼のおそれのある部分の外壁開口部に求められるのは、防火設備です(法2条九号の二)。隣や道路からのもらい火を20分遮れば足ります。
「火災を長く止めたい内部の要所=特定防火設備、もらい火対策の外壁開口や竪穴=防火設備」とイメージで結ぶと、場所のすり替えに気づけます。
一級建築士 法規(学科Ⅲ)の過去問を見ると、引っかけは大きく「時間のすり替え」と「場所・区画のすり替え」の2型です。問題本文は公式PDFで確認できます。
| 年度・No. | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和7年 No.1 | 加熱後1時間火炎を出さないものは特定防火設備(正しい記述) |
| 令和5年 No.1 | 1時間遮炎で大臣認定を受けたものも特定防火設備(正しい記述) |
| 平成29年 No.1 | 加熱後「45分」で火炎を出さないものを特定防火設備とした記述=誤り(正しくは1時間) |
| 令和元年 No.6 | 防火区画に用いる特定防火設備は常時閉鎖または随時閉鎖できるもの(正しい記述) |
| 令和7年 No.7 | 防火区画の防火戸(常時閉鎖型)は面積3m²以内などの条件で問われる |
| 平成28年(設備) | 換気風道が防火区画を貫通する部分の特定防火設備=煙・温度上昇で自動閉鎖(正しい記述) |
時間は1時間が正で、45分・20分はすり替えです。場所は、面積区画など内部の要所に特定防火設備、と押さえると、両方の型に対応できます。
加熱開始後45分で火炎を出さない防火戸は、特定防火設備?
違います。特定防火設備は加熱開始後1時間です。45分は中間の数値を使ったすり替えで、平成29年No.1で問われた誤りの形です。
面積区画と竪穴区画では、それぞれどちらの設備が要る?
面積区画は特定防火設備(1時間)、竪穴区画は防火設備(遮煙性能をもつもの)でよい、です。区画の種類で分かれます。
特定防火設備は1時間・面積区画など内部の要所、防火設備は20分・竪穴区画や延焼のおそれのある部分の外壁開口部、が分かれ目です。過去問10年では「時間のすり替え(45分・20分)」と「区画・場所のすり替え」の2型で問われています。この2軸で見れば、用語の暗記でなく正誤の判断ができます。
出典・参考(一次資料で確認)
※ このページの確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
狙われるのは2か所です。遮炎時間(1時間↔20分・45分)と、要る場所(区画の種類)。
「45分や20分で特定防火設備」「竪穴区画に特定防火設備が必須」と書いてあれば誤りです。特定防火設備は1時間で面積区画など、竪穴区画や外壁開口部は防火設備(20分)が分かれ目です。