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プレストレストコンクリート(PC)のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 構造の過去問・頻出ポイント

プレストレストコンクリート(PC)は一級建築士 学科Ⅳ(構造)の頻出テーマです。過去10年(H28〜R7)でほぼ毎年、多くはNo.22で1問が出題されます。あらかじめPC鋼材でコンクリートに圧縮力(プレストレス)を与え、ひび割れを抑える構造です。

プレストレストコンクリートは、プレテンションとポストテンションの違い、Ⅰ種・Ⅱ種・Ⅲ種の引張の扱い、プレストレスの減少を覚える分野です。

誤りの選択肢は、方式の定義や種別の引張の扱いを少しだけ入れ替えてあります。仕組みで押さえれば落としにくいテーマです。

プレテンションとポストテンションの違い

緊張のタイミングと、プレストレスをどう保持するかで分かれます。

方式 緊張の順序 プレストレスの保持
プレテンションコンクリート打設のにPC鋼材を緊張し、硬化後に張力を解放するコンクリートとの付着で保持(定着具は不要)
ポストテンションコンクリート硬化のに、シース内のPC鋼材を緊張する定着具で端部を固定して保持

「ポストテンションはPC鋼材の周りに直接コンクリートを打設し、付着で導入する」という記述は、プレテンションの説明とすり替えた誤りです。

PCの種別(Ⅰ種・Ⅱ種・Ⅲ種)

設計荷重時に引張応力やひび割れをどこまで認めるかで3種に分かれます。ここが毎年の引っかけどころです。

種別 引張応力 ひび割れ
Ⅰ種(フルプレストレッシング)生じさせない許容しない
Ⅱ種(パーシャルプレストレッシング)許容応力度以下で許容する許容しない
Ⅲ種(PRC=プレストレスト鉄筋コンクリート)許容する許容する(幅を制御)

Ⅰ種は引張応力を生じさせません。Ⅱ種は許容応力度以下なら引張応力を認めます(ただしひび割れは認めない)。Ⅲ種はひび割れまで認め、その幅を制御します。Ⅰ種とⅡ種の引張の扱いを入れ替えた記述が誤りで多い形です。

PCで毎年問われる論点

  • プレストレスは時間とともに減少する。PC鋼材のリラクセーション、コンクリートのクリープ・乾燥収縮が原因です。「増大する」とする記述は誤りです。
  • アンボンド(防錆材で被覆した緊張材)はシース内のグラウトが不要です。付着で一体化させるボンド方式はグラウトが必要です。「アンボンドでもグラウトが必須」とする記述は誤りです。
  • ポストテンションの定着部は、コンクリートの支圧破壊を避けるため、支圧板とコンクリート端面の接触面積を広くします。
  • プレキャストPC部材の圧着接合では、圧着部のせん断耐力を有効プレストレス力に摩擦係数を乗じて求めます。目地の脱落防止に補強筋を設けます。
  • 保有水平耐力計算でPC柱の部材種別を判定するとき、軸方向力に有効プレストレス力を考慮します。
  • PCは鉄筋コンクリートより長スパンに適し、ひび割れを抑えるため残留変形が小さく復元性に優れます。

まちがえやすいポイント

種別はⅠ種=引張を生じさせない/Ⅱ種=許容内で引張を許容。この2つを入れ替えた記述が誤りになります。

プレストレスは時間とともに減少(増大は誤り)。アンボンドはグラウト不要、プレテンは付着・ポステンは定着具。この向きを固定で押さえてください。

過去問の肢で確認(〇が正しい・×が誤り)

過去10年で実際に出た記述です。方式の定義や種別の引張の扱いを1か所だけ入れ替えてあります。

正誤 記述と出典
×導入されたプレストレス力は、リラクセーション等により時間の経過とともに増大する。
減少します〔R1 No.22〕
×フルプレストレッシング(Ⅰ種)は、長期設計荷重時の引張応力を許容引張応力度以下に制限するものである。
→ Ⅰ種は引張応力を生じさせない(制限はⅡ種)〔R3 No.22〕
×パーシャルプレストレッシング(Ⅱ種)は、長期設計荷重時に引張応力が生じないように制限するものである。
→ Ⅱ種は許容応力度以下で引張応力を許容します〔R7 No.22〕
×ポストテンション方式は、PC鋼材の周りに直接コンクリートを打設し、付着力でプレストレスを導入する。
→ それはプレテンションの説明です〔R2 No.23〕
×アンボンド(防錆材被覆)の緊張材を使う場合でも、シース内にグラウト材を注入しなければならない。
→ アンボンドはグラウト不要です〔R4 No.22〕
ポストテンションの定着部は、支圧破壊を避けるため支圧板とコンクリート端面の接触面積を広くする。
→ 正しい〔R1 No.22・R7 No.22〕

過去問でどう問われたか(過去10年)

PCはNo.22の専用問題を中心に、各種構造・混合構造の肢でも問われます。論点は方式の定義・Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ種・プレストレスの減少・アンボンドに集まります。正答は建築技術教育普及センターの公式正答によります。

年度・No. 正答 問われた論点と引っかけ
R7 No.222パーシャル(Ⅱ種)を「引張応力が生じないように制限」とする誤り(Ⅰ種の説明)
R5 No.221PC柱の部材種別判定で「有効プレストレス力を考慮しない」とする誤り(考慮する)
R4 No.224アンボンドでも「シース内にグラウト必須」とする誤り(アンボンドは不要)
R3 No.222フル(Ⅰ種)を「引張応力を許容応力度以下に制限」とする誤り(Ⅰ種は引張を生じさせない)
R2 No.231ポストテンションを「直接打設し付着で導入」とする誤り(それはプレテンション)
R1 No.224プレストレス力を「時間とともに増大」とする誤り(減少)
H30 No.231PRC(プレストレスト鉄筋コンクリート)を「曲げひび割れを許容しない」とする誤り(Ⅲ種は許容)
H29 No.224プレテンション方式の定義は正しい肢(誤りは別肢の壁式RC)
H28 No.233ポストテンションのグラウトは鋼材防食・付着確保が目的(正しい肢/誤りは別肢)

※ 過去10年(H28〜R7)を確認し、PCはほぼ毎年(多くはNo.22)出題されています。R3〜R7は各問の解説へリンクしています(H28〜R2の解説は順次追加予定)。

覚え方

プレテン=先に緊張・付着、ポステン=後で緊張・定着具。Ⅰ種=引張ゼロ、Ⅱ種=引張は許容内、Ⅲ種=ひび割れまで許容。

  • プレテンション=打設に緊張・付着で保持/ポストテンション=硬化に緊張・定着具で保持
  • Ⅰ種フル=引張生じさせない/Ⅱ種パーシャル=許容内で引張可・ひび割れ無/Ⅲ種PRC=ひび割れ許容
  • プレストレスは時間とともに減少(リラクセーション・クリープ・乾燥収縮)
  • アンボンド=グラウト不要/ボンド=グラウト必要

理解度チェック

Q.

プレストレス力は、PC鋼材のリラクセーションなどにより時間とともに増大する。〇か×か。

×。リラクセーション・クリープ・乾燥収縮により減少します。

Q.

パーシャルプレストレッシング(Ⅱ種)は、長期設計荷重時に引張応力を生じさせない。〇か×か。

×。引張応力を生じさせないのはⅠ種(フルプレストレッシング)です。Ⅱ種は許容応力度以下で引張応力を許容します。

Q.

アンボンドの緊張材を用いる場合、シース内のグラウトは不要としてよい。〇か×か。

。防錆材で被覆したアンボンドはグラウト不要です。付着で一体化するボンド方式はグラウトが必要です。

まとめ

方式(プレテン/ポステン)と種別(Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ種)の向きを固定し、プレストレスは減少と覚える。

プレテンは付着・ポステンは定着具、Ⅰ種は引張ゼロ・Ⅱ種は許容内・Ⅲ種はひび割れ許容、プレストレスは時間とともに減少、アンボンドはグラウト不要。この向きを押さえれば、PCの文章題は照合で解けます。

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参考(実ページで確認)

  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)問題」(PCの出題内容・公式正答)
  • プレテンション・ポストテンションの定義(緊張順序・付着/定着具):日本ピーエス株式会社ほかPC専業各社の技術解説
  • Ⅰ種(フルプレストレッシング)・Ⅱ種(パーシャルプレストレッシング)・Ⅲ種(PRC)の引張応力とひび割れの扱い:過去問(R3 No.22・R7 No.22・H30 No.23)で確認
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「構造」を過去問の問われ方から整理しています。運営者情報

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