一級建築士 学科Ⅱ(環境・設備)のNo.1は、温熱・光・音・換気・放射の用語を分野横断で1問にまとめて出します。問われるのは用語の定義で、引っかけは「似た用語と中身を入れ替える」すり替えです。各分野の詳しい論点は分野別ページに譲り、ここではNo.1で狙われる横断用語を整理します。
| 用語 | 正しい定義(すり替えに注意) |
|---|---|
| 色度 | 色相と彩度に関する情報で、明度を含まない(明度を含むは誤り) |
| 音響インテンシティレベル(音の強さ) | 単位面積を単位時間に通過する音響エネルギー。単位体積当たりは音響エネルギー密度レベル |
| 長波長放射率 | ある部材表面の放射エネルギーを、同一温度の完全黒体の放射エネルギーで除した値 |
| A特性 | 等ラウドネス曲線の40phonに対応した周波数補正。騒音レベルの算出に用いる |
| 空気齢/空気寿命 | 空気齢=流入口から室内のある点に到達するまでの平均時間(小さいほど新鮮) |
| 実効放射(夜間放射) | 地表における「上向きの地表面放射」と「下向きの大気放射」の差 |
| クリモグラフ | 気温・相対湿度等の2要素を座標軸にとり、月ごとの値をプロットした気候図 |
| 光幕反射 | 光沢面の正反射で文字と紙面の輝度対比が下がり見にくくなる(対比が大きくなるは誤り) |
| 剥離流 | 壁面に沿う風が隅角部で建築物から離れる流れ(ビル風) |
| エネルギー代謝率 | 労働代謝を基礎代謝で割った比で、作業強度を表す |
| ブーミング現象 | 低周波・室寸法が小さいほど固有周波数密度が疎になり起こりやすい |
| 自然室温 | 空調を行わないときに自然条件で定まる室温(作用温度の定義とのすり替えに注意) |
No.1は「似た用語の中身を入れ替える」すり替えが基本です。色度に明度を混ぜる、インテンシティを単位体積にする、光幕反射で対比が上がるとする、がよく出る誤りです。
No.1は過去10年すべてで「環境工学における用語」の横断問題です。4つの記述から、定義がすり替えられた1つを選びます。問題本文は公式PDFで確認できます。
| 年度・No. | 正解 | 誤り肢の核心 |
|---|---|---|
| 令和7年 No.1 | 1 | 音響インテンシティレベルを「単位体積当たり」とした(単位面積が正) |
| 令和6年 No.1 | 2 | 自然室温の定義(作用温度の説明とすり替え) |
| 令和5年 No.1 | 4 | 誘目性は色相で緑が最も高い(赤が最も高い) |
| 令和4年 No.1 | 4 | 空気齢・空気寿命の説明のすり替え |
| 令和3年 No.1 | 2 | グレアは周囲の輝度の影響を受けない(受ける) |
| 令和2年 No.1 | 4 | 実効放射(夜間放射)の説明のすり替え |
| 令和元年 No.1 | 2 | プルキンエ現象を「暗所視で赤が明るく青が暗い」とした(逆) |
| 平成30年 No.1 | 3 | 光幕反射で輝度対比が大きくなるとした(下がるが正) |
| 平成29年 No.1 | 1 | 色度に明度を含むとした(明度は含まない) |
| 平成28年 No.1 | 2 | 照度を不快グレアの評価に用いるとした(輝度が正) |
10年を通して、問い方は用語の定義の言い換えで一定です。似た用語のペア(インテンシティ/エネルギー密度、色度/明度、照度/輝度、自然室温/作用温度)を区別できれば取れます。
色度は、色相・彩度・明度のうち何を含む?
色相と彩度に関する情報で、明度は含みません。「色度に明度を含む」は誤りで、平成29年No.1で出ました。
音響インテンシティレベルと音響エネルギー密度レベルの違いは?
インテンシティ(音の強さ)は単位面積を単位時間に通過する音響エネルギー、エネルギー密度は単位体積当たりのエネルギーです。令和7年No.1で、インテンシティを「単位体積」とした肢が誤りでした。
光幕反射が起きると、文字と紙面の輝度対比はどうなる?
下がって見にくくなります。光沢面の正反射でベールがかかったようになる現象です。「輝度対比が大きくなる」は誤りで、平成30年No.1で出ました。
実効放射(夜間放射)とは?
地表における「上向きの地表面放射」と「下向きの大気放射」の差です。晴れた夜に地表が冷える放射冷却に関係します。
環境工学の用語(No.1)は、温熱・光・音・換気・放射の用語を横断で問い、定義のすり替えを見抜かせます。色度は明度を含まない、インテンシティは単位面積、光幕反射は輝度対比が下がる、自然室温と作用温度は別物、と似た用語のペアで覚えれば、毎年のNo.1を落としません。各分野の数値や論点は分野別ページで深掘りしてください。
出典・参考(一次資料・複数資料で確認)
※ このページの確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
似た用語の中身の入れ替えが基本の引っかけ。色度は明度を含まない、インテンシティは単位面積、光幕反射は輝度対比が下がる、で押さえます。
「色度=明度を含む」「インテンシティ=単位体積」「光幕反射で対比が大きくなる」と書いてあれば誤りです。人が目で感じる明るさは照度でなく輝度です。