建築士試験 解説ノート

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改修・耐震改修工事のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 施工の過去問・頻出ポイント

改修・耐震改修工事は、一級建築士 施工のNo.22・23で毎年2問出るテーマです。

既存建物を使いながら直すため、劣化状況に応じた工法の選定を押さえます。誤りの選択肢は、工法と劣化状況の対応を1か所すり替えてきます。だから「その劣化にはどの工法か」を取り違えないことが対策になります。まずひび割れ補修からです。

ひび割れの幅で補修工法をどう選ぶか

コンクリート・モルタルのひび割れは、幅に応じて補修工法を選びます(建築改修工事監理指針)。ここが最頻出です。

ひび割れ幅 補修工法
0.2mm未満シール工法(パテ状エポキシ樹脂など)
0.2mm以上 1.0mm以下樹脂注入工法(自動式低圧樹脂注入)。細いひびほど低粘度形エポキシ樹脂
1.0mmを超えるUカットシール材充塡工法
比較的深い欠損エポキシ樹脂モルタル充塡工法

引っかけは粘度です。樹脂注入では細いひびほど浸透しやすい低粘度形を使います。0.2〜0.5mmの細いひびに高粘度形を使うとする記述は誤りです(令和7年 No.23)。幅1.0mm超は注入でなくUカットで処理します。

タイル・鉄筋の劣化補修

外壁タイルの浮きや鉄筋の腐食は、専用の工法・材料が決まっています。

  • タイルの浮きはアンカーピンニング(全面または部分)エポキシ樹脂注入工法で、ピンで留めつつ樹脂で固定する。小口平以上の陶片浮きには注入口付アンカーピンニングエポキシ樹脂注入タイル固定工法を用いる
  • アンカーピンニング全面注入の注入口数は、一般部 12か所/m²、庇・上向き・隅角部などの指定部は 20か所/m²
  • 鉄筋の腐食補修は、錆を除去した後にエポキシ樹脂系などの防錆材(防錆プライマー)を塗る。浸透性吸水防止材は表面保護材で、鉄筋の錆止めには使わない
  • タイル張替え工法後の引張接着試験は、植込み等で人が近づけない外壁面については省略できる

耐震改修の要点

耐震改修は、既存躯体に新たな耐震要素(増設壁・鉄骨ブレース)を一体化させます。既存を傷めない配慮が問われます。

  • 枠付き鉄骨ブレースなどの接合面の目荒しは、深さ 5mm程度を目安とし、主筋が露出するほど深く行ってはならない(令和7年 No.22)
  • あと施工アンカーが密に打ち込まれる増設壁部分は、新設コンクリートの割裂防止にスパイラル筋を設ける
  • 接着系アンカーを上向きで施工する場合は、くさびを打って脱落防止の措置をしたうえで所定の養生時間を確保する
  • コアドリルの冷却水はコンクリートのアルカリ成分を含むため、中和してから排水する

毎年問われる論点(○が正しい・×が誤り)

論点 正しい記述(○)と、よくある誤り(×)
ひび割れ幅と工法 ○ 0.2未満シール・0.2〜1.0樹脂注入・1.0超Uカット/× 1.0mm超を樹脂注入
樹脂注入の粘度 ○ 細いひびほど低粘度形/× 細いひびに 高粘度形
鉄筋の腐食補修 ○ 錆除去後に防錆材(防錆プライマー)/× 浸透性吸水防止材
耐震改修の目荒し ○ 深さ5mm程度/× 主筋が露出するほど深く
タイル浮きの補修 ○ アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法/× 注入口数を一般部・指定部で取り違える

覚え方

ひび割れは0.2未満シール・0.2〜1.0樹脂注入(低粘度形)・1.0超Uカット、鉄筋は防錆材、目荒しは5mm程度、タイル浮きはアンカーピンニング(一般12・指定20か所/m²)。工法と劣化状況の対応、粘度・材料・深さのすり替えに気づけるよう固定しておきましょう。

過去問の肢で確認

Q.

幅0.2〜0.5mmのひび割れへの樹脂注入に、高粘度形エポキシ樹脂を使った。〔R7 No.23〕

×。細いひびには浸透しやすい低粘度形エポキシ樹脂を使います。高粘度形は適しません。これが令和7年 No.23 の正答(誤りの肢)でした。

Q.

耐震改修の鉄骨ブレース接合面の目荒しを、主筋が露出するほど深く行った。〔R7 No.22〕

×。目荒しは深さ5mm程度を目安とし、既存鉄筋を傷めない範囲で行います。主筋が露出するほど深くは誤りです。

Q.

錆を除去した鉄筋に、浸透性吸水防止材を塗布して錆の再発を防いだ。〔R6 No.23〕

×防錆材(エポキシ樹脂系の防錆プライマー)を塗ります。浸透性吸水防止材はコンクリート表面の保護材で、鉄筋の錆止めには使いません。

Q.

幅1.0mmを超えるひび割れには、樹脂注入工法を用いる。〔基本〕

×。1.0mmを超えるひび割れはUカットシール材充塡工法で処理します。樹脂注入は0.2〜1.0mmが目安です。

過去問の出題一覧(一級建築士 施工 No.22・23)

年度 No.(テーマ) 正解 主に問われた論点
令和7年22(耐震改修)1耐震改修(目荒し5mm程度)
令和7年23(外壁改修)3外壁改修(樹脂注入の粘度)
令和6年22(耐震改修)3耐震改修(あと施工アンカー等)
令和6年23(各種改修)3各種改修(鉄筋の防錆材)
令和5年22(耐震改修)3耐震改修(目荒し・増設壁)
令和5年23(各種改修)1各種改修(ひび割れ・タイル)
令和4年22(あと施工アンカー)1あと施工アンカー・耐震改修
令和4年23(外壁改修)1外壁改修(ひび割れ・タイル)
令和3年22(耐震改修)4耐震改修
令和3年23(各種改修)3各種改修(ひび割れ・タイル)
令和2年22・231・4耐震改修/各種改修
令和元年22・231・1耐震改修/各種改修
平成30年22・234・3耐震改修/各種改修
平成29年22・231・3耐震改修/各種改修
平成28年22・234・1耐震改修/各種改修

※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。No.22は耐震改修工事、No.23は外壁・各種改修工事が定位置で、ひび割れ補修・タイル浮き・鉄筋の防錆・目荒しがくり返し問われます。令和2年以前の解説リンクは順次追加予定です。

混同しやすいポイント

ひび割れ幅と工法(0.2mm未満・〜1.0mm・1.0mm超)

0.2mm未満はシール工法、0.2〜1.0mmは樹脂注入工法、1.0mm超はUカットシール材充塡工法。比較的深い欠損はエポキシ樹脂モルタル充塡工法です。幅で工法が変わります。

低粘度形(細いひび) と 高粘度形

樹脂注入は、細いひびほど浸透しやすい低粘度形を使います。0.2〜0.5mmの細いひびに高粘度形を使うのは誤りです。

防錆材 と 浸透性吸水防止材

錆を除去した鉄筋には防錆材(エポキシ樹脂系の防錆プライマー)を塗ります。浸透性吸水防止材はコンクリート表面の保護材で、鉄筋の錆止めには使いません。

まちがえやすいポイント

誤りの選択肢は工法と劣化状況の対応を入れ替えたり、粘度・材料・深さをすり替えたりする形がほとんどです。

とくに「ひび割れ幅で工法選定」「樹脂注入は低粘度形(細いひび)」「鉄筋は防錆材」「目荒しは5mm程度」は常連。劣化状況・工法・材料を照合してください。

次に確認するページ

出典・参考(実ページで確認)

  • ひび割れの幅と補修工法(0.2mm未満=シール工法/0.2〜1.0mm=樹脂注入工法・細いひびほど低粘度形/1.0mm超=Uカットシール材充塡工法/深い欠損=エポキシ樹脂モルタル充塡工法):建築改修工事監理指針
  • タイルの浮きはアンカーピンニング(全面・部分)エポキシ樹脂注入工法、注入口数は一般部12か所/m²・指定部20か所/m²:外壁改修工法(メーカー施工要領)
  • 鉄筋の腐食補修は錆除去後に防錆材(防錆プライマー)を塗布(浸透性吸水防止材は表面保護材):建築改修工事監理指針
  • 耐震改修の目荒しは深さ5mm程度(主筋露出は不可)/増設壁の割裂防止にスパイラル筋/接着系アンカー上向きはくさびで脱落防止:建築改修工事監理指針
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科V(施工)問題」各年度、正答は同センター公表の正答肢による
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編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「施工」を過去問の問われ方から整理しています。運営者情報

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