都市計画・まちづくりは一級建築士 学科Ⅰ(計画)のNo.10・11あたりで、過去10年ほぼ毎年出ます(年によりNo.1・2の都市史でも)。理論・地域地区・制度・協定・交通の用語の取り違えが中心で、覚えるのは「名前と中身のペア」です。とくに似た名前(高度地区/高度利用地区、近隣住区/田園都市、総合設計/連担建築物)の区別が勝負で、引っ掛けは説明はもっともらしいのに結びつく名前がずれている形が多いです。
都市計画・まちづくり用語は、理論(人物)・地域地区・制度・協定・交通に分けて、名前と中身をセットで押さえる分野です。
誤りの選択肢は、説明そのものは正しく聞こえるのに、結びつく名前・人物・根拠法が1か所だけ入れ替わっています。
だから「名前と中身のペア」で覚えるのが対策です。以下、5つの切り口で整理します。
| 用語 | 中身・人物 |
|---|---|
| 田園都市 | ハワード。都市と田園の利点をあわせもつ自立小都市。レッチワースで実現 |
| 近隣住区論 | ペリー(1924)。約64ha・半径400m・人口5000〜6000人。中心に小学校、通過交通を入れない |
| ラドバーン | 歩車分離(ラドバーンシステム)。クルドサック(袋小路)と緑道。近隣住区論の実践 |
| アテネ憲章 | CIAM(1933)。都市を居住・労働・余暇・交通の4機能で捉える |
| パリ改造 | オスマン。直線的大通り・幹線道路網で近代都市へ |
| 東京計画1960 | 丹下健三。求心・放射型を否定し、都市軸による線形発展を提案 |
近隣住区(ペリー)と田園都市(ハワード)は別物。「レッチワース」が出たら田園都市(ハワード)です。
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| 高度地区 | 建築物の高さの最高限度・最低限度を定める |
| 高度利用地区 | 容積率の最高・最低、建蔽率の最高、建築面積の最低、壁面位置等を定め、土地の高度利用を促す |
| 区域区分(線引き) | 市街化区域と市街化調整区域の区分。無秩序な市街化を防ぐ |
| 風致地区 | 都市計画法に基づき、都市の風致(自然的景観)を維持するために定める |
名前の似た高度地区=高さ/高度利用地区=容積が最頻出の引っかけです。
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| 総合設計制度 | 一定規模以上の敷地で一定割合以上の空地を確保すると、特定行政庁の許可で容積率等を緩和(建築基準法) |
| 連担建築物設計制度 | 既存建築物を含む複数敷地を一体とみなし、特定行政庁の認定で合理的設計を可能にする |
| 一団地の総合的設計制度 | 主に更地に複数建物を同時建築する場合に一体とみなす(連担との違い=既存ありか更地か) |
| 緑化地域 | 都市緑地法。緑地が不足する市街地で、一定規模以上の建築に敷地の一定割合以上の緑化を義務づける |
| まちづくり三法 | 改正都市計画法/中心市街地活性化法/大規模小売店舗立地法 |
| 伝統的建造物群保存地区 | 文化財保護法に基づき、市町村が都市計画または条例で定める |
協定は土地所有者等の合意による制度で、建築協定・景観協定・緑地協定・都市利便増進協定があります(合意要件は協定ごとに異なる)。
交通系の近年の用語も頻出です。
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| TOD | 公共交通の利用を前提に、過度に自動車に依存しない持続可能な都市づくり |
| LRT | 低床式車両等で乗降・定時・速達・快適性に優れた軌道系交通システム |
| ITS | 情報通信技術で交通事故・渋滞等の道路交通問題を解決する交通システム |
| ウォーカブル | 歩いて暮らせる、居心地が良く歩きたくなる空間づくり(まちなかウォーカブル推進) |
都市計画・まちづくりは計画のNo.10・11を中心に、名前と中身を入れ替えた取り違えが誤りの選択肢でした(R3・R4はNo.2の都市史で出題)。正解番号は建築技術教育普及センターの公表正答によります。
| 年度 | No. | 正解 | 論点/解説 |
|---|---|---|---|
| 令和7年(2025) | 10・11 | 2/3 | 都市計画・都市デザイン/まちづくり(高度利用地区) |
| 令和6年(2024) | 11 | 4 | まちづくり用語(風致地区=都市計画法) ※No.10は協定 |
| 令和5年(2023) | 10・11 | 1/1 | 交通の都市計画(MaaS)/地域地区(高度利用地区) |
| 令和4年(2022) | 2 | 3 | 都市計画(条坊制ほか・都市史)※解説は順次追加予定 |
| 令和3年(2021) | 2 | 3 | 海外の都市(都市史)※解説は順次追加予定 |
| 令和2年(2020) | 10 | 1 | 交通手段を考慮した都市計画 ※解説は順次追加予定 |
| 令和元年(2019) | 10 | 4 | 都市の再生・まちづくり ※解説は順次追加予定 |
| 平成30年(2018) | 10 | 1 | 都市再生の事例 ※解説は順次追加予定 |
| 平成29年(2017) | 10 | 3 | 都市計画・都市デザイン ※解説は順次追加予定 |
| 平成28年(2016) | 10 | 1 | 都市計画・都市デザイン ※解説は順次追加予定 |
直近3年の代表的な引っかけ:R7=近隣住区理論を田園都市の説明にすり替え/R6=風致地区を歴史まちづくり法(正=都市計画法)/R5=高度利用地区を高さの最高・最低限度(正=それは高度地区)。
混同しやすい用語
高度地区は建築物の高さの最高・最低限度を定める地区。高度利用地区は容積率の最高・最低、建蔽率の最高等を定めて土地の高度利用を促す地区です。「高さか容積か」で見分けます。
近隣住区論は、小学校を中心に通過交通を入れない住区の単位(約64ha)。田園都市は都市と田園の利点をあわせもつ自立小都市で、レッチワースが実例です。「レッチワース=ハワードの田園都市」。
連担建築物設計制度は既存建築物を含む複数敷地を一体とみなす制度。総合設計制度は空地確保による容積率等の緩和。一団地の総合的設計は更地に同時建築する場合です。
高度利用地区は、建築物の高さの最高限度・最低限度を定める地区である。〇か×か。
×。高さを定めるのは高度地区。高度利用地区は容積率の最高・最低や建蔽率の最高等を定めて土地の高度利用を促します。R5 No.11 の取り違えです。
ペリーの近隣住区論は、都市と田園の利点をあわせもつ自立小都市の理論で、レッチワースが実例である。〇か×か。
×。それはハワードの田園都市です。近隣住区論(ペリー)は小学校を中心に通過交通を入れない住区の単位。R7 No.10 の取り違えです。
連担建築物設計制度は、既存建築物を含む複数の敷地を一体とみなして合理的な設計を可能にする制度である。〇か×か。
〇。既存建物を含む点が特徴で、特定行政庁の認定によります。更地に同時建築するのは一団地の総合的設計制度です。
風致地区は、歴史まちづくり法に基づいて定められる地区である。〇か×か。
×。風致地区は都市計画法に基づきます。R6 No.11 の引っかけです。
用語は「名前と中身(高さか容積か・誰の理論か・どの法律か)」をペアで覚える。これが都市計画・まちづくり(計画No.1・10・11)の攻略です。
高度地区=高さ/高度利用地区=容積、近隣住区=ペリー/田園都市=ハワード、連担=既存あり、を固定で押さえましょう。
参考(実ページで確認)
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
誤りの選択肢は説明はもっともらしいのに、結びつく名前・人物・根拠法が1か所だけ入れ替わっている形が多いです。
特に「高度地区/高度利用地区」「近隣住区/田園都市」「風致地区の根拠法(都市計画法)」は常連。名前だけで判断せず、中身(高さか容積か、誰の理論か、どの法律か)を照合してください。