施工管理は、一級建築士 施工のNo.1・2・3で毎年3問出るテーマです。
工事そのものより「誰が・いつ・何のために」という段取り・記録・チェックの考え方を問います。誤りの選択肢は、主体や検査範囲を1か所すり替えてきます。だから「その業務は誰の役割か・全数か抜取りか」を取り違えないことが対策になります。まず作成主体からです。
まず作成主体です。施工計画書・総合仮設計画は、原則として施工者(受注者)が作成します。設計者や監理者が作るかのような記述は誤りになります。
一方、監理者の業務は「建築設計・監理等業務委託契約約款」や国土交通省告示(平成31年告示第98号)で定められています。代表例が設計図書の不整合への対応です。
設計図書に矛盾・誤り・脱漏などを発見したとき、監理者は設計者に確認のうえ、建築主に報告します。「工事施工者に確認する」というプロセスは誤りです(令和6年)。判断のもとは設計者、報告先は建築主、と押さえます。
大きな現場では、元請と下請が混在するため、全体を統括する管理体制が法律(労働安全衛生法)で求められます。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 統括安全衛生責任者 | 元請+下請の労働者が常時50人以上(ずい道・橋梁・圧気は30人以上)の現場で選任し、全体を統括 |
| 元方安全衛生管理者 | 統括安全衛生責任者を選任したときにあわせて選任。技術的事項を管理(補佐役) |
| 作業主任者(土止め支保工等) | 技能講習修了者から選任。作業方法を決定し、作業を直接指揮する |
統括安全衛生責任者を置いたら元方安全衛生管理者も置く、というセットが問われます。作業主任者は「直接指揮」が役割で、ここを薄めた記述が誤りです。
品質管理では、検査を全数で行うか抜取りで行うか、そして数値の取り違えが核心です。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 手動ガス圧接継手の外観検査 | 全数(超音波探傷は抜取り) |
| 建方時の仮ボルト | 高力ボルト接合は1群の 1/3以上かつ 2本以上(混用・併用は1/2以上かつ2本以上) |
| 木材の含水率の測定 | 1本につき 6か所を測定した平均値 |
| セルフレベリング材の養生 | 7日以上(低温時 14日以上)、表面仕上材まで30日以内 |
| 寒中コンクリートの初期養生 | 打込み後 5日間以上、コンクリート温度を 2℃以上に保つ |
狙われるのは「全数を抜取りに」「数値を緩める」すり替えです。ガス圧接の外観検査は全数(抜取りは誤り)、セルフレベリング材は7日(5日は誤り)と、向きと値を固定します(令和6年・令和7年)。
記録の保存期間や環境基準も問われます。
| 論点 | 正しい記述(○)と、よくある誤り(×) |
|---|---|
| 施工計画書の作成主体 | ○ 施工者(受注者)が作成/× 監理者が作成 |
| 設計図書の矛盾への対応 | ○ 設計者に確認し建築主に報告/× 工事施工者に確認 |
| 安全衛生管理体制 | ○ 統括安全衛生責任者と元方安全衛生管理者をセットで選任/× 元方を選任しない |
| ガス圧接の外観検査 | ○ 全数/× 抜取り(超音波探傷が抜取り) |
| セルフレベリング材の養生 | ○ 7日以上(低温14日以上)/× 5日でよい |
施工計画は施工者、設計図書の矛盾は設計者に確認し建築主へ報告、統括安全衛生責任者は50人以上+元方とセット、ガス圧接外観は全数、SL材養生は7日(低温14日)。主体・報告先・全数か抜取りか・数値のすり替えに気づけるよう固定しておきましょう。
監理者は設計図書に矛盾を発見したとき、まず工事施工者に確認する。〔R6 No.1〕
×。設計者に確認のうえ、建築主に報告します。工事施工者に確認するのは誤りです。これが令和6年 No.1 の正答(誤りの肢)でした。
手動ガス圧接継手の外観検査は、1検査ロットから30か所を抜き取って行えばよい。〔R6 No.3〕
×。外観検査は1検査ロットの全数です。抜取りで行うのは超音波探傷検査です。
セルフレベリング材の流し込み後の養生は、5日間(低温時10日間)とする。〔R7 No.3〕
×。養生は7日以上(低温時14日以上)で、表面仕上材は30日以内に施工します。5日では不足です。
施工計画書や総合仮設計画は、原則として監理者が作成する。〔基本〕
×。原則として施工者(受注者)が作成します。監理者は設計図書どおりに施工されているかを確認する立場です。
| 年度 | No. | 正解 | 主に問われた論点 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 1 | 2 | 施工計画・管理業務 |
| 令和7年 | 2 | 1 | 現場管理・記録の保存 |
| 令和7年 | 3 | 3 | 品質管理(SL材の養生) |
| 令和6年 | 1 | 1 | 監理業務(設計図書の矛盾) |
| 令和6年 | 2 | 2 | 現場管理・安全衛生 |
| 令和6年 | 3 | 4 | 品質管理(ガス圧接の全数検査) |
| 令和5年 | 1 | 2 | 施工計画・管理業務 |
| 令和5年 | 2 | 1 | 現場管理・安全衛生 |
| 令和5年 | 3 | 4 | 品質管理(検査) |
| 令和4年 | 1〜3 | 3・2・4 | 施工計画・現場管理・品質管理 |
| 令和3年 | 1〜3 | 3・3・3 | 施工計画・現場管理・品質管理 |
| 令和2年 | 1〜3 | 1・4・3 | 施工計画・現場管理・品質管理 |
| 令和元年 | 1〜3 | 4・3・4 | 施工計画・現場管理・品質管理 |
| 平成30年 | 1〜3 | 1・1・1 | 施工計画・現場管理・品質管理 |
| 平成29年 | 1〜3 | 3・2・4 | 施工計画・現場管理・品質管理 |
| 平成28年 | 1〜3 | 2・1・1 | 施工計画・現場管理・品質管理 |
※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。施工管理は毎年No.1・2・3の3問で出題され、No.1=施工計画・管理業務、No.2=現場管理・安全衛生、No.3=品質管理が定位置です。令和2年以前の解説リンクは順次追加予定です。
混同しやすいポイント
施工計画書・総合仮設計画を作るのは施工者。監理者は設計図書どおりかを確認する立場です。設計図書の矛盾は「設計者に確認し建築主へ報告」(工事施工者に確認は誤り)。
統括安全衛生責任者は全体を統括(50人以上で選任)。元方安全衛生管理者はその補佐で技術的事項を管理。統括を置いたら元方もセットで選任します。
手動ガス圧接継手の外観検査は1検査ロットの全数。超音波探傷は抜取りです。検査の種類で全数か抜取りかが変わります。
出典・参考(実ページで確認)
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
誤りの選択肢は作成主体や報告先をすり替えたり、全数検査を抜取りに、数値を緩めたりする形がほとんどです。
とくに「施工計画は施工者」「設計図書の矛盾は設計者確認・建築主報告」「ガス圧接外観は全数」「SL材養生7日」は常連。主体・タイミング・数値を照合してください。