建築士試験 解説ノート

建築士試験 解説ノート
  1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 一級建築士 施工
  4. > 施工管理 まとめ

施工管理のまとめ【過去10年分】|一級建築士試験 施工の過去問・頻出ポイント

施工管理は、一級建築士 施工のNo.1・2・3で毎年3問出るテーマです。

工事そのものより「誰が・いつ・何のために」という段取り・記録・チェックの考え方を問います。誤りの選択肢は、主体や検査範囲を1か所すり替えてきます。だから「その業務は誰の役割か・全数か抜取りか」を取り違えないことが対策になります。まず作成主体からです。

施工計画と監理業務は誰がやるか

まず作成主体です。施工計画書・総合仮設計画は、原則として施工者(受注者)が作成します。設計者や監理者が作るかのような記述は誤りになります。

一方、監理者の業務は「建築設計・監理等業務委託契約約款」や国土交通省告示(平成31年告示第98号)で定められています。代表例が設計図書の不整合への対応です。

設計図書に矛盾・誤り・脱漏などを発見したとき、監理者は設計者に確認のうえ、建築主に報告します。「工事施工者に確認する」というプロセスは誤りです(令和6年)。判断のもとは設計者、報告先は建築主、と押さえます。

現場の安全衛生管理体制

大きな現場では、元請と下請が混在するため、全体を統括する管理体制が法律(労働安全衛生法)で求められます。

役割 内容
統括安全衛生責任者元請+下請の労働者が常時50人以上(ずい道・橋梁・圧気は30人以上)の現場で選任し、全体を統括
元方安全衛生管理者統括安全衛生責任者を選任したときにあわせて選任。技術的事項を管理(補佐役)
作業主任者(土止め支保工等)技能講習修了者から選任。作業方法を決定し、作業を直接指揮する

統括安全衛生責任者を置いたら元方安全衛生管理者も置く、というセットが問われます。作業主任者は「直接指揮」が役割で、ここを薄めた記述が誤りです。

品質管理は全数か抜取りか

品質管理では、検査を全数で行うか抜取りで行うか、そして数値の取り違えが核心です。

項目 基準
手動ガス圧接継手の外観検査全数(超音波探傷は抜取り)
建方時の仮ボルト高力ボルト接合は1群の 1/3以上かつ 2本以上(混用・併用は1/2以上かつ2本以上)
木材の含水率の測定1本につき 6か所を測定した平均値
セルフレベリング材の養生7日以上(低温時 14日以上)、表面仕上材まで30日以内
寒中コンクリートの初期養生打込み後 5日間以上、コンクリート温度を 2℃以上に保つ

狙われるのは「全数を抜取りに」「数値を緩める」すり替えです。ガス圧接の外観検査は全数(抜取りは誤り)、セルフレベリング材は7日(5日は誤り)と、向きと値を固定します(令和6年・令和7年)。

記録の保存と環境

記録の保存期間や環境基準も問われます。

  • 再生資源利用促進計画の記録は、工事完成後5年間保存する(令和5年1月施行の資源有効利用促進法改正。「1年間」は誤り。令和7年)
  • 海域などへの排出水のpHは 5.0以上 9.0以下とする

毎年問われる論点(○が正しい・×が誤り)

論点 正しい記述(○)と、よくある誤り(×)
施工計画書の作成主体 ○ 施工者(受注者)が作成/× 監理者が作成
設計図書の矛盾への対応 ○ 設計者に確認し建築主に報告/× 工事施工者に確認
安全衛生管理体制 ○ 統括安全衛生責任者と元方安全衛生管理者をセットで選任/× 元方を選任しない
ガス圧接の外観検査 ○ 全数/× 抜取り(超音波探傷が抜取り)
セルフレベリング材の養生 ○ 7日以上(低温14日以上)/× 5日でよい

覚え方

施工計画は施工者、設計図書の矛盾は設計者に確認し建築主へ報告、統括安全衛生責任者は50人以上+元方とセット、ガス圧接外観は全数、SL材養生は7日(低温14日)。主体・報告先・全数か抜取りか・数値のすり替えに気づけるよう固定しておきましょう。

過去問の肢で確認

Q.

監理者は設計図書に矛盾を発見したとき、まず工事施工者に確認する。〔R6 No.1〕

×設計者に確認のうえ、建築主に報告します。工事施工者に確認するのは誤りです。これが令和6年 No.1 の正答(誤りの肢)でした。

Q.

手動ガス圧接継手の外観検査は、1検査ロットから30か所を抜き取って行えばよい。〔R6 No.3〕

×。外観検査は1検査ロットの全数です。抜取りで行うのは超音波探傷検査です。

Q.

セルフレベリング材の流し込み後の養生は、5日間(低温時10日間)とする。〔R7 No.3〕

×。養生は7日以上(低温時14日以上)で、表面仕上材は30日以内に施工します。5日では不足です。

Q.

施工計画書や総合仮設計画は、原則として監理者が作成する。〔基本〕

×。原則として施工者(受注者)が作成します。監理者は設計図書どおりに施工されているかを確認する立場です。

過去問の出題一覧(一級建築士 施工 No.1・2・3)

年度 No. 正解 主に問われた論点
令和7年12施工計画・管理業務
令和7年21現場管理・記録の保存
令和7年33品質管理(SL材の養生)
令和6年11監理業務(設計図書の矛盾)
令和6年22現場管理・安全衛生
令和6年34品質管理(ガス圧接の全数検査)
令和5年12施工計画・管理業務
令和5年21現場管理・安全衛生
令和5年34品質管理(検査)
令和4年1〜33・2・4施工計画・現場管理・品質管理
令和3年1〜33・3・3施工計画・現場管理・品質管理
令和2年1〜31・4・3施工計画・現場管理・品質管理
令和元年1〜34・3・4施工計画・現場管理・品質管理
平成30年1〜31・1・1施工計画・現場管理・品質管理
平成29年1〜33・2・4施工計画・現場管理・品質管理
平成28年1〜32・1・1施工計画・現場管理・品質管理

※ 過去10年分(平成28年〜令和7年)を確認。施工管理は毎年No.1・2・3の3問で出題され、No.1=施工計画・管理業務、No.2=現場管理・安全衛生、No.3=品質管理が定位置です。令和2年以前の解説リンクは順次追加予定です。

混同しやすいポイント

作成主体は施工者/監理は監理者

施工計画書・総合仮設計画を作るのは施工者。監理者は設計図書どおりかを確認する立場です。設計図書の矛盾は「設計者に確認し建築主へ報告」(工事施工者に確認は誤り)。

統括安全衛生責任者 と 元方安全衛生管理者

統括安全衛生責任者は全体を統括(50人以上で選任)。元方安全衛生管理者はその補佐で技術的事項を管理。統括を置いたら元方もセットで選任します。

全数検査(ガス圧接外観) と 抜取り

手動ガス圧接継手の外観検査は1検査ロットの全数。超音波探傷は抜取りです。検査の種類で全数か抜取りかが変わります。

まちがえやすいポイント

誤りの選択肢は作成主体や報告先をすり替えたり、全数検査を抜取りに、数値を緩めたりする形がほとんどです。

とくに「施工計画は施工者」「設計図書の矛盾は設計者確認・建築主報告」「ガス圧接外観は全数」「SL材養生7日」は常連。主体・タイミング・数値を照合してください。

次に確認するページ

出典・参考(実ページで確認)

  • 施工計画書・総合仮設計画は施工者が作成/監理者は設計図書の矛盾を設計者に確認し建築主に報告:建築士事務所の業務報酬基準(平成31年国土交通省告示第98号)
  • 統括安全衛生責任者(労働者50人以上、ずい道等30人以上で選任)と元方安全衛生管理者(あわせて選任)/作業主任者は作業方法決定・直接指揮:労働安全衛生法
  • 手動ガス圧接継手の外観検査は1検査ロットの全数/建方の仮ボルトは高力ボルト接合で1群の1/3以上かつ2本以上:JASS6
  • セルフレベリング材の養生は7日以上(低温時14日以上)・表面仕上材まで30日以内:公共建築工事標準仕様書(15章左官工事)/再生資源利用促進計画の記録は完成後5年間保存(資源有効利用促進法)
  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 学科の試験 学科V(施工)問題」各年度、正答は同センター公表の正答肢による
建築士試験 解説ノート

編集・解説

建築士試験 解説ノート編集部

建築業界の実務経験をもとに、一級・二級建築士試験の「施工」を過去問の問われ方から整理しています。運営者情報

Topへ >>